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116話 不仲な進軍

最近忙しくなってきたので、暫く投稿頻度が落ちると思います。

 

「マヤさん!第8軍の司令官、到着しました!」

「よし、通してくれ!」


 自分はラザフォードが扉を開けて、外に出る。自分は会議室で来客を待っていた。暫くすると、部屋に中年の男性が入ってくる。

 短い白髪に、整えられた口髭、紳士と言うのに相応しい格好をした男性だ。


「失礼する。フェンリル軍第8軍司令官、ジャック・ロングボウ、ここに参上した」

「ようこそ、第7軍へ。第8軍司令官。第7軍の司令官、マヤです」


 ジャックはヨルムンガンドが派遣してきた、悪魔で構成された第8軍の、司令官である。

 自分が敬礼をすると、ジャックも敬礼を返してきた。そして自分は書類をジャックに渡して話し出した。


「それでは、早速今回の作戦の説明に移りましょうか。どうぞ、お座り下さい」


 自分はラザフォードと共に、ジャックと向かい合う。初めて会う司令官で、合同で作戦を行えと、ケーニヒに言われている。サタン領から来たらしいので、ほとんど面識がないが、どうな人だろうか。


「ああ、一刻を急ぐからな。確か反乱を起こした王都の奴隷軍の援護だろう?あまり悠長にしていると全滅するぞ」

「ええ、分かっていますよ。今回は元奴隷商人のギルドの大規模な反乱が起き、援護すれば奴隷として売られていた数十万人規模の人材をこちらに提供すると、連絡が入っています」


 自分はぶっきらぼうな口調で話すジャックに少し眉を顰める。初対面で、しかも派遣された身で、あまり良い態度ではない。

 魔族だからなんて、言い訳は通用しない。魔族の方が上下関係は厳しいからだ。つまり、そういう奴か、もしくは自分を見下しているかだ。


「そして、今回の反乱で死ねば、死ぬほど、人数は減る。我が輩は人側の地理について明るくない。作戦はそちらで頼む」

「はい、まずは地図を。第7軍の総戦力で前線を反乱が起きている、アッティラ市まで押し上げます。出来る限り迅速に。そして、第7軍の通過でバラバラになった敵の基地を第8軍で完全に潰します」


 自分は前線から真っ直ぐに線を引く。一気に進むには遠い距離。しかし、第7軍には過剰な程の装甲部隊が存在している。と言うより、全員戦車兵として戦闘できる。


「了解した。細かい指示は後でよこしてくれ。一旦兵を休ませる」

「はい、作戦計画書です。読んでおいてください」


 自分は書類をジャックに渡す。自分がジャックが出ていったのを確認して、ため息を着くと。横でラザフォードが苦笑いしながら、コーヒを出してくれた。


「マヤさん、めちゃくちゃイライラしてませんか?」

「してる。めっちゃ、イライラしとる。あいつすげー偉そうにしやがって」


 自分はコーヒを啜る。今回の作戦が上手く行くのか、不安になってきた。重要な任務を達成するには、味方との連携が必須だ。


「安全第一で行こう。あのおっさんがしくじっても、リカバリーできるようにな」


 自分は立ち上がって、コーヒーを飲み干す。



 作戦決行当日。既に第7軍の四個師団は出撃の準備を済まして、前線で待機していた。自分は改造されたIS-7戦車に乗って、無線を持つ。


「ラザフォード師団、出撃!サヤ小隊、アクケルテ小隊、ラザフォード師団を護衛しながら進撃!」


 ラザフォードが師団長を務める第1師団が、土煙を上げながら敵地を目指して進む。偵察機の情報によると、既に敵の援軍が前線に向かっているらしい。その援軍が到達する前に前線に大穴を開ける。


「交戦が確認され次第、ヨミ師団、グラン師団は左右に別れて進撃。俺の師団は状況を見て、後ろから援護する」


 自分は息を吐いて、辺りを見回す。自分が直接指揮を執る、この師団は大型の戦車が多数編成された大隊が、殆どを占めている。

 フェンリル軍の戦車は機動性の高い物が多いが、その中でも遅い部類戦車が集まっている。


「ねえねえ!マヤー!緊張してない?紅茶飲む?」


 いきなり元気な声が聞こえた。下を見ると、グランが、紅茶の入った水筒を掲げながら、手を振っていた。


「グーラーンー!なんでここにいるんだよ!本部に戻れ!」

「なんでよー!マヤこそ、総司令官なのに前線に出てちゃ、だめじゃーん!」


 よく見ると、カヤが後ろでちびちび酒を飲んでる。どうやらテレポートでここまで移動してきたらしい。


「あのな、俺は死なないから前線にいるんだよ。グランは死ぬ可能性があるから、後方で指揮!最初に言ったろ!」


 自分はグランの頭をぐりぐりと、握り拳で小突く。グランはギャーギャー言いながら暴れるが、自分は逃がさないように、頭を抱え込む。


「このお馬鹿ドーラーゴーンンンン!やっぱりお前を師団長にしたのは、間違いだったのかなー?最近頑張ってたのに、この調子だとヘマこくぞ!」

「ごめん!ごめんってー!!落ち着かなかったから、マヤの顔見に来ただけよ!」


 自分はグランを解放して腕を組む。ラザフォードは指揮官として優秀で、ヨミはリーダーとしての経験と、魔物の統率を取っていた実績がある。

 グランは優秀とは言えない。しかし、グランは兵との信頼関係を深め、結束力の強い部隊を作り上げた。是非とも頑張って欲しいのだが。


「さっさと、司令部に戻れい! ティーパーティーは勝利の後に取っといてくれ」


 グランは口をとんがらせながら、何か言いたげにしていたが、カヤの所まで行き、こちらに叫ぶ。


「頑張ってよね!後ろで応援してるから、負けちゃダメだからね!」

「わかってるよ、後方であたふたすんなよ!」


 自分はグランに手を振る。カヤとグランの姿が掻き消える。その姿を見送って自分は車内に戻る。

 この戦車はサタンに、押し付けられた戦車であるが、あれからもプレゼントと称して何両か送られてきていた。それで、折角なので使わせてもらっていた。


「司令、もう敵の目前まで進撃したとの事です」

「よし!ヨミ、グラン、出撃!敵の傷口をぐっちゃぐちゃにしてやれ!」


 自分の指示と共に、3万人近くの大集団が戦車や装甲車に乗って進撃する。自分はその光景をハッチから頭を出して眺める。

 ラザフォードの師団は16000人、ヨミとグランの師団は15000人、自分の師団は10000人。対する敵は推定7個師団、100000人。

 不利なように見えるが、塹壕すら上手く作れない、余った兵が配置されているだけである。装甲部隊の突撃には耐えきれないだろう。


「久しぶりの大規模戦闘だな。なあ、パウ。見とけよ、これが戦争だ」


 自分はドヤ顔しながら、砲手席でうたた寝しているパウに話しかける。自分は言ってから1人で笑ってしまう。


「俺、格好良いセリフは吐けんな。黙って進めって言われるだけだろうし」

「うん。軽口を叩くと、ダサい」

「起きてんのかい。暫く出番ないから寝とけ」


 自分は目の前のタブレットに目を移す。そこには偵察機から送られてきた、戦場の風景が映し出されていた。



 パゴォォン


 自走砲が榴弾を発射する音が響く。前方では重戦車達がバリケードを押し潰しながら、トーチカに向けて徹甲弾を撃ち込んでいる。

 歩兵達は戦車を盾にしながら、魔法弾を撃ち込んだり、自動小銃で弾丸をばらまいたりする。敵は魔法を撃つか前のまま、穴だらけになって倒れたり、榴弾で木っ端微塵にされたりしている。

 だが、完全に一方的な戦いではない。


「炎上してるぞ!早く脱出しろ!」


 フェンリル軍中戦車から慌てて脱出した兵が敵の火弾で焼かれる。焼け焦げた死体を踏みながら、休む事無く兵は進撃していく。

 元々のどかな村だったであろう、主のいない家々は、燃え上がり、押し潰され、跡形もなくなっている。

 フェンリル軍は敵を殲滅する事が今回の目的で無い為、戦いながらも、進み続けている。



 2時間程経った後、第7軍はその前線を突破して、次の目的地へと向かっていた。後から援護に来た敵部隊も、まるで轢き殺される野生動物かのように、呆気なく潰されていた。

 その場から逃れた僅かな援軍が、第7軍が通り過ぎた後の基地に到達する。ここで体勢を立て直し、第7軍を包囲殲滅するつもりであった。


「別の敵軍が襲来!」


 残った王都軍の兵を今度は悪魔の大軍が殲滅する。救援を求める時間すら王都軍には与えられなかった。


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