拳銃乱戦 ~旧日本軍対旧日本領滞在アズマ軍隊~
俺らは旧日本軍。対して奴らは新立国軍。俺は旧日本軍の総指揮を任されている。なぜ国が二分したかと言うと、ややこしい。日本は西暦2700年に東の大帝国・アズマに攻め込まれた。日本政府は自衛隊や海軍を総動員したが、敗れた。結果、日本国はアズマ領となった。それに抵抗して、旧日本国民は軍を密かにつくった。そして、現在(西暦2753年)旧日本軍は新立国軍、つまり旧日本領滞在アズマ軍隊に攻め入った。そして、今こうなっている。
旧日本軍が有する武器は最新の連弾発射式携帯型遠距離攻撃拳銃百丁。旧日本軍は軍隊の数こそ多くないが、全員が手練れで拳銃の扱いがうまい。旧日本領滞在アズマ軍隊は数の寄せ集めで、手練れはいない。といっても、軍隊総勢五千兵。こちらは百兵。全員が片手に遠距離攻撃拳銃を持ち、敵地に踏み込んだ。
「お国のために、進め!」
俺の大声で火蓋が切られ、戦闘か始まった。
「うぉー!」
連弾発射式なだけあって、タイムラグがなく遠距離に弾丸を発射出来る。しかも、携帯型だから、軽いのだ。これなら、日本を取り戻せる。
「アズマ帝国ー!」
「このくそったれ! 俺らの国を!」
旧日本軍は怒りをあらわにして、拳銃を乱射した。
「総指揮。これなら、旧日本領滞在アズマ軍隊を倒せそううですね」
「ああ。うまくいっている」
最初の乱戦で旧日本軍が優勢を誇ったが、時がたつにつれて押されていった。旧日本軍の劣勢である。
「俺も進む」
「総指揮...」
「俺に続けぇー!」
「「おおー!」」
俺の後ろに控えていた旧日本軍の手練れが前衛に進み、押し返した。
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「ハハ! コイツラ、俺ラニ勝テルト思ッテイタノカ!」
「違イネェ」
旧日本領滞在アズマ軍隊は最後まで奮闘した旧日本軍の倒れている様を嘲笑っていた。
さて。死んで亡者となった俺が負けた理由を説明しよう。これは『ランチェスター第二法則』に基づいていた。総指揮である俺は知っていたが、そのことを言い出せなかった。
ランチェスター第二法則とは、ランチェスター第一法則と違い小銃などの拳銃を利用した乱戦を記述した法則だ。この法則に基づけば、どんなに手練れた拳銃使いが揃った軍でも、それより人数を集めれば手練れでなくても勝つのに有利になるのだ。つまり、俺ら旧日本軍に勝ち目は最初からなかったのだ。
では、これから成仏するからこれで失礼しよう。さようなら。