第四部 第九章 爆破
「いや、ラッセルの妹名義の屋敷を調べた時にいくつかの壺があってね。それを仕掛けてんの」
俺が頭を搔きながら話した。
「は? 」
「え? 」
エドワードとイエスが訝し気に聞いた。
「ちょっと、もう躊躇しないでしなさいよ! このままじゃウェーズリーとアルバートが死んじゃうよっ! 」
セシリアちゃんが叫んだ。
確かに、ボコボコの盾で蜘蛛とサソリのキメラの毒針をウェーズリーが受けているが盾が壊れそうだ。
そして、アルバートの剣も欠けていた。
外骨格が頑強過ぎて普通の武具では持たないようだ。
「じゃあ、ごめんね? 」
俺がエドワードに頭を下げた。
「待て待て、壺の中身は? 」
「いや、アーランド伯の城下に火計を仕掛けるつもりだったみたくて多分原油だ」
そう言って俺が棒手裏剣の穴に油の浸みた布を通して火をつけた。
「「逃げろぉぉぉぉぉぉ! 」」
イエスとエドワードが絶叫をあげて、二階の窓から外に飛び降りると走って逃げだす。
ダリアのフラッシュ攻撃で蜘蛛とサソリのキメラのしばらく目を潰すと、アルバートがウェーズリーを抱えて逃げた。
だが、ボロボロなせいかスピードが遅い。
『そうしたら、ウェーズリーを抱えたアルバートごとセシリアちゃんがそのまま抱えて全速力で屋敷を離れていく。流石だ』
「いやいや、待て待て! 俺達は捕まったままなんだぞ! 」
「殺す気かぁぁぁ! 」
警備兵の隊長と警備兵たちが絶叫した。
「いやいや、不燃性の蜘蛛の糸だから、大丈夫じゃ無いの? 」
笑いながら、俺が蜘蛛とサソリのキメラの下にある草の茂みに燃えている棒手裏剣をひょいっと投げた。
あの草の茂みは燃えやすい松の枯れ枝で壺を隠すように出来ていた。
「「「「「「「「「あああああああああああ! 」」」」」」」」」」」
全員が絶叫をあげた。
ドドドドドーーーン!
凄まじい爆炎とともに大爆発が起こった。
物凄い爆風が吹いて近所の建物が歪んでいる。
そして、俺の想像通りにエドワードさんの建物は半壊して燃えていた。
「ああああ、吾輩の別邸が……」
エドワードが吹き飛んだ屋敷を執事たちと見ながら崩れ落ちた。
「うぉぉぉおおぉぉぉぉ! お前! 後で絶対殺すぅぅぅぅ! 」
「貴様だけは許さんっ! 」
「殺してやるううう! 」
繭のようになって食料備蓄になっていた警備兵たちが爆発で跳ね飛ばされて離れた屋敷の壁とかに繭のままで張り付いたままで叫んでいた。
繭だけ吹き飛ばされたようだ。
「元気じゃん」
俺が笑った。
蜘蛛とサソリのキメラが炎に包まれたままグズリと崩れ落ちた。
「おおお、やったか」
「吾輩の別宅込であるが」
イエスの称賛の呟きに、エドワードの苦悶に満ちた声が続く。
「いやいや、ちゃんと隣の警備兵たちの番所と宿舎も吹っ飛んでるから安心だぞ」
俺が微笑んだ。
「死ねぇぇえええ! 」
「死ねぇぇぇやぁ! 」
「糞がぁぁぁあ! 」
あちこちに繭みたいに飛ばされている警備兵の苦悶の声が響く。
「おやおや、こんなところに追い詰められていたのか」
そう異様な声がして、俺達が振り返るとそこに真っ黒なローブと黒い仮面をつけた奴が立っている。
「何だ? 貴様? 」
アルバートが欠けた剣を構えた。
「ふふふふ、そのキメラの飼い主だよ」
そう笑うとその真っ黒なローブと黒い仮面をつけた男は燃え盛る蜘蛛とサソリのキメラの前に行った。
「さあ、私の可愛い不滅。その程度で死ぬお前では無かろう」
真っ黒なローブと黒い仮面をつけた男は皆を無視して、蜘蛛とサソリのキメラに笑いながら話しかけた。




