いつものはじまり
ゆっくり投稿するので気になったら後でまとめて読んで頂けると助かります。
今日も一日いつもの罵声から仕事が始まる。
「おいテンガ!今日も草拾いか?」
「少しは俺達みたいに獣狩りの仕事でも受けたらどうだ?」
「自然力どころか、ナイフすら一本も持ってないこいつには無理だろ。」
「ガーッハッハ。」
下品な筋肉バカどもにバカにされてる俺の名はテンガ。
ジャングルに囲まれた自然都市ニューサンの外れの洞窟に住んでいる孤児だ。
生まれた時にみんなが大自然から何らかの能力を贈られるこの自然都市で何の能力も贈られずに産まれた。
そして捨てられた。
今は街の外で食べ物や薬草を拾い何とか生活している。
俺は慣れた手付きで仕事募集の掲示板から薬草納品依頼のメモを取り受付に向かった。
「薬草納品依頼を受けます。」
受付嬢は俺のメモをめんどくさそうに受け取りながら言う。
「はいはい、いつもの薬草納品ですね。
男の癖に情けない奴…。」
そこに筋肉モリモリの主長が来て受付嬢を軽く嗜める。
「おい、ちゃんと仕事しろ。」
「それからお前らも弱い者いじめなんかしてないでさっさと狩りに出掛けやがれ。」
「ヘイヘーイ。」
主長の一声で俺に罵声を浴びせていた連中が一斉に動き出す。
俺は主長に一応お礼を言っておく。
「ありがとうございます。」
「武器を買えないのは仕方ないが、少しは言い返すなり筋肉を鍛えるなりしろ。
このままじゃ一生薬草拾いだぞ。」
「はい頑張ります。」
そう主長に返事をして俺はジャングルに向かった。