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第四部 第七章 冬への備え

「羊は? 」


 俺がイエスに聞いた。


「羊は駄目だ。あんなの餌になってしまう」


「じゃあ、意味が無いじゃん」


「羊は家族ゆえ」


「いやいや、戦ってるの俺だけだし。これだと、俺のポリシーに背く」


「とりあえず、警備兵たちにも手伝って貰うのである」


「「なるほど」」


 俺達がそう頷いて、じっと見てたら次々と警備兵たちが攫われて食料として蜘蛛とサソリのキメラの巣にくるまれて備蓄されていく。


「暗殺だけの為に戦っていると思えば、堅実だな」


「我々が貯金に関して必死になってるのと同じで、彼らは彼らで大切な食糧を確保するのに必死のようだ」


 俺とイエスが感心した。


「いやいや、助けてくれよっ! 」


 こないだ聞きこみをした警備兵の隊長さんみたいな人が蜘蛛とサソリのキメラの巣にグルグル巻きされて顔だけ出して俺達に叫んでいる。


「俺達だって貯金をよその奴に持ってかれたら腹が立つ。あの蜘蛛とサソリのキメラだってそうじゃ無いかな。見てみたまえ。あの食材を傷つけまいと言う丁寧な蜘蛛とサソリのキメラの糸による梱包。そして、あの上の方にある蜘蛛とサソリのキメラの巣にかける時のそっと前足で慈しむ様に持ち上げて、蜘蛛とサソリのキメラの巣に張り付けるしぐさを」


「これから秋が過ぎて冬になる。やはり食糧備蓄は大切なのだな」


「生きるってやっぱり大変だ」


 俺とイエスが熱く語りあう。


「いやいや、一緒にあのモンスターを倒すために協力しているのであるから、それは困るのである」


 エドワードが必死に俺に話す。


「だが、毒も火も効かないのでは、どうやって倒したら良いのか。そもそも最初に神経毒を使うとか火計で蜘蛛とサソリのキメラの糸が燃えないとか大事な話を端折ってたあんたが問題なのでは? 」


「いやいや、極秘情報故、漏らすわけにはいかんのである」


「そう言う態度で一緒に倒そうって無茶苦茶だよね」


 エドワードにイエスが突っ込んだ。


「いや、もう良いから助けて! 」


「助けてくれ! 」


 蜘蛛とサソリのキメラの餌の備蓄になっている警備兵が騒いでいる。


「助けてやって欲しいのである」


 エドワードも必死だ。


「こう言うのはやはり、こちらが、助けるぞって思う心の支えになるものが欲しい」


「ああ、分かる分かる。ちょっと、強敵過ぎるし」


 俺とイエスが目を輝かせてエドワードに語り掛ける。


「報酬を出せと言う事であるか? 」


「「いやいや、申し訳ございませんね」」


 俺とイエスが揉み手した。


 流石、ブルジョアは話が早い。


 やはり貴族様は良くご存じだ。


「しょうがないのである。ちゃんと報酬は準備するので頼むのである」


 エドワードがそうため息をついた。


 俺がそれを聞いて、背中からロープを出して肩に巻いて準備をした。


「え? ロープで捕まえるの? 」


 イエスが唖然とした顔をした。


「ああ。では、エドワードさんと戦っている警備兵さん達。あそこの蜘蛛とサソリのキメラをここに追い出してください」


 俺が鉢巻してロープを持って構えた。


「え? 一休さん? 」


 イエスが凄い顔をした。


「いやいや、そんなの分かんないである。そもそも、こちらの人間には、それは分からないである。大体、それは虎の絵であったはずであるが」


「いやいや、虎も蜘蛛とサソリのキメラも似たようなもんでしょ」


 俺がそう微笑んだ。


「んな、分けねーよ! 」


「あんな化け物と一緒にすんなっ! 」


 警備兵が激怒していた。


「ファイアーボール! 」


 その時、どこかで聞いた声がした。


 蜘蛛とサソリのキメラは身の軽さを見せてファイアーボールを避けた。


 どっかで聞いた声だと思えば、同じ<チームジャスティス>のダリアだった。







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