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第九部 第二十二章 羊の軍団

 その時に援軍が来た。


 イエスの羊達だ。


 彼らは俺のまわりに来るとイエスとともに俺を担ぎ上げるとあろう事か二本足で立ちあがって走り出した。


 俺を運ぶもの以外は手に手に背中に乗せてた鉄板のような盾を頭に掲げて走る。


「ば、馬鹿なっ! 」


 ハリーが絶句した。


 ハリーの毒針をその盾で器用に避けながら、俺とイエスを守って走る。


 今日ほどイエスの羊達を頼もしいと思ったことは無い。


 しかも、さすが熟練の傭兵のような連中だ。


 盾だけではなく、二本足で走ることで、うまく木に隠れて逃げている。


「おのれっ! おのれっ! 」


 ハリーが叫ぶ。


 羊に運ばれて木の陰から見ていたハリーはちらちらと地の龍のエンシャントドラゴンを見てはあきらめた顔でこちらを鬼のような顔で見た。


 恐らくエンシャントドラゴンに俺達を攻撃させようと思ったのだが、それをするとケルト王国の王都の攻撃が中止になってしまう。


 光の輪が光のスピードならよかったのだろうが、地震のための歪みを起こしながら進むので、時間がかかるようだ。


 羊達はさらに優秀でセシリアちゃん達やジェシー達まで運んで逃げてくれてる。


 しかも、俺達を持ってる羊が疲れたら、順番に運ぶ羊が変わるローテーション込みだ。

 

「恐るべし羊軍団」


 俺が呟いた。


「まあな。もしもの時にハリーに攻撃されるかもしれない計算をしていて良かったよ」


 イエスが羊に運ばれながら呟いた。


「奴が裏切るのを分かっていたのか? 」


 俺が驚いて聞いた。


「いや、逃げた時に裏切り者って打ち込まれないようにだぞ」


「ああ、なるほど」


『イエスの結論に納得してしまう自分が悲しい。確かに、俺も立場が同じなら割に合わないなら逃げるよな』


「ご理解いただいてどうも」


 俺が喋っていたのかイエスが笑った。


 俺達は羊に運ばれ続けた。


 だが、中々俺の紋章の光が消えない。


「間違いだったのか? 」


 セシリアちゃんの師匠が心配そうに光ったままの俺の紋章を見た。


「いや、ハリーは俺達の馬車の馬を殺しました。間違いないはずです」


 俺がそう答えた。


 そして、羊達が走り続けて五キロくらい離れたら紋章の輝きが消えた。


「どうだろう」


 俺がセシリアちゃんの師匠に聞いた。


「これで地の龍のエンシャントドラゴンの契約は途切れたと思うが、問題は時間がかかり過ぎた。ケルト王国の王都はどうなったのだろうか? 」


 セシリアちゃんの師匠が心配そうに羊に運ばれながら呟いた。


 羊達も毒針の攻撃を避けれる距離になったら、四本足に戻して運んでくれている。


 交代しながらだが、やはり疲労が出てきていた。


「とりあえず、羊達には悪いがもっと離れよう」


 イエスがそう答えた。


 確かに、離れるだけ離れないとやばそうだ。


 俺達は不安になりながら逃げ続けた。


 



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