第九部 第十三章 右へ
「本当に鍾乳洞なんだな」
俺が驚いたように呟いた。
ここのダンジョンには潜ったことが無いからだ。
「逆にダンジョン潰して、こういうのって観光地として儲けれんのかね? 」
イエスがそう呟いた。
秋吉台とかの鍾乳洞レベルだ。
真っ暗な中、ダリアのライトの魔法だけで入るが、鍾乳洞の中は綺麗だ。
「いやいや、こんな洞窟に商品価値とかある? 」
「何も無いぞ? 」
ダリアとアルバートが呆れた。
このあたりが俺達みたいな転生者との感覚の違いがある。
生活が苦しくて生きるのに必死なせいなのか、自然が美しく景色を愛でるとかいう感覚はあまり持っていないようだ。
「感覚が違うから難しいだろうな」
「そうかもしれないね」
俺とイエスが囁いて話す。
「随分、ジェシー達は先に進んだみたいね」
セシリアちゃんが俺達の話の脱線を許さない感じで、そう呟いた。
『ここで騒いで時間稼ぎしてると思われたのかもしれないが、それは違う。単に金の生る木を探しているだけなのだ』
「羊の草刈りが厳しいからな」
俺が喋っていたようで、イエスが深く同意してくれた。
「時間稼ぎをしているとは思わないけど、ジェシー達が危ないかもしれないじゃない」
そう、セシリアちゃんが厳しい目で俺達を見た。
「こちらから攻撃を仕掛けない限り大丈夫だと思いますよ。それに、どうも別の方向にあちらの方々は行ったようです。ここの道が左右に枝分かれしてますが、あちらの方々は左に行って下に降りたようですが、右が本命です」
ハリーがそう右の道を指さした。
「良し、左に行くか」
「まず、仲間を助けないといけないしな」
「そうだよな。ジェシー達が危ない」
「ハートネット公爵のギルドに二つしかないA級冒険者チームの仲間だものね」
セシリアちゃんとハリーを除く俺達の意見が一致した。
「いやいや、何しに来たんですか? こちらを解決すれば良いだけなんですよ」
ハリーが呆れて突っ込んだ。
「ハリーの言う通りに、こちらに行ってみよう」
セシリアちゃんが右の道を指さした。
「いやいや、セシリアちゃんは仲間を見捨てるの? 」
「まずはジェシー達を見つけるのが先だと思うよ」
俺とイエスが必死だ。
「まずは合流だと思うよ」
アルバートも恐る恐る言う。
「本当に、あんたたちドンドン腐っていってんじゃん」
セシリアちゃんがキレた。
「いやいや、君子危うきに近寄らずだよ? 」
「主のこれからに大事な事なんですよ」
俺が愚痴ったらハリーが真面目な顔で俺を見た。
「俺のこれからは小金を貯めてアーリーリタイアなのに……」
セシリアちゃんがさらにキレそうなので、消え入りそうな声で言いながら右についていく。
悲しい。




