第九部 第二十章 契約枢機卿(コントラクトカーディナル)
ハリーの言葉をきっかけにしたように地の龍のエンシャントドラゴンが巨大な翼を拡げて、全身が輝きだした。
「おいおいおい、どうする? 」
「ケルトの王都の方だな」
「このままじゃ、やばいんだが……」
俺がイエスの言葉に仲間達を見たら、アルバートは岩とお話ししているし、ダリアは魔法使いの服を拡げて踊っていた。
これじゃあって思ってジェシー達を見たら、ハリーがハリーがとか騒いでるセシリアちゃんを必死に慰めていた。
「そんな場合ではないのでは無いかと思うのだが」
「普通ならハリーよりも自分が福音枢機卿だった方がショックだと思うんだがな」
「まあ、それは言えてるよな」
俺とイエスが苦笑した。
「どうも、まともに思考が働いているのは君達だけのようだな」
セシリアちゃんの師匠が俺達に話しかけてきた。
「というか、逆にまわりがパニックになっちゃってるんで、冷静になってる部分はありますがね」
俺がそうセシリアちゃんの師匠に苦笑した。
「君には済まない事をした。あの時、君のお父さんと相談した結果、こうするしかなかったのだが、それは失敗だったようだ」
セシリアちゃんの師匠が頭を下げた。
「まあ、しょうがないですね」
俺自身、別にセシリアちゃんの師匠とも面識あるし親父も関わってるならしょうがない。
「立派だな」
イエスが俺に感心しているようだ。
「いやいや、とりあえず。あの攻撃は何なんです? 」
俺がセシリアちゃんの師匠にエンシャントドラゴンを指さして聞いた。
「あの地の龍のエンシャントドラゴンは地表に歪みを与えて振動を起こせる。つまり、本来ならプレートで起こる地震を地表でゼロメートルで起こすことができるんだ」
セシリアちゃんの師匠が説明してくれた。
「なるほど、貴方も転生者でしたか」
俺が苦笑した。
「分かるか? 」
「地震がプレートで起こるなんて知らないですよ。この世界の人間は……。そして、さらに神聖帝国の人間なんですね」
俺がそう答えた。
「おそらくは、枢機卿の位もお持ちですか? 」
イエスも俺と同じで気が付いたらしい。
そうでないとエンシャントドラゴンの力が何かなんて知らないからな。
「ああ、枢機卿ではなく、その上位の特任枢機卿の一人で契約枢機卿だ」
セシリアちゃんの師匠がそう話す。
「なるほど、その力は紋章を移動させるものなんですね? 」
「ああ、落伍者や失格者の枢機卿から紋章をはぎ取り、ただの人に戻すのが私の使命だった。勿論、相応しい人物に移す訳だが」
セシリアちゃんの師匠がほろ苦い顔で答えた。
「だから、セシリアちゃんの紋章を移せたと……」
「いや、出来たのは奇跡だった。特任枢機卿の中でも特別な福音枢機卿の紋章だ。私の紋章の力とともに全てを使って成し得たのだ」
セシリアちゃんの師匠が話す。
「え? もう移せないの? 」
俺が輝いてる胸の紋章を見て話す。
「無理」
セシリアちゃんの師匠が無情にも答えた。
「「ええ? 」」
もう他に方法が無かったりする。




