第四部 第十二章 セシリアちゃん
セシリアちゃんは屋敷に叩きつけた不滅をマウントして顔の目の付近だけボコボコに殴り始めた。
不滅はサソリの尾で攻撃するが毒針を抜かれた上にセシリアちゃんに振り回された時に尾を掴まれたせいで、セシリアちゃんに握力でぐちゃぐちゃに尾の先を握りつぶされた為に攻撃できない。
今回の為に着て来た、お気に入りの一張羅の賢者の服が焼けてボロボロになっているのでブチ切れたのだろう。
そういう大事な服はいくらアーランデル伯への謁見があるとはいえ着て来るものでは無い。
俺はこういう時はセシリアちゃんの加勢だなどと近づくと一緒にボコられるので絶対に近づかない。
まだ、そう言うセシリアちゃんの姿をこないだ知ったばかりのアルバートが手伝うぞとか言って近寄って、やはりセシリアちゃんに殴られて空を舞っていた。
『もうね。キレると敵も味方も関係無しで殴るからなぁ』
「やかましいわぁぁぁ! ペラペラ喋るなぁ! 」
セシリアちゃんが激高しておられる。
外骨格を外し軽量化した不滅のせいか、装甲が弱くなってセシリアちゃんの攻撃で顔面がグズグズになっている。
恐ろしや。
「馬鹿な。私が作り上げた不滅が。何であんな小娘に……」
滅が凄い顔して衝撃を受けていた。
「いやいや、姿は小娘だけど、中身はサイクロプスみたいなもんですよ」
「ああああああ! お前に言われたくないわぁぁぁ! 」
とうとう、セシリアちゃんが不滅さんの顎を左右とも引きちぎってしまった。
可愛そうに、大切な備蓄の食糧ももう食べれないな。
「くくくくっ、何故にこんな事に」
滅が苦悩していた。
『きっと必死に作り上げたキメラで大切にしていたのだろう。そう言うのはあっさりと目の前で破壊されてしまうものだ。それが現実だ』
「延々と横で五月蠅いわぁぁぁ。良かろう。あの小娘も不滅の一部にしてくれるっ! 」
滅が叫んだ。
そして、黒いローブを引き裂くと胸に入れ墨のように入れている特殊な見た事もない紋章を光らせた。
「危ない! セシリア逃げてっ! 禁呪よっ! 」
ダリアが叫んだ。
「遅いわっ! さあ、その怪力を我らのものにっ! 」
滅が異様な異言を言い始める。
それと同時に不滅の身体が溶けてセシリアに巻き付きだす。
「セシリアちゃん! 」
流石に俺が慌てて向かっていこうとした瞬間、俺の胸の革の鎧がはじけた。
そこには滅と似た入れ墨のような特殊な紋章が光って現れた。
俺は胸にこんなものをつけてた覚えは無いのだが。
俺が驚いている内にセシリアちゃんと不滅は弾かれたように切り離された。
それと同時に不滅が溶けていく。
「そ、その紋章は……。そんな、貴方様は……」
滅が驚いたように俺を見た。
俺の光っている紋章を見ている様だが、訳がわからん。
その瞬間に隙が出来たと思ったのだろうか。
羊の軍団が風のように現れて滅に殺到した。
「ちっ! また、お会いいたしましょう。貴方様が生きてると思わなかった」
滅が凄く嬉しそうに俺にほほ笑むと姿を消した。
羊さん達は飛び掛かってたもんでひっくりこけた。
「いや、めんどくさいんで会う気はもう無いんだけど……」
俺が不貞腐れたように答えた。
大量のアーランデル伯の軍隊がこちらに殺到して来ている。
それだけ城下に起きた爆発による火事が凄かったからだ。
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