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第十部 第一章 プロローグ

 とりあえず、山へ山へと俺達は移動した。


 地の龍のエンシャントドラゴンが飛んでくるかと思えば、その様子はない。


『紋章が近くにないと、地の龍のエンシャントドラゴンはハリーの言う事を聞かないのだろうか』


「いや、それは分からん。ただ、心配なのはケルト王国もここまでやられて放置はしないだろうから、結果として地の龍のエンシャントドラゴンと戦いになるかもな」


 俺が喋っていたようで、セシリアちゃんの師匠が答えてくれた。


「全く、とんでもない話になったわね」


 ダリアが愚痴る。


「すまない」


 セシリアちゃんの師匠が頭を下げた。


「いや、その横のどうしょうもない男に嫌味で言ったのですけど」


 ダリアが俺を見て愚痴る。


「何か、本当に仲が悪いんだね」


 マシューが苦笑した。


「エドウィンも被害者なんだから」


 ジェシーが間に入ってくれた。


「後は先行しているノーマがノーサンバーランド伯領のギルドの伝書鳩の駅舎に行って、エイドリアン様に連絡を取ってもらうしかないな」


 イエスがそう呟いた。


 あれから、皆で話し合った結果、ノーマがノーサンバーランド伯領のギルドの伝書鳩でエイドリアン様に連絡を取ることになった。


 で、厄介なのはハリーは間違いなく俺達を追いかけてきていると思われた。


 だから、俺達も戻るのでなく、さらにアイシクルケイブより遠くへと移動した。


 ノーサンバーランド伯に俺達も助けを求めたいところだが、すでに俺達の悪いうわさが拡がっているので投獄されている間にハリーに追いつかれたら意味がない。


「それにしても、地の龍のエンシャントドラゴンは飛んで来ないな」


 アルバートがそう空を仰いだ。


「それが確かに変なんだ」


 セシリアちゃんの師匠もそう答えた。


「ハリーがコントロールできてないのでは? 」


 俺がそう聞いた。


「いや、そんなはずはない。ナビゲート役とはいえ、地下風水木の龍であるエンシャントドラゴンに対して指示に従わせる程度の契約をあのハリネズミは持っているはずだ」


「じゃあ、なんで? 」


「分からん」


「困ったもんですな」


 イエスが苦笑した。


「今日も一日マラソンだな」


 アルバートが苦笑した。


 羊たちはもしもの時に温存するために、俺達とともに走って移動している。


「とりあえず、ノーマが帰ってくるのを待つしかないね」


 ジェシーがそう言って笑った。


 確かに、それしかなかった。

 


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