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今はいない大切な君への贈り物  作者: 宮久啓平
43/71

ー渉ー ㉜

7月30日

 今日は何を書いたらいいんだろう。

えーとね、お母さんが帰った後、

カーテンの向こうから桜の声が聞こえたんだ。

びっくりしちゃって、思わず声を出しちゃったんだよ。

そしたらね、「ドン」って音がして、

泣き声が聞こえたの。

カーテンの隙間から覗いたらね、

桜が崩れ落ちていて泣いていたんだよ。

それを見たらね「桜」って

自然に声が出ちゃったんだ。

もう会わないって決めたのに、

副作用でやつれている姿なのに、

そんな事忘れて気付いたら桜を抱き締めていたんだ。

「ともみにもう会えないと思っていたんだよ」

って言っていたね。

私どうしていいか分からなくて、

桜が泣き止むまでずっと抱き締めていたんだよ。

泣き止んだと思ったらね、

今度は私をベッドに戻して、

「ともみが全部話すまで帰らない」

って椅子にドカッと座って、

私を見てくるから困っていたらね、

「もしかして、ともみの携帯に登録してあった

金子先生って、主治医なの?」

ってベットネームを指さして言うから、

さらに困っちゃったんだ。桜、勘が鋭すぎるよ。

それにこの病室まで来たから、

ある程度私の病気に気付いていると思って、

思い切って全部話したんだ。


五年前病気に掛かった事、

治療して学校に行けるようになった事、

友達に病気の事を話したらいじめられた事、

ストレスとかで他の病気に掛かった事、

長い間入院した事、不登校だった事、

通信制の高校に通った事、

金子先生の転勤が決まった事、

環境を変えるために引っ越した事、

朝散歩していたら渉君を見かけて好きになった事、

渉君の高校に一年間行くって決めた事、

学校でみんなに出会った事、先月再発した事、

渉君達と別れるって決めた事、

引っ越すと決めた事。

全部話したらね桜が一息ついて、

「まとめると、昔いろいろあって再発して、

私達にバレると嫌われて、

嫌いになった私達を嫌いになるのが怖くて、

別れたって事でいい?」

って言われたからね、小さく頷いたんだ。


そしたらね、「ともみ顔を上げて」って言われたから、

怖かったけど桜の言う通りにしたら、

ビンタされたんだ。

でもね、その後抱き締められて、

「苦しかったんだね。怖かったんだね。

ともみ頑張っていたんだね」

って言ってくれたね。

五年前、お父さんとお母さんからしか

伝わってこなかった温かさが、

桜からも伝わってきて、

思いっ切り泣いちゃった。

どのくらい泣いたかな?

とにかくいっぱい泣いたね。


私が泣き止んだらね、

桜が「みんなにも話してほしい」

って言ってきたんだ。

さすがに怖くて、首を横に振ったんだけど、

「ともみ私達を信じて。お願い。

もし、ともみを嫌いになる奴がいたら私も一緒に学校辞めるから」

って桜が真剣な眼差しで言ってくるから

頷く事しかできなかったんだよ。

後はね手紙と携帯の件も怒られちゃった。

「読め」って。


それからねこの一ヵ月の出来事話してくれたんだ。

でもね、苦しかった。

桜楽しそうに話してくれなかったから。

文化祭があったのにね。


それからね、帰り際

「私、ともみからの返事が来るまでもう来ないけど、

『一緒に学校辞める』って本気だからね、

ちゃんとみんなの手紙読むんだよ。

読んでどうするか決めたら、

私も含めてみんなに連絡するんだよ。いい。約束だよ」

って言い残して帰って行ったんだ。

後ね、桜と大事な約束もしたんだよ。

秘密だけどね。


それからね、何時間も掛けて渉君達の手紙読んだよ。

涙が止まらなかったよ。ごめんね。でもありがとう。

渉君達も辛かったんだね。

全部読み終わる頃には迷いはなかったよ。


桜の言う通り渉君達に連絡しようと久しぶりに

携帯の電源入れたら、

ラインの未読件数が千件を超えていたんだ。

びっくりしちゃったよ。

未読の内容を一通り見て

「みんなに大事なお話があります。

明後日三時に家に来て下さい。お願いします」

って送ったよ。渉君と桜には一時って送ったけどね。

でも怖くなかったよ。渉君達を信じたから。

明後日どうなるかな?

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