第十一部 第二章 特別の特別
「あんたのお父さんが何かあったの? 」
セシリアちゃんが無邪気に聞いてきた。
「いや、昔の夢をちょっと見た」
俺がモヒカンのハリネズミを見て話すのを辞めた。
エンシャントドラゴン同士をぶつけ合うなんて知れば敵に回るだろうし。
「何か、思い出したのか? 」
セシリアちゃんの師匠のヘンリー契約枢機卿が聞いてきた。
ただ、聞き方が変。
顔が少し輝いたように見えた。
それで、逆に不安になった。
「え? 何かあるんですか? 」
俺が不思議そうに聞いた。
「ああ、実は紋章の転移の時に障害があって、君のかなりの記憶が飛んでしまったんだ……」
セシリアちゃんの師匠のヘンリー契約枢機卿が申し訳なさそうに話す。
「ええええ? 」
俺の顔が歪む。
「すまん。適応できそうなのが君しかいなかったんだ……」
「そんな、難しいんですか? 」
ジェシーが驚いて聞いた。
「本当にごくわずかの特別な人間にしか移せない。ぶっちゃけ、君は非常に特別なんだよ」
そうセシリアちゃんの師匠のヘンリー契約枢機卿が笑った。
「いや、全然うれしくないですよ」
俺がそう返した。
「と言うか、何でそんな特別な人間がこんなとこにいるんですか? 」
『ダリアが珍しく鋭い突っ込みをした。それは俺も同意だ』
「ええええい! 本当に失礼な奴だよねっ! 」
俺が喋ってたらしくてダリアさんがキレた。
「いや、そこなんだ。実は君の親父さんはあるお方の紹介であったけど、何者か良くわかんないんだ。ダリアさんが言う通り、こんなとこに君みたいなのが居るわけないんだよな」
セシリアちゃんの師匠のヘンリー契約枢機卿が悩んでいる。
「えええええ? そんな適当な事で俺の親父を信用したんですか? 」
「いや、あるお方が信用できる方だったからな」
セシリアちゃんの師匠のヘンリー契約枢機卿が笑った。
「そんな馬鹿な信用の仕方をしたんですか? 」
そうセシリアちゃんが地面にあった岩を正拳突きで破壊した。
「ひぃぃぃいいぃ! それしかないとそのお方に言われたんだよ! 」
セシリアちゃんの師匠のヘンリー契約枢機卿がセシリアちゃんの怒りように悲鳴をあげた。
「私の大事な友人なんですよ」
セシリアちゃんがごうごうと燃えていなさる。
無茶苦茶キレていた。
「へー、大事にしてんのね」
ジェシーがにやにや笑って俺とセシリアを見た。
「まあ、お互い家族のような幼馴染だからなぁ」
俺がそう苦笑した。
「え? それだけなの? 」
そうジェシーがにやにや笑った。
「ところで、ぶっちゃけましょうよ。そのお方って誰なんですか? 」
イエスが妙に真面目にセシリアちゃんの師匠のヘンリー契約枢機卿に聞いた。
おかげで俺達を茶化す雰囲気は消えた。
だが、セシリアちゃんの師匠のヘンリー契約枢機卿は黙ったままだ。




