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今はいない大切な君への贈り物  作者: 宮久啓平
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ープロローグー

初投稿となります。

至らぬ点が多々あると思いますが、よろしくお願いします。

 ―プロローグー


 何度見ても天国かと思ってしまう。

 ここはカリブ海の楽園。キーカーカー。


 熱く降り注ぐ太陽の光、その光を優しく受け入れる優雅な海、

煌びやかに光る白い砂地、楽園へと続く桟橋、心地よい潮の香、心休まる波と風の音色。


 僕はその桟橋の先端に立っていた。

もちろん日光浴をしているわけではない。

目の前にいる彼女から発する言葉を待っているのだ。


彼女は白いワンピースに麦わら帽子、黒いペンダントが胸元に輝き、

麦わら帽子から覗く口元が忙しなく動いていた。


僕はそんな彼女の様子をずっと見ているので、鼓動が跳ね上がっていた。

この波の音色がなければ、どうにかなっていたかと思わせるくらいに。


 彼女は意を決したのか、突然ラジオ体操かと思うくらいの大きな深呼吸を二回行い、

視線を向けてきた。その瞬間僕の口の中は砂漠のように枯れ切っていたのにも関わらず、

無理やり生唾を作り出し飲み込んでいた。


彼女は微笑み語り始めた。


「抱き締めてくれてありがとう。

手を繋いでくれてありがとう。

いっぱいの笑顔をありがとう。

いっぱいの『ありがとう』をありがとう。

愛してくれてありがとう。

私も愛しています。結婚して下さい」


 彼女の目元から雫がこぼれそうになっていたが、人差し指によって流されていった。


 僕の答えは決まっていたが、言葉が出てこない。

鼓動と体温が先程よりも跳ね上がり、意識がどかに飛んでしまうのをこらえるのがやっとの状態だ。

今度こそ言わなければいけないのに。


 何分経ったか分からなかったが少し落ち着き彼女の表情を伺おうとしたが、

麦わら帽子が邪魔で確認するのはかなわない。しかし、さらに落ち着くことができた。


「ふぅー」彼女にばれないように呼吸を整え、意を決する。


「僕も、君のたくさんの笑顔のおかげで幸せでした。本当にありがとう。僕……」


 その瞬間、強烈な光が差し込んできて、彼女の顔が白い光で塗りつぶされていく。

今度こそ、今度こそ、言わなければいけないのに。

安堵している僕自身に腹が立つ。


 そして、白い光が彼女を覆いつくすと同時に、意識が飛んでしまった。


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