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第十部 第十三章 エピローグ

「新しい世界って、何をすれば良いんだろうか? 」


 木の龍のエンシャントドラゴンから降り立って最初に俺が思わず呟いた。


 正直、俺は自分の事しか考えていないのだ。


 他人もそんなに信用出来ない。


 人間性も前世の経験もあるが、母さんが亡くなって親父は失踪して反吐が出るような思いで必死に生きてきた。


 必死に薬草を摘んで、ギルドに卸してお金を貰い暮らしていた。


 エイドリアン様があの時に子供の薬草売りを認めてくれなければ生きていたかどうか分からない。


 自己暗示はかけたが、実際にあの人が居なければどうなっていたか……。


 死神の師匠を助けた事で本格的に冒険者としてやっていけるようになったのは、本当に幸運だった。


 そんな俺にとっては、本当に何も食べるものが買え無くなるくらいお金の無い恐怖とかは何度か味わったせいで本当に嫌だ。


 だから、小金を貯めてアーリーリタイアしてゆっくり静かに暮らすくらいしか夢は無かった。


 何とか死ぬまで生きていけるなと言う安心感が欲しいだけなのだ。


「貴方は思うままに生きていいのだと思いますよ。それが新しい世界になるのです」


 モヒカンのハリネズミがそう笑った。


『思うままって、集合住宅でも作って家賃収入で暮らして行く事だろうか? もしくは、法衣貴族みたいに国から年俸を安定して貰う事だろうか? 』


「何か……随分とささやかな夢なんですね」


 俺が喋っていたのか、モヒカンのハリネズミがちょっと唖然としていた。


「いや、薬草を摘んで束にして背中に背負って、それでも2日分の食事代になれば良い方だった俺からしたら、何もしなくても生きていれるだけのお金が入るのは大切だし」


「いやいや、貴方に祖師が望んでいるのは、もっともっと英雄として世界を引っ張る事なのですが……」


 モヒカンのハリネズミが困ったような顔になった。


「英雄と言っても、巻き込まれて人や街を破壊してるだけなんだけどな」


「どうも、貴方は大きな夢とか、そういうのは無いようですな。もっと自分の欲望を強くするべきです。英雄たるものはそれで良いのです。例えば……」


 モヒカンのハリネズミがそう考え込んだ。


「例えば? 」


「そう、酒池肉林とかですな? 」


「酒池肉林? 」


 俺が非常に驚いた。


「英雄たるものハーレムなど、当たり前でしょう。貴方はウハウハでモテモテで良いのです」


「ウハウハでモテモテですとぉぉぉ! 」


 俺が絶叫した。


「英雄たるもの。その程度は当たり前です」


「当たり前なんだっ! 」


 俺が衝撃を受けて叫ぶ。


「そんなわけ、あるかぁぁぁ! 」


 ゴキンと良い音がして、俺が地面に埋まった。


 いつの間にかセシリアちゃんが居て殴られてた。


 すっかり元気になったようだ。


 他にもイエスやジェシーやアルバート達がいた。


 皆が呆れた顔をしているのが見えた後に俺がそのまま気絶した。


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