第三部 第三章 捜索依頼
「話は少し込み入った話になるが、妙なモンスターが南部のアーランデル伯の所に出たと言う話があって、アーランデル伯の虎の子のAチーム冒険者が調査中に瀕死の重傷を負ったようだ。それで、そのモンスターについての調査で<チームチェイン>に行って貰ったんだが、その後も連絡がない」
エイドリアン様が真剣な御顔だ。
「アーランデル伯? 」
「ああ、ひょっとしたらお前の実家も関わってるかもしれん」
エイドリアン様の言葉を聞いてアルバートの目つきが変わる。
「実家って? 」
事情を知らないイエスが素直に聞いた。
「話して良いか? 」
エイドリアン様がアルバートに聞いた。
「他言無用と言う事なら」
アルバートが険しい顔のまま答えてた。
「我が国の南部を守ってグルナディエ帝国と相対しているのがアーランデル伯領とバートランド伯領だ。で実はバートと名乗っているがアルバートはバートランド家の元嫡男だ。先代の前妻が前デヴォン伯の娘で政争でデヴォン伯が失脚した途端に嫡男だったこいつとともに前妻を離縁して再婚したんだ。アルバートは嫡男だったが不義の子だとか適当な難癖をつけて廃嫡してな」
エイドリアン様のバートランド家のお家騒動の話にアルバートが震える。
アルバートにとっては相当な屈辱だったのだろうな。
「で、では御貴族様の息子様だと言うのですか? それは大変な事じゃ無いですか? 」
イエスが凄まじい揉み手を見せる。
むう、この変わり身、素晴らしい。
「今は不義の子にされてるせいで名前を変えざるを得ないのだ」
アルバートが堅い顔で返す。
「いやいや、でも……」
「誰にも言うなよ! だが、いつかは必ずあの家に返り咲いてやる! 」
アルバートが震えながらイエスに話す。
「まあ、そう言う事だ。ちなみに、俺もそれは全力でバックアップするつもりだ」
そうエイドリアン様が話した。
デヴォン伯とハートネット公爵家は関係が深い。
デヴォン伯の失脚も現当主でありアルバートの父でもあるバートランド伯爵が関わってると言う噂だ。
「アーランデル伯とバートランド伯は同じく南部を守る家柄だが、アーランデル伯は最近のバートランド伯がグルナディア帝国と内通しているのではないかと疑い、内々で凄く警戒して調査している。そんなときに、アーランデル伯の有力武将が妙なモンスターに襲撃される事件が起こった。それの調査でアーランデル伯の虎の子のA級冒険者チームを出したが、最初に言った通り襲撃されて重体だ。<チームチェイン>も連絡がない。そこでお前達にも調査に行って欲しいんだ」
エイドリアン様がそう話す。
「いや、無理ですよね」
ダリアが依頼を受けようとしたアルバートの横で冷やかに答えた。
「え? 」
アルバートが意表を突かれたらしくて困惑している。
「単なるモンスターの調査と始末なら問題無いですけど、そんないろいろと難しい国家の問題が関わっているなら、絶対だめですよね」
ダリアが俺とイエスを見た。
「……そうなんだよなぁ。それで<チームチェイン>に頼んだんだが……」
エイドリアン様が困った顔で苦笑した。
「えええ? 」
「なにゆえ? 」
イエスと俺が動揺してダリアとエイドリアン様を見た。
「自分で気が付いてないの? あんた調子に乗るとベラベラ喋るじゃないっ! 」
ダリアがびしっとおれを指差した。
「イエスさんも効果音出さないと駄目みたいだし。こんなの無理でしょ」
セシリアちゃんまでが駄目だしする。
「いや、私は囮に使えると思いますが」
イエスがそう食い下がった。
すげぇ、たいした根性だ。




