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女神のブレスを  作者: マイペ
9/10

それぞれの悟り。

 「俺が格安でお古譲ってやったのはお前を甘やかす為じゃないぞ。

ちゃんと俺が渡してやった武具は整備してるんだろな?」


テンガに話しかけたのは主長だった。


「はっはい!

家で自然力を流したり練習してました。

先程も聖光の腕輪に助けられた所です。」


先程発動した読心術は何だったのだろうか?

読心術(小)だから間違って聞こえたのかもしれない。

スキルを持っていない期間の方が長かったテンガは混乱しながらもそう答えた。


無論スキルに間違いなどない。

読心術(小)でも発動さえすれば内容は真実だ。


「バカ野郎!

聖光の腕輪の防御力上昇なんて最期の御守りみてえなもんだ。

いいかテンガ、これからは毎日集会所に顔を出してしっかり稼げ。

俺のお古を継いだ以上お前は俺の物…、いや俺の弟子みてえなもんだ。

金が貯まったら防具選びに付き合ってやるからわかったな。」


そうか!主長は自分の武具を継いだ俺の事を弟子として心配していたのか。

テンガは先程のスキル読心術をそう理解した。


 テンガはそのまま受付嬢に薬草を渡して依頼達成報告をする。


「あら?いつもより多いじゃない。

412インね。」

受付嬢は相変わらず冷たいものの変な扱いをしてくる事はなくなった。


袋のスキルのおかげで運べる薬草が増えたといっても412インか…。

これじゃ防具はもちろん干し肉も少ししか買えないな。

テンガがそんな事を考えていた時、筋肉バカどもがまた絡んできた。


「おいテンガ!

袋のスキルがあるなら合格だ。

お前に狩りを仕込んでやるから明日は俺達の狩りに参加しな。」


「えっ?」

テンガは今までとは違う筋肉バカどもの会話に驚いた。


「まっまあ、なんだ…、今迄の詫びとして、俺達兄弟が狩り仕込んでやるからしばらく荷物持ちとして参加しなって言ってんだ。」


テンガは驚いた。

大沼虫を討伐した事で今まで散々虐めてきたこいつらに認められたのだ。


テンガは驚いた。

筋肉バカどもが兄弟だった事に。


「とりあえず仲間になった記念だ。

袋のスキルがあるなら、ちゃんとした袋を使いな。

一応言っておくが今迄にお前からカツアゲした総額よりも少し高いからな。

今迄の事は水に流せ。」


水に流せと言われてハイわかりましたと言えるほど虐めは軽くない。


読心術(小)も発動しなかったから相手の真意も分からなかった。


それでもテンガの中で、とりあえず心の中の彼らの呼び方が筋肉バカども改め筋肉ブラザーズに変わったのだった。

テンガはただお肉が食べたかった。

テンガはただただお金が稼ぎたかった。


テンガはもう生きてるだけの何かではなかった。

欲を知ってしまった人間として生きている。


テンガは新たなる一歩を歩みだす。


この時テンガはもう一つのスキルが発動していた事に気付いていなかった。


モテモテ(効果小)(範囲小) モテる。

範囲小の範囲がどこかという事に。



 翌朝テンガは筋肉ブラザーズと共にジャングルに入っていた。


「こいつが足掛け罠だ。

獣の糞や足跡は見分けられるか?

獣が踏みそうな所に埋めるんだ。

まずは紐で作った輪を最小にしといて小型の獣から狙うんだ。

下手に大型の獣を罠に掛けちまうと大変な事になるから気をつけな。」


そういうと筋肉ブラザーズ兄は太い腕で器用に土を掘っていった。


「土がひっくり返った匂いも獣にはバレるから出来るだけ丁寧に掘れよ。」


テンガは筋肉ブラザーズと共に次々に罠を仕掛けていった。


「ふぅ…、これくらいでいいだろう。

ここら辺の罠に掛かった獲物は全部テンガの担当だ。頑張れよ。」


「えっ?全部俺の担当なのですか?」


筋肉ブラザーズ兄はテンガの疑問に歩きながら答える。


「ああ、俺達兄弟には罠なんかいらねえしな。

それから敬語はやめろ。

狩りの邪魔だ。

ずっとソロだったから気づかねえと思うが、

仲間内では出来るだけ短く正確に伝える癖を普段から付けておけ。」


そんな話をしているうちにテンガは風の中に獣の臭いを感じた。


「まずは少し離れて見てろ。

上、囮、首、下、足、俺が頭だ。」


それだけ言うと筋肉ブラザーズはジャングルの中に散った。


たった数秒でテンガはみんなを見失った。


相変わらず風が獣の臭いを運んでくる。

その風の中にテンガは僅かながら人の匂いを感じた。


ヤバイ気付かれる!


テンガがそう思った瞬間だった。


ウガオオオオオーーー。

獣は雄叫びをあげた。

獣も人の気配に気付いたのだ。


シャキーン。

グアアアアー。

「どおりゃあーー。」

グウウウッ。

ザシュッ!

ドオーンと轟音をたてながら獣が倒れる。


テンガはこれがつい最近まで自分を虐めてきた筋肉ブラザーズの仕業だとは思えなかった。あまりにも見事過ぎた。


「わかったか?」

そう言いながら筋肉ブラザーズ三男は獲物を抱えながら歩き出した。


「一人がわざと風上に立って囮になって、その間に攻撃した?」


「まだまだだな。

それにまだ油断するな。

周りの様子を感じろ。」


そう言われてテンガが再び集中して周りを探ると沢山の獣の気配がして驚いた。


テンガと筋肉ブラザーズは警戒しながら獲物を運び縄で縛って川へと投げ込んだ。


「ふう…、これで一安心だ。ここまでが狩りの1セットだから忘れるな。

飯にするぞ。」


 ご飯を食べながら筋肉ブラザーズはテンガに色々な事を教えてくれた。


囮役は風上で早めに抜刀する事。

他の者達は直前まで抜刀しない事。

これは金属の匂いを利用した作戦だ。


次に斬りかかる者は相手の足を狙う事。

これは相手の攻撃力を下げるだけでなく、万が一しくじって逃げる時の生存率も上げている事。


最後に斬りかかる者は的確に弱点を狙う事。

獣は体力が多くら弱点以外で斬り殺す事が難しいらしい。


最後念の為囮役だった者が弱点の首を突く事。


「そういえば何でさっきは首ではなく心臓を?」


「首を刎ねるのが理想だが獣が暴れて刺し損ねたり、失敗して頭を斬りにいった仲間に当たる事があるからだ。

実戦では状況を見極めて臨機応変に対応する事が大事だ。

それに心臓を刺した方が肉が美味く仕上がる。

買い取り価格も変わる事があるから気をつけろ。」


そして何より倒した後が一番危険だと言う事も教えてくれた。


戦闘の騒ぎや血の匂いで他の獣を呼び込んでしまうからだ。


「さてと、食い終わったら獣を袋に収納して運んでくれ。

後何匹か倒したら最後に朝の罠に戻っていよいよテンガの番だ。」


スキルモテモテの範囲に関しては、主長はお尻が好きとかワードちょこちょこ出して置いたのですがうまく書けていたでしょうか?

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