第四部 第三章 宿舎の移動
あまりにガーガーとエドワードが言うので、俺達はエドワードの別邸の方に宿舎を移すことになった。
『驚いた事にエドワードはアーランデル伯の妻の親戚の家だったらしい。つまり、ブルジョア! 所謂、ブルジョア! まさかのブルジョア! 』
「そこまで言われると思わなかったである。そもそも、別に冒険者である以上、家柄なんて関係ないであろう」
そうエドワードが言うが、そんな事はない。
家柄が大事なこの世界で、関係無いはずが無いのだ。
「馬鹿だなぁ、ここは一つ、今後とも宜しくと笑顔でお願いするものだろうに」
そうイエスが揉み手をしながら笑顔でエドワードに媚びてる。
「いや、確かに、それはそうなのだが」
「ハートネット公爵とも懇意のアーランデル伯家だぞ」
「むう、なるほど。是非とも宜しく今後ともお願いいたします」
俺が慌てて前言撤回してエドワードに揉み手をした。
そうか、ハートネット公爵家とも関係が深いのであった。
「申し訳ないが、そう言う事されると薄気味悪いのである」
エドワードが苦笑した。
エドワードの別邸は街の警備兵の事務所と宿舎の隣りなので、冒険者の宿舎の横も悪くないが、こちらも悪く無い様に思えた。
『何かあれば、逮捕して引き渡せるし、何より集団での戦いに冒険者よりは警備兵の方が慣れているだろう。何だかんだ言って冒険者は自分勝手だし、人と協調して動くとかは凄く苦手だ。他人が頑張ってても、金にならんなと思えば、適当に参加したりする! たまに要領良くやって美味しいとこだけ持って行く奴もいるから、それが非常に腹立たしい! 』
「いや、それはお前だろ」
イエスが横から突っ込んだ。
「いや、お前に言われたくないが」
「いやいや、そう言うのは良いのであるが、一応、罠とか仕掛けるのであるのよな」
エドワードが俺とイエスの言い合いに止めに入って来た。
「勿論だ。例のモンスターとやらが街の中まで来るかどうかは知らんけど」
「確かにな。帰りを襲ったりして森の中での攻撃ならともかく、森を出て街中で攻撃とか、向こうに取ったら敵地だもんな」
イエスも頷いた。
イエスも戦闘用の羊を十頭ほど選り抜きのものを連れて来ていた。
「その羊をグレードアップさせて羊でないモンスターを使ったり出来れば良いんだけどな」
「一応、それは考えているが、信頼感と言う意味では羊を超えるものは無いからな」
イエスがそう笑う。
「まあ、確かに、慣れた武器の方がこういう時は大事だったりするものであるからな」
エドワードも頷いた。
「なるほどな」
俺が師匠に貰った黒剣を未だに背中の腰回りに刺してるのもその理由だしな。
「それが、師匠に貰った剣であるか? 」
「ああ、背中の腰に差してるので相手から剣の長さが見えにくいのと別の剣をもう一つ持つことで、相手の隙をつけるしな」
『別の剣を腰に差して戦う時は、戦ってるときにわざと相手の剣に弾かれたように落として見せて、相手を油断させて背中の腰回りの毒の塗った剣で殺したりする。勿論、最初に使った別の剣には毒を塗ってないが、最初に毒を使わない剣を使うことで、毒を使わない奴と勘違いして相手が踏み込んでくる効果もある。毒の剣を使って無い様に見せて、相手を油断させるのだ。毒の剣ならかすり傷でも殺せるし、当然相手の戦い方も変わるし、それをさせない訳だ』
「あ、喋ってた? 」
イエスとエドワードがドン引きしているので俺が聞いた。
喋る癖、もっと治さないとな。




