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第九部 第十四章 待つもの

 右に進むにつれて妙な震えが出てきた。


 何だろう。


 何が待っているんだろう。


 ここまで必死に抵抗してきて、ここにだけは入りたくなかった。


 実は、それが本音だったり。


「あーあー、何か自分の人生を決めることが始まるんだなぁ。師匠と会った時もこんな感じだった」


 俺が愚痴りながら呟いた。


「やはり、分かるんですね。良かった。私の主は本物だった」


 ハリーが感涙していた。


「いやいや、偽物で良いんだけど」


 俺がそう突っ込む。


「あまり、良い運命じゃななさそうだな」


 イエスがズバリと本音を呟いた。


「そりゃそうだろ。先にいるのがお前にもなんとなく分かるだろうに」


「ああ、分かるわ」


 俺の愚痴にイエスが頷いた。


「私達の索敵じゃ分かんないんだけど」


「異様な妖気が出てて邪魔してるよね」


 ダリアとセシリアが困惑していた。


 アルバートが微妙に震え出した。


 凄まじい圧倒的な気配がする。


 そう、強大すぎる。


「凄いのがいるな」


 俺がそう呟いたと同時に戦闘羊が物凄いスピードで撤退した。

 

 素晴らしい。


 流石歴戦の勇士達だ。


 そうでないと生き残れないもんな。


 イエスも逃げようとしたが、服の裾をセシリアちゃんに掴まれていた。


「マジな話して良い? 」


「ああ、良いぞ」


 俺の言葉にイエスが目をキラキラさせて頷いた。


「帰んない? 」


「そうしよう」


「確かに仕方ないな、戦略的撤退だ」


「ちょっと、私達の手に余るわ」


 俺の言葉にイエスとアルバートとダリアが頷いた。


「ま、待ってください。すでにこちらが来ているのを向こうは気が付いています。相手を激怒させるかもしれませんよ。貴方を待ってますから」


 そう必死にハリーが話す。


「ほら、ハリーが言ってるし」


 セシリアちゃんがそう微笑んだ。


「激怒したとして、俺達が全速で逃げて逃げれそうなのか? 」


 俺が真顔でハリーに聞いた。


「何で、逃げる話ばかりなんですか? そもそも、この異変を感じてから、ずーっと逃げてませんか? 」


 ハリーが厳しい事を言った。


「いや、人生、ずーっと逃げてますよ」


「ああ、分かるなぁ」


 俺の返した言葉にイエスが深く頷いた。


「いやいや、逃げてばかりじゃだめだと思う。貴方に関係ある事なんだから」


 セシリアちゃんがそう俺に話した。


『いや、俺に関係あるから逃げてんだが』


「お前、今、なんつった? 」


 俺が喋っていたのか、セシリアちゃんがオラオラモードになった。


「絶対、やばいって。碌なこと無いと思うよ」


 俺が断言する。


 多分、これはあってはいけないルートなんじゃないだろうか。


 マジでそう思った。


 だが、運命とは変えれないのだろうか。

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