第十部 第八章 説得
「貴様、もともとグラナディア帝国の法衣貴族ではないか! 貴様の家族も巻き添えで死ぬのだぞ! 」
セシリアちゃんの師匠のヘンリー契約枢機卿が叫んだ。
「ふふふふふ、家族などすでにおらんよ」
フランツ儀式枢機卿に笑った。
それを聞いてセシリアちゃんの師匠のヘンリー契約枢機卿が少し驚いた顔をした。
「待ちなさい。貴方にだって親族や親友などがいるはずだ。家族だけが人の縁では無いだろうに」
俺がキリリと話す。
「その通りだ。子供の時からの思い出だってあるんだ。そう考えたら、グラナディア帝国の首都が破壊されたら、その思い出すら無くなってしまうんだよ」
イエスが俺に合わせて、久しぶりの小刻みな小さなシンバルみたいなシャンシャン音を効果音で出しながら、切々と語りかける。
『良いぞ。効果音が心に刻み込むようだ。素晴らしい』
「いや、破壊命令出したお前らが言う事では無いと思うんだがな」
俺が喋ってたらしくて、アルバートが余計なことを言う。
「馬鹿者がぁぁぁ! 良く考えるんだ! ここからまっすぐにグラナディア帝国の首都に向けて光の輪が発射された場合、一直線の線上にあって蹂躙されるのはお前の故郷のバートランド伯領なんだぞ! 」
俺がアルバートに叫ぶ。
「え? ああああああああああああああっ! 止めろっ! あの地の龍のエンシャントドラゴンを止めてくれっ! 」
アルバートが気が付いたらしく動揺して叫ぶ。
「愚かな……」
イエスが動揺しているアルバートに冷やかに呟いた。
「さあ、アルバートもフランツ儀式枢機卿を説得するんだ」
俺がそうアルバートに告げる。
「ええええと……俺だって俺を見捨てた親父は憎いが、家臣達や身分を超えた友人達がいるんだ。貴方にだっているはずだ。だから、この暴挙を止めるべきだっ! 」
アルバートが必死にフランツ儀式枢機卿を説得した。
「ほほう。君は私と同じ考えだと思ったのだがね」
フランツ儀式枢機卿が笑った。
「ど、どういう事だ? 」
「私も家族をくだらない内紛に巻き込まれて殺されてしまってね。確かに友人達はいるが、それ以上にその内紛を起こした帝王の取り巻き連中が許せないのだよ。憎悪はそういうものをすべて超える。君の事情は私も良く知っている。だとすると、この光の輪が一直線に通ればバートランド伯の城を通る。憎い君の父上も父上の寵愛を受けてる愛人も全て居なくなるのだぞ」
フランツ儀式枢機卿が淡々と話した。
廃嫡した親父と寵愛を受けている愛人がいなくなると聞いたら、アルバートが黙った。
「え? 黙っちゃうの? 」
「マジかよ」
イエスと俺が突っ込んだ。
アルバートは見て見ぬふりをするらしい。
腐ってるわ。




