第十部 第二章 シェルター
「ピギーッ」
羊達の方から悲鳴が上がる。
ジェシー達の前で羊があっという間にオオトカゲを吊り上げて血抜きを始めた。
「また、トカゲか」
アルバートが苦笑した。
「それにしても、トカゲも増えたな」
イエスがそう独り言を呟いた。
「それは確かに言えてるね」
ダリアも頷いた。
『これも、またこの計画の一端なんじゃないよな』
「あり得るかもな。世界の環境を一変させると祖師は言ってたらしいから」
俺が喋ってたようでセシリアちゃんの師匠が同意した。
「ますますもって碌な話じゃないな」
イエスがため息ついた。
そんな中でジェシー達は羊達に気を取られていた。
「凄いね」
「器用だな」
トカゲは数匹だったらしくて、それを器用に処理していく羊達を見てジェシーとマシューが感心していた。
「とりあえず、今日はこの辺で休むか? 天気が悪くなってきたし、シェルターを作った方が良いかもしれん」
アルバートがそう言ったので、急遽、木を使ってシェルターを俺達は作り、ジェシー達は料理をセシリアちゃんと作ることになった。
「まあ、正解だよな」
俺が雲の動きを見て呟いた。
「結構な雨になると思うぞ」
イエスが雲を見て、そう話す。
イエスは羊飼いをしてたから天候の予想は凄く当たる。
「洞窟でも探した方が良いのか? 」
俺がイエスの予想を聞いてアルバートに聞いた。
「いや、そんな場所ないしな。とりあえず、がっちり枝で雨が降り込まないようにするのと、ちょっと高い場所に作ろう。横から水が浸入しても困るし」
「分かった。急ごう」
「羊たちの小屋もいるぞ」
イエスが困ったことを言い出す。
「ええええ? いや、まあ、そうだけど」
「まあ、羊達に手伝わさせるわ」
イエスがさらりと凄い事を言う。
「すげぇな。小屋まで自分で作れるんだ」
「簡単なものだがな」
アルバートが感心していた。
本当に万能の羊でやんの。
というわけで、雨が降り始める前に簡単にさしかけ小屋を作った。
屋根の形にツタで組んで、葉っぱのついた枝を敷き詰めるわけだ。
雨が降ると言うので傾斜も水が流れる45度に組んだ。
「流石だな。冒険者なだけあって、あっという間に作れるんだな」
セシリアちゃんの師匠が感心していた。
「まあ、いつもの事ですからね」
アルバートが笑って頷いた。
「とりあえず、屋根をもう少し補強した方が良いかもな」
イエスが呟いた。
「ああ、そうするつもりだ。ハリーの毒針をくらって突き抜けないようにしたい」
俺もイエスの言う事が理解できたのでそう答えた。
祖師の悲願とやらは諦めることは無いだろうし。
雨だと索敵も効きにくい。
結構厄介な事になるかもしれない。




