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第四部 第八章 戦うとは

「何をあんた達は勝手にこっちに来てんのよっ! 」


 セシリアちゃんが俺達を見て激怒している。


「クアアアッ! 」


 奇声をあげてアルバートが袈裟切りに蜘蛛とサソリのキメラに斬りつけた。


 だが、それはあっさりと弾かれた。


「バババーン」


「チャチャチャチャーン」


 いきなりイエスとエドワードが打楽器と楽器をかき鳴らし始めた。


 戦いを演出するつもりらしい。


「五月蠅いわぁぁぁ」


 ダリアがブチ切れた。


 良く見たら格好つけの魔法使いのローブが血と泥まみれになって裂けている。


 アルバートは再度斬撃を繰り返すが、アルバートのいつもの綺麗な鎧もぐちゃぐちゃに凹んでいた。


「キシャーッ! 」


 蜘蛛とサソリのキメラはアルバートに狙いをつけて、サソリの毒針の尾を叩きこもうとしたが、ウェーズリーが盾でそれを受けた。


 それも血しぶきとともに。


 盾は凹んでいて貫通はしていないようだが、盾役として相当な攻撃を受けて居たらしくて、甲冑が破壊されて血が飛び散っている。


「おおおおおおおおお! 今こそ我々の出番だ! 」


「その通りである」


 いきなり、イエスとエドワードがベートーベンの交響曲第九番をかき鳴らしだした。


「いや、そこは<威風堂々>じゃね? 」


 俺が思わず突っ込む。


 いやいや、エドワード・エルガーの意味が無いじゃん。


「やかましいわぁぁぁ! 」


 アルバートがキレた。


『ウェーズリーもダリアもアルバートもボロボロなんで必死のようだ。まあ、あれだけのキメラだとそうなるわな』


「ふっ、他人事のようにしていやがって! 見ろ! あれこそが本物の冒険者のあるべき姿だ! あのチームの爪の垢でも飲んでろや! 」


「そうだ! そうだ! 」


「恥を知れっ! 」


 蜘蛛とサソリのキメラさんの食料備蓄になっている警備兵の隊長の言葉に警備兵が一斉に叫んだ。

 

「いや、同じチームだぞ」


「ああ」


 俺とイエスが素朴にバッチを見せて、そう答えた。


 警備兵たちがすげぇ顔してた。


「あんた達も戦いなさいよ! 」


 セシリアちゃんが叫んだ。


「そういや、<チームチェイン>は? 」


「食糧庫に居たのを救出したわよ! 」


「ちょっと、ショックで頭をやられているけどね」


「あらら」


 セシリアちゃんとダリアの話にため息が出た。


「そんな話は良いから、手伝ってくれ! エドウィン! 」


 アルバートが叫ぶ。


「いや、神経毒も火計も効かないんだよ」


「ああ、そのようだな! 外側が堅くて剣も通らない! 」


 アルバートが叫び返す。


「無理じゃん」


 イエスが真顔で答えた。


「いや、手はあるんだけど、良いの? 」


 俺がエドワードに真顔で聞いた。


「……ど、どう言う事であるか? 」


「いや、被害が出そうだけど」


 俺が恐る恐る聞いた。


「被害くらいなんだ! 」


「こいつを倒さないとヤバいよ。どうも腹に卵を持ってるみたい! 」


 アルバートとセシリアちゃんが叫ぶ。


「だ、そうなんですが……」


 俺が申し訳なさそうにエドワードに聞いた。


「いやいや、何故、吾輩にそれをいちいち聞いてくるのであるか? 」


 エドワードが訝し気に聞いた。


「いや、被害が……」


「とりあえず、執事さん達は、この屋敷を退去した方が良さそうだな」


 俺の言葉に何かを察したのか、イエスが執事さん達にそう告げる。


 執事さん達が悲鳴を上げて逃げた。


「待て待て待て待て! 何をやるつもりであるか? 」


 エドワードが演奏を忘れて叫ぶ。


「待て待て待て! 俺達も捕まったままだぞ! 」


 警備兵の隊長が泣きそうな声をあげた。 


 

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