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そうだ、警備員やろう 改めBG。

作者: さきら天悟
掲載日:2021/04/07

『そうだ、警備員やろう。・・・』


耳から入ってくる。

視線はテレビに向いているが、視覚から入ってこない。

ぼっとして何も。

もう何日かこの状態だ。


夢をあきらめて数日。

まあ、諦めされられたと言った方がいい。

大学を卒業して、1年、頑張った。

よく頑張った。

血のにじむような努力もした。

痛み止めの麻酔もして試合にのぞんだこともあった。

そして、ついにメジャーな大会で4位になった。

これからという時、突然、終了・・・

うちのチームのエースが引き抜かれたのだ。


彼はポイントゲッター。

その大会で最多得点をあげていた。

そして彼は夢をかなえた。

プロになる夢を。

彼はe―スポーツの有力チームにスカウトされたのだ。


僕は彼を止められなかった。

それは彼の夢でもあった。

内心、複雑な思いで彼を祝福した。

そして、終わった。

僕のチームは解散することとなった。

3人のチーム。

もう一人は家業を継ぐことが決まっていた。

プロのなれなかったら、家業を継ぐことで親から支援を受けていた。

その彼はやりきった感で満足していた。

だから、もうチームの存続は無理だった。

チームがなくなった時、子供ころからの夢を諦めるしかなかった。


小学校の頃からゲーマーだった。

他の子より断然上手かった。

強いというより上手い。

化け物のように強いヤツがまれにいる。

驚異的な反射神経と野生の感を持つ。

うちのエースのように。

でも、僕は上手いという部類。

子供ながら戦術・戦略にたけていた。

勝ち方というものを研究していた。

だからプログラミングもかじってみた。

仕組みが分かれば、違う攻略方法が見つかるかもしれないと思って。

高校生の時、ゲームにプロがあることを知った。

それも稼げることを。

ゆくゆくはe―スポーツのプロになることを目標とした。

大学進学はそのためだった。

e―スポーツ部がある大学。

この4年間でプロになる足がかり作るつもりで。

そこで彼らと出会った。

彼らも同じ思いだった。

大学2年の秋、エース、サブアタッカー、後方支援の役割分担を確立し、

僕らの快進撃は始まった。

僕の役目は戦術・戦略の研究、後方からのサポート、そしてエースのガード。

最後の大会の準々決勝でエースの盾となった死んだ。

その後、エースは獅子奮迅の活躍で勝ち進んだのはその大会のベストシーンに入ったほどだった。


でも、僕にはプロチームから声がかからなかった。

数値に現れにくい貢献・・・

だから、僕は諦めた。

プロになることを。

エースの彼がいなくなったら、僕の力はいかせない。

もうこの年で彼のような逸材と出会う機会はないだろう。


・・・



『そうだ、警備員やろう。・・・』

また同じCM。

何か仕事をしなくちゃ。

大学はe―スポーツざんまい。

資格はない。

英語?

外国のゲーマーと片言で話せる程度。

人との交わりも得意ではない。

まあ、だからゲーマーになったということもある。


警備員、交通整理・・・

無理無理無理。

完全インドア派。

日差しが強い所で1時間も立っていられる自信がない。


ボディーガード・・・

僕は格好よくVIPをガードするイメージに浸る。

実際には無理だが、ゲームの中では・・・

最強のボディーガードだろう。

それには自信がある。


盾となって死んだシーンを思い出すと今も身震いする。

あの瞬間が、僕の最高・・・


・・・


そうだボディーガードをやろう。

僕は閃いた。

ゲームの中で。

チームで行う対戦ゲーム、プロのボディーガードに需要は・・・

ある。

お金を持っていそうな芸能人でもゲーム愛好会は多い。

元嵐の二宮和也さん、最近結婚した有吉弘行さん・・・

ゲーム好きの若い社長もいるだろう。

相手の望む時間、そして相手を守り、ゲームを勝たせる。

数万円でも。

ガチャで課金するよりいいだろう。

僕はプロのボディーガードになろうと決心した。




20年が経った。


まだボディーガードしてるかッて?


いや今はしていない。



そんな需要はなかったのって?


いや、引っ張りだこだった。

睡眠時間3時間ってことも続いた。

でも、3年で引退した。



体力的にきつかったのかって?


そんなことはない。



なあ、なぜ辞めたのって?


やらなくても良くなった。

十分お金は稼いだ。



そんなにって?


ああ、そんなに。

だから、大きな声では言えないが億万長者ってヤツ。

株式を上場したからね。


???


ただボディーガードになったわけじゃない。

『そうだボディーガードやろう』というサイトを立ち上げたんだ。

ゲームする人とゲーム内のプロのボディーガードを引き合わせるサイト。

サイトを通してお金のやり取りするで、完全明朗会計。

ボディーガードの評価も公表され、ランキングされるから分かりやすい。

それにボディーガードだけじゃなく、ゲームの始め方を指南する人もいる。

対戦型オンラインゲームにはなくてはならないサイトさ。



ふ~ん、じゃあ今は何やってるのって?


もちろんプロ。

e―スポーツの。

かつての仲間とチームを組んでる。

で、40歳以上のシニアの大会に出ている。

まあ、自分の会社が協賛してる大会が多いけどね。

『そうだ、警備員やろう。』

名古屋のセキュリティスタッフのCMです。

東海地方しか流れてないかな~

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