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第三部 第六章 鼻をあかす

「吾輩もそうだが、諸君らも同じ様に隠密作戦だからと現地に向かうのは拒否された口では無いか? 」


 エドワードが俺達にそう話す。


「ああ、邪魔だと言われた」


「効果音の生き様が気に障ったらしい」


 俺とイエスもそう話す。


「実は吾輩も楽器の音が五月蠅いと外されたばかりに仲間がやられて悔しい思いをしてるのである。で、ギルドマスターのエイドリアン・ハートネット様への依頼で吾輩の仕事は終わりなのだが、どうだろうか? 我々なりのアプローチでモンスターを潰して、皆の鼻をあかしてやったらどうかと思うのだが? 」


 エドワードが熱心にそう話す。


「我々なりのアプローチとは? 」


「実は、アーランデル伯の家令が内通者なのだと思われるのだ。なかなか尻尾を出さないせいで、誰も吾輩の話を聞いてくれないのだが。そこで相手を調査するだけでなく、相手を揺さぶりたいのであるよ。そうすれば必ず執事は尻尾を出すはず」


 エドワードがイエスの質問に必死に答える。


「それはエイドリアン様に逆らう事になるから駄目だ」


 俺が即座に反対した。


「俺も信頼を築く前だから困るな」


 イエスも否定した。


「実はエイドリアン様の許可は頂いているのであるよ」


「え? 本当か? 」


 エドワードの話に俺が驚いた。


「ああ、本当だ。エドワードの話は腑に落ちる。単純にモンスターを探すよりは内通者を見つけて、誘き出す方が早い。普通なら尻尾は出さないだろうが、お前が動く事に関しては別だからな。お前の通り名の<ストーカーのエドウィン>は伊達では無いしな」


 いきなり、背後の酒場からエイドリアン様が出て来て、そう話す。


「おお、エイドリアン様のご許可がいただけるなら別だ。是非、やらせてください」


 俺が嬉しそうに微笑んだ。


「では、私も最強の羊軍団を見繕うとしよう」


「吾輩も伝説の<ストーカーのエドウィン>殿なら今回の作戦は成功出来ると思うのである」


「え? そんなに有名なの? 」


 エドワードの言葉に俺が複雑になる。


「何を今更」


「誰もが知っているであるよ」


 イエスとエドワードが俺に微笑んだ。


 だが、俺的には非常に複雑だった。


****


 アーランデル伯の領土は南部の半分以上を占める広大なものだが、大半は森林であり、街は中央の盆地に集中していた。


 俺はここに来るのは初めてなので驚いたが、森林の豊富さと広さからすると、ここでモンスターとやらを探すのは想像以上に大変だし、何よりも相手のホームグランドで戦うようなものなので、分が悪すぎると思った。


 さらに、盆地の街としての発展具合は首都並みで、逆にそれが俺にはチグハグに見えた。


「豊かな森は恵みの森であると同時にゲリラ戦の時の隠れ場でもあるのです」


 そう、エドワードが話す。


 なるほど、豊かな恵みがあるせいで、食料も森から補給出来るし、兵站を考えずにゲリラ戦をするなら、好立地と言えるかもしれない。


 逆に言うとグルナディエ帝国からしたら、正攻法で戦うにはあまりにも厄介なのだろう。


 バートランド伯領は逆に南部の一部に面しており、同じ爵位ではあるがアーランデル伯の領土は倍近くの領地があり、もし、バートランド伯が裏切ったとしても、地理的要因からアーランデル伯領からの側面攻撃を受けやすく、グルナディエ帝国としても、アーランデル伯を何とかしないとどうしようもないのは仕方ないだろう。


 それゆえに、モンスターを使い、アーランデル伯の配下の将軍を暗殺したりして、力を削ぎに来ているのでは無いかと言うのがエイドリアン様とエドワードの共通した意見だった。

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