第四部 第十二章 エピローグ
「と言う訳で俺達の報酬は無くなりました」
長いアーランデル伯の皆への取調べが終わって、その後にエドワードが俺達の慰労の為に開いてくれた宴会の冒頭でアルバートが俺達にそう話す。
「まあ、だよね」
セシリアちゃんが流石に俯いていた。
「あれだけ燃やせばねぇ。本当にさぁ。だから来るなって言ったんだよっ! 」
ダリアさんがブチ切れている。
「いや、だから一か八かで君らを救うためにやったのに」
「何か所もいらんでしようがっ! 」
「だって、難敵なんだし。そもそも、あれはラッセルが隠してたもんだし」
「ラッセルは死んでたんでしょ」
「俺はやって無いし」
そう。
ラッセルはすでに暗殺されていた。
あの滅がやったのかはわからない。
「まあまあ、今回はしょうがないさ」
アルバートが俺とダリアの言い合いに割って入った。
「いやいや、そりゃ、貴方はアーランデル伯から君はハートネット公爵の奇貨居くべしだなとか言われて再興の内々の援助の話も貰ってウハウハかもしんないけどさ。あたしなんかはギャラが無かったんだし」
ダリアが憤懣やるかたなしで怒っていた。
「いやいや、実は報酬はあるのである。アーランデル伯から皆の前で直接出すと領民の目の問題があるのでと言う事で、吾輩が貰って来ているのである」
そう言って、金貨がたっぷりと入った袋を6つ出した。
「えええええ? 早く言ってよぉぉぉ」
嬉しそうにダリアが蕩けるような顔をした。
「で、この二つのエドウィンとイエスの分の報酬は吾輩の屋敷の修理代で回収するのである」
エドワードがそう言って金貨の袋を二つ奪った。
「いやいや、それは無いわ」
「それは駄目でしょ」
俺とイエスが愚痴る。
「いやいや、別宅とは言え、あれは大切な邸宅であるので、早急に修理の費用が居るのである」
「いや、それは自分の報酬でやれよ」
「足りないのである」
「いや、それは卑怯だ」
俺とイエスとエドワードがグチグチ言った。
「まあ、適当にやってよ。報酬があるなら、私は別にいいや」
ダリアが笑った。
「じゃあ、俺は宿に居るウェーズリーに報酬とここの食い物を持ってくよ」
アルバートが満面の笑みだ。
ウェーズリーはダメージが多すぎて宿で寝たままだ。
セシリアちゃんは奥で一人で手酌で異様な気配を出して悪い酒を飲んでいた。
すげぇ怖いので誰も関わりたくないみたいだ。
「いやいや、全部持ってくのはおかしい」
しょうがないので俺は必死にエドワードに抗議した。
「本当だ。元々お前があそこに連れて行ったんじゃん」
すでに貴族様と胡麻すってたイエスがエドワードをお前呼ばわりしていた。
やっぱり、俺は戦うと損するよな。
今後はやめる事にしよう。
今回は本当に馬鹿馬鹿しい話だった。
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ハートネット公爵のギルドのギルドマスターの部屋で、先回りしてアーランデル伯から届けられた報告書をエイドリアンが一人で読んでいる。
「アルバートが奇貨居くべしの奇貨ねぇ。いやいや、本当はずっとずっとエドウィンの方が奇貨居くべしなんだけどなぁ」
エイドリアンがそう苦笑した。




