第九部 第十五章 話が違う
「嘘っ! 」
ダリアが悲鳴を上げる。
彼女の索敵にも全貌が見えてきたのだろう。
「まさか……」
ドンドン先に俺達を行かせてたセシリアちゃんが絶句した。
「あーあーあーあーあー、何がいるか分かった」
「あーあーあーあーあー、俺もだ」
俺とイエスが絶望的な悲鳴を上げる。
「な、何がいるんだ? 」
アルバートが動揺して聞いた。
「ドラゴンだ。それもエンシャントドラゴンだ」
俺が呟いた。
「嘘っ、どおりで……」
ダリアには相手の強さしか分かってなかったようで、エンシャントドラゴンでやっと納得したようだ。
『この世界はファンタジーだが実はドラゴンは一部のワイバーンが辛うじて山の方で生息しているくらいで、この手の神に匹敵する古龍なんてもう百年以上も存在が分かっていない。皆、それらは滅んだとされていた。だが、ここにいる。しかも、俺を待っていたと……。もう、これは世界が終了と同じレベルなんじゃないだろうか。やっちまっただよ』
「いやいや、お前にそう言われると俺も泣きそうなんだけど」
俺が喋ってしまったようで、イエスが泣きそうな声で呟いた。
「主は役目をご存じだったのですね」
ハリーが異様な事を目を輝かせて言い出した。
「は? 」
「え? 」
俺達が固まる。
ハリーが生き生きとしていた。
「ど、どういう事? 」
セシリアが動揺している。
ハリーが可愛らしい様子をそのままに雰囲気がおかしい。
「我らが神聖帝国の祖師は未来を予言なさる力を持っていました。彼は理想郷を作るはずだった神聖帝国が中身が腐るのを未来予知でお知りになられました。そこで、そうなった時の対策を準備しておられたのです」
ハリーが目をキラキラさせて話す。
「いやいや、ハリーさんキャラが変わりましたか? 」
「嫌なパターンだな」
俺とイエスがささやかに突っ込んだ。
「私は本来がこうなのです。何しろ、福音枢機卿を導くのが役目なのですから」
何だか、ハリーの目が狂信者みたいに見えた。
『なんぞ、これ? 』
「騙されたんかな? 」
俺の呟きにイエスが囁いて返す。
「ど、どうしたの? ハリー? 」
セシリアちゃんがショックだったのか、混乱している様だ。
最初から、そうだっただけなんだろうけどな。
ヤバイ奴だったわけだ。
「我らが神聖帝国の祖師はこうおっしゃいました。太古のこの世界の神龍達との契約で私はこの神聖帝国を作った。理想郷を作るために彼らは協力してくれた。だが、それが悪い方向に向かい世界が駄目な方向に行くならば、新たなる神龍達との契約を持ってすべてを滅ぼせと」
ハリーの目がギラギラしている。
「ああ、やっぱり駄目な方だったか」
俺ががっくりと項垂れた。




