第十部 第五章 死闘
「き、貴様ぁぁぁ! 騙したな! 」
騎士団の隊長が絶叫して抜剣するより早く、騎士団の隊長の首がころりと落ちた。
「やれやれ、私のキメラが隠れているのも気が付かない貴様らごときが騙す騙さないもなかろうに」
フランツ儀式枢機卿が笑った。
その隣には全長三メートルを超える巨大な爪だけ伸びたナマケモノのような怪物が立っていた。
しかも、それの俊敏性は俺でも避けるのは難しいスピードで残った騎士達をバラバラに寸断した。
「逃げるぞっ! 」
イエスがそう囁いた。
それと同時に羊の軍団が動き出した。
二本足で立つと俺達を抱えて疾走を始めた。
またしてもだが、遠くへ逃げるしかない。
「ごめん! 後で謝るからノーマも連れてって! 」
ジェシーが叫んだもんで仕方なく、イエスが口笛を吹いて呆然と立っているノーマも羊に運ばせた。
「甘い甘い甘いわぁぁぁぁ! 」
ハリーが叫んだ。
地の龍のエンシャントドラゴンが光の輪を次々と発射した。
近隣は異常な地震と破壊で無茶苦茶になった。
だが、羊がおかしい。
そんな僅かな崩れを次々と信じがたい膂力で切り抜けていく。
「ふはははは、山羊は高い山の岸壁を平気で登るだろう。だから、うちの羊も同じことができて当たり前っ! 」
イエスが運ばれながらハリーに笑う。
「いや、羊はウシ科ヤギ亜科ヒツジ属で山羊は山羊はウシ科ヤギ亜科ヤギ属で違うぞ」
「えええ? 」
「羊は高いとこ登りません。それを知らんで自分の羊達に教えたのかよ」
「いや、うち、スパルタだから」
「ひでぇ話だ」
しかし、そうは言っても、その羊に助けてもらってるのは間違いないのだが。
「止めろっ! フランツ儀式枢機卿! 他の奴は良いっ! 主だけは逃がすなっ! 」
ハリーが叫んだ。
俺が羊さんから飛び降りて剣でナマケモノのような俊敏なキメラの爪を刀で受けた。
一撃で師匠から貰った黒塗りの剣が欠けた。
凄い膂力だ。
ナマケモノのようなキメラは俺だけに狙いを絞ったようだ。
俺を殺すわけにはいかないので足を執拗に狙ってくる。
足が無くても紋章があれば良いと言う事らしい。
「流石はあの死神の弟子だけはある。しぶとい」
フランツ儀式枢機卿が納得したように笑った。
その時、クシュンって音がして、ナマケモノの様なキメラが殴り飛ばされた。
一瞬にして三メートルを超える巨体がぬいぐるみのように跳ね飛ぶ。
「ハリー! いい加減にしなさいっ! 」
そこにはセシリアちゃんがいた。
「何だ、この娘はっ! 」
フランツ儀式枢機卿ガ驚いた。
「それが、本来の魔法少女ハッピネスだっ! 」
ハリーが叫ぶ。
セシリアちゃんがさらにナマケモノの様なキメラに数撃を加えた。
そこには信じがたい人外の戦いがあった。




