第十部 第七章 一か八か
その時、フランツ儀式枢機卿のキメラをセシリアちゃんが完全に圧倒しだした。
恐るべしセシリアちゃん。
こんなキメラに勝てるレベルの魔法少女ハピネスって何なんだよ。
しかし、ハリーの指示だろうが、地の龍のエンシャントドラゴンが光の輪をセシリアちゃんに向けた。
セシリアちゃんが避けるが、光の輪がかすったのか地震の前段階のようにシェイクされて転がった。
「待て! 紋章が無いとはいえ、その子は本来は魔法少女ハッピネスだぞ! 祖師の命に逆らい殺す気かっ! 」
セシリアちゃんの師匠のヘンリー契約枢機卿が叫んだ。
「何度も馬鹿なことを言わせるな。福音枢機卿は紋章なのだ。魔法少女ハッビネスを作ろうとなさった祖師も、紋章こそとおっしゃっておられた。この場合、殺してはいけないのは主のみ。他はどうでもよい代物だ」
ハリーが憎々しげに笑った。
「きゃーっ! 」
地の龍のエンシャントドラゴンが地面ごとセシリアちゃんを蹴り上げた為に、セシリアちゃんが跳ね飛ばされた。
セシリアちゃんのこんな悲鳴なんて初めて聞いた。
「だ、大丈夫か? 」
俺が慌ててセシリアちゃんに聞いた。
だが、セシリアちゃんが呻いてる。
まずい。
俺に脂汗が流れる。
セシリアちゃんは俺にとって、たった一人の幼馴染で大切な友人なのだ。
「良し、主の未練は無くしてしまえ! 地の龍のエンシャントドラゴンよ! そのいらなくなった魔法少女ハッピネスの元の奴は潰してしまえっ! 」
ハリーが叫んだ。
「待てっ! 」
俺がハリーを止めるように叫んだ。
「ふはははは、無駄無駄っ! 主は所詮、紋章の運び屋なだけだっ! 」
ハリーが俺をあざ笑った。
「やめてっ! 」
「セシリアっ! 」
ジェシー達やアルバートが叫ぶ。
だが、ハリーは一瞥もしなかった。
「地の龍のエンシャントドラゴンよっ! 我こそが福音枢機卿だ! 我に従えっ! 」
俺が光り輝く自分の紋章に手をやって叫んだ。
「ふはははは、残念ですが破壊の命令は出来るのですが、破壊を止める命令は紋章の運び屋たる主には出来ないのです」
ハリーがにやにやと笑った。
「地の龍のエンシャントドラゴンよ! 我が破壊の命令を聞けっ! 汝が破壊するのはグルナディエ帝国の首都だっ! 」
俺がそう叫んだ。
そうしたら、俺の紋章が一際強く輝いた。
「我、汝、福音枢機卿の命に従う」
地の龍のエンシャントドラゴンがそう話すと、翼を思いっきり広げて、最大級の光の輪を生み出してグルナディエ帝国の首都に向けて発射した。
「ええええ? 」
「え? 」
ジェシー達が一斉に唖然とした。
「さあ、あんたの故国のグルナディエ帝国の首都はこれで終わりだ。どうするんだ? 」
俺がフランツ儀式枢機卿にあざ笑うように話した。
「なるほどな。祖国を攻撃されては流石にこちらどころでは無いだろう」
イエスが俺の作戦を読んで頷いた。
流石だ。
こういう所は本当にすぐ理解する。
そのイエスの言葉でジェシー達の顔もほっとした顔をした。
「ふむ。良かろう。これで私の中の人間の心の部分も全てケリがつくというものだ」
フランツ儀式枢機卿が本当に嬉しそうにほほ笑んだ。
「えええええええええええええええええ? 」
俺の想像と全然違う反応キター!




