エゴイスト
「うわあああああああああああ!!」
男の声が響く。
「声大きいですよ!大の大人が注射くらいで!」
「だって痛いもんは痛いよー!ナースさん!」
「ですよねー!わかりますよー!」
「じゃあ、痛くないやつ頼むよ、先生ー」
「それは無理ですねー!ははは」
「白山先生ー。ちょっといいですかー。」
「はーい!今行きます!」
僕は白山命信。
地方の小さい病院に勤務している医者です。
この辺は事故やら事件が多くいので大変ですが、とても充実しています!
「…という感じでお願いします。」
「わかりました。行ってきます!」
院長先生から頼まれた仕事をこなしにいこうとしたその時でした。
「白山先生!大変です!」
「どうしましたー?」
「それが…近くで無差別の殺人事件があって、それで、」
「ほんとですか!?」
それからは大変でした。
今まで、大量の血やそれで亡くなった見てきました。
これは、運命なんだ。しょうがないことなんだと自分にいい聞かせてきた。
でも、こんな運命あっていいのか。
あるとしたらそれを決めた神はくそだ。
「彼が、殺人犯なんですよ!?今救うのは被害者の方でしょう!」
「あなたの意見は聞いていませんし命に優劣はありません。」
「くそ!」
なんでだ。救われるなら罪もない人だろう。
でも院長の言う通り俺に命に優劣はつける権利はない。
「電気ショック行います!準備お願いします!」
だけど、こいつがいなければと思ってしまう。
俺なら平等に命を扱えるのではと傲慢な考えが過ぎる。
「電気ショックいきます!」
バンッッッ!
それは電気ショックで出るような電力ではなかった。
そこから真っ暗だ。なにもわからない。
色んな音がする。
うるさい。
眩しくなってきた。
「う、なんだ、ここ…!?」
周りは森だ。手術室から程遠い景色が広がる。
「手術室にいたはずなんだけど……まず、ここ日本か?」
これはまだ始まったばかりの死神の物語。