第三部 第八章 調査開始
「な、何で、その呼び名を知っているっ! 」
俺が叫んだ。
「ええええ? マジかよ」
「ラッセル様も偉いのに目をつけられて……」
衛士達がドン引き。
「いやいや、お前等っ! それって褒めて無いよな! 」
俺が納得いかないように怒鳴る。
「え? これがあの有名な? 」
ラッセルが驚いている。
「ラッセル様、名前は聞いた事がございましょう。関わられたものが次々と廃人になるとか言うケルト国最強の変人ですよ? 」
「お前等、それは褒めて無いよな! マジで褒めて無いよなっ! 」
俺が叫んだ。
ラッセルも見てはいけないものを見たような顔をしていた。
「いやいや、しょうが無いわ。本当にそんなイメージだし」
「吾輩もそう思う」
イエスとエドワードが同じように苦笑した。
「いやいや、それはおかしいだろ? 」
俺がイエスとエドワードに愚痴る。
「何で、そんな奴を連れて来たんだ」
ラッセルがエドワードを睨んだ。
「ふふふふふふふ、貴様の悪事を暴く為だ! 」
「バーン! 」
「ジャジャジャーン! 」
俺の言葉に合わせるようにイエスが効果音を発してエドワードが音楽を奏でる。
「何だ、こりゃ? 」
ラッセルが汚物を見るような目で俺達を見た。
「関わらない方が良いと思います」
「絶対やばいかと」
衛士達が必死にラッセルを止めた。
「何だよ、その言い方っ! 」
俺が激高した。
「まあ、良いわ。せいぜい調べるなら、調べるがいい。わしは殆ど家令としてこの厳重なアーランデル伯の居城の中にいる。せいぜい頑張る事だな」
ラッセルが冷やかにそう話すと踵を返した。
「良かろう! 俺の調査能力を見せてやるっ! 」
俺が絶叫した。
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ラッセルが自分の執務室に入る。
家令の執務室とは言え、アーランデル伯領の徴税などを一手に引き受けているせいで、それなりの豪奢さであった。
これはラッセルが法衣貴族出身なのもあるだろう。
「やれやれ、馬鹿な奴等も居たものだな」
そう言いながら、執務室の自分の机に座り苦笑した。
「はあ。お話は衛士のものから聞きました」
ラッセルの直属の部下が笑う。
「ここはグラナディア帝国との最前線でもある。いくらハートネット公爵家のギルドのA級冒険者だとは言え、警備も厳重で入れるわけがない」
ラッセルは頬杖をついて窓の外を見た。
「そうでございますね。巨大な堀に囲まれて、いつも衛士達が戦時に近い規模で見回りをしている。それほどの城に入れるわけが……」
そうラッセルの直属の部下が言ったところで、唖然とした顔でラッセルの机の後ろの巨大な帳簿が並んでいる書棚を見て驚いた顔をしていた。
「え? 」
ラッセルが背後を見た。
そこにエドウィンが、勝手に立って本棚の帳簿を一つ一つ見ていた。
「ちょっ! 」
ラッセルが驚い大声を出した。
「静かに、静かに」
エドウィンはそう言いながら、帳簿を片っ端から見ていた。
「静かに、静かにじゃねーわ! 何をやっている? 」
「調査だ」
エドウィンが冷静に答えた。
「どうやって入った? 」
ラッセルが驚いたように聞いた。
「いや、衛兵に話したら入れて貰った」
「ぶさけんなぁぁぁ! 」
ラッセルが絶叫した。
「どうしました? 」
「何事です? 」
城内の衛兵が駆け込んできた。
「いやいや、何だ、こいつはぁぁぁぁ! 」
ラッセルがエドウィンが居たあたりを指さすと誰もいない。
「あれ? いや、ここにエドウィンとか言う奴が? 」
ラッセルが困惑して話す。
「いや、ここは、この出入口しか出る事が出来ないはずですが……」
衛兵達がそう答える。
エドウィンはあっという間に消えていた。
すいません。全部社会がもうしばらく時間を貰います。




