第十部 第九章 対決
「いや、主。何を思っているか知らないが、一度出した破壊命令は取り消せないぞ」
ハリーが俺達を呆れたように見た。
「いや、そこをどうにかならんかな? 」
「馬鹿なことを……」
ハリーが呆れ果てたように俺を見た。
「まあ、アルバートも納得したし、俺と戦ってる枢機卿は全部グルナディエ帝国だから、まあ俺達からしたらしようがないよね」
俺が仕方ないと言うように呟いた。
「酷い」
「ちょっと、それはどうなのかな」
ジェシーとマシューが突っ込んできた。
『まあ、本音言って、今の間にセシリアちゃんがダリアに救われて回復魔法を受けてるからいいや』
「見事なまでに、身内重視だな」
俺が喋ってたのでイエスが突っ込んできた。
「なるほどな。元の魔法少女ハッピネスを救うためだと言う事か。だがな、それはもういらないのだよ」
ハリーが俺をあざ笑うと背中の毒の針を矢のようにセシリアちゃんに回復魔法をかけているダリアごと攻撃した。
だが、それより早く羊達が二本足で祭りの神輿のように二人を運んで毒針を避けた。
「良し、脱出だ! 」
俺が叫ぶとイエスの羊達が俺達全員を攫って運び去る。
「今なら、地の龍のエンシャントドラゴンはグルナディエ帝国の首都への攻撃で動けないからな」
イエスが笑った。
「逃げてばっかりだな」
セシリアちゃんの師匠のヘンリー契約枢機卿も苦笑した。
「いや、結局、逃げるしかできないから」
俺が苦笑した。
だが、想定が甘かった。
俺が羊達を死なせないために、ジャンプして剣を抜いた。
激しい金属音が鳴り響く。
師匠から貰った黒い剣はさらに欠けてしまった。
俺の目の前に三メートルはある巨大な爪の長いナマケモノのようなキメラが立ちはだかった。
「まだ、厄介なのが残っていたな」
俺が愚痴る。
「ははははは、君だけは逃がすわけにいかない。君は私のキメラを忘れていたようだね」
そうフランツ儀式枢機卿が笑った。
「良くやった。フランツ儀式枢機卿。主だけだ、必要なのは」
ハリーが勝ち誇ったように笑った。
セシリアちゃんは相当重症みたいで、まだ今の段階で動けるようではないみたいだ。
「どうする? 」
イエスが逃げながら叫んだ。
「とりあえず、逃げててくれ! 」
俺がそう叫び返す。
まずはセシリアちゃんの無事が大事だ。
ただ、俺がここから離れないと地の龍のエンシャントドラゴンは攻撃が止まらない。
俺とナマケモノの様なキメラが剣と爪で数撃の金属音を鳴り響かせた。
ああ駄目だ。
セシリアちゃんじゃないと俺では前もっていろいろと用意して無いと勝てない。
相対してキメラの力量を見る限り、それが分かった。




