第三部 第十章 恐怖のエドウィン
「な、何だ? これは? 何が起こっている? 」
ラッセルが真っ青になって呟いた。
「わ、私達が疲れているのでしょうか? 」
ラッセルの部下がそう呟く。
「まさか、幻術のたぐいか? 」
ラッセルが愚痴る。
「いや、それなら、鍵はありますよね」
ラッセルの部下がそう言うので、再度引き出しを開けると鍵の束がある。
「やはり、幻術か? 」
「何の為にやってるんでしょう? 」
「分からん」
ラッセルが憤懣やるかたなしで愚痴る。
「逆に何かをあぶりだすつもりかもしれんな。となると、仕事をするわけにはいかんか」
ラッセルがそう呟いた。
「その方が良いかもしれません」
「今日の検地の結果は後日に調査書と報告書を書くとするか」
ラッセルが顔を覆うと、鍵の束を持って席を立った。
「まだ、衛兵は廊下にいるかな? 」
「はい」
「では、衛兵たちに、この鍵をあずかって貰ってくれ」
ラッセルが鍵の束を部下に渡した。
部下は走って外に出ると、廊下にいる衛兵にそれを渡す。
「一体、あのエドウィンとか言うのはどう言う奴なのか。とりあえず、一旦仮眠を取るとしよう」
そう言ってラッセルは家令だけが持つ特別な寝室の方へ向かった。
それを見計らって、俺が部屋に現れる。
これは俺だけの特殊スキル隠ぺいだ。
まさか、あの引き出しにあった鍵束を本物かどうか確かめないとは馬鹿みてぇ。
『ふはははは、愚か者めがぁぁぁぁ! 貴様の鍵束はここだぁぁぁ! 』
「誰だっ! 」
俺が騒ぎ過ぎたのか、衛兵が部屋に二人入って来た。
だが、あたりを見回して、誰も居ないので出て行った。
おっと、喋り過ぎたわ。
『ひひひひひひひひひひひひひひっ! 』
再度俺の笑い声を聞いて扉が強引に開くが衛兵が誰も見つけられないで首を傾げて出て行った。
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「やれやれ、少し寝ればいろいろと対策も考えれるだろう」
そうラッセルは呟くと服を着替えて、ベットにもぐりこんだ。
すでに夕闇が拡がり、夜も近い。
「食事の方は、起きてから少しいただくとするか」
そう呟きながら、窓の外を見た。
その城壁しかないはずの窓の外にエドウィンが張り付いてじっとラッセルを見ていた。
「ひぎゃああぁああぁあぁぁぁあ! 」
ラッセルが絶叫をあげた。
「何事ですかっ! 」
厳戒態勢に城も入ったので、衛兵たちが見回りしているせいで、すぐにラッセルの悲鳴を聞いたようで、衛兵が入って来た。
「いや、あそこに男が……」
そうラッセルが言うと衛兵たちが飛び出すように窓を開けて、すでに暗くなった城壁を見た。
「誰も居ませんが? 」
衛兵がそう答える。
「またか……」
ラッセルの顔が歪んだ。
「一体、今日はどうなさったのです? 」
身長が二メートル近い大男のテッド・ロッサー衛兵長が心配そうにラッセルの寝室に入って来た。
「ああ、入り口でエドワードが連れて来たらしい妙な男に会ってな。そいつが何度も何度も城の中に居るように見えるのだ」
ラッセルがウンザリした顔で答えた。
「エドワードと言うと<チームフルメタル>の音楽屋の事ですか? 確か、アーランデル伯の密命でハートネット公爵家のギルドに依頼に言ってるはずですが」
「ああ、それが帰って来てるようだが、エドウィンとか言う奴を連れて来ててな」
ラッセルがそう言うと、テッド衛兵長とまわりのベテランの衛兵が物凄い顔をした。




