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ゲームの国の異世界アリス〜異世界と日本を行き来してゲームを楽しみます  作者: バッド
ゲーム少女は領土を広げる

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99話 三姉妹の創造と、待てないゲーム少女

 周囲の人々は突然空中に描かれた魔法陣から生み出されるように現れたこの世の者とも思えない絶世の美女たちの行動をゴクリと固唾をのんで注目していた。


 三姉妹は軽やかに踊るように、かごめかごめをするように、手を翳しながらくるくると回り始める。磨き抜かれた銀糸のような髪をたなびかせて、その顔は妖艶にして、包み込むようなやさしい笑みを浮かべ、不思議な光沢のスカートを大輪の花のように広げて、この世のものではないと感じさせる神秘的な雰囲気の中、踊りつづける。


「我、過去の糸を紡ぐ昨夜」


「我、現在の布を織る今日子」


「我、未来を表す旗を作りし明日香」


 朗々と涼やかなされど、神々しさを感じる声音で歌いながら踊る三姉妹。手を回る中心へと翳しながら、力を込め始める。三姉妹の特殊能力運命の女神。その力が発動して、手を翳す中心に太陽の如き膨大な光珠が輝き始める。


「我ら三姉妹の名において」


「スキップでお願いします。スキップ」


 容赦なく三姉妹に負けない可愛らしい少女アリスがその歌と舞をピシャリと止めた。そこにはなんの感慨もなく、嫌がらせでした訳でもない。フワァとあくびをして、早く生産してよと退屈そうにしていたので。


「え〜、アリスちゃん、なんだか凄そうな儀式が始まりそうなのに止めちゃうの?」


 にゃーんとアリスの行動に苦情を口にするチャシャへと、つまらなそうな表情でアリスは、スキップするのは当たり前ですといった声音で三姉妹を指差して答えてあげる。


「あれを毎回するんですよ? 3回見た時点で飽きました。というかあれがあるから、更に使わなくなったんですよね。他の部下は黙々と作業をするか、可愛らしい鼻歌を歌うだけなのに、あの三姉妹は生産のたびに歌って踊って跳ねるんです。生産でそういうことをされると非常に困るんですけど。スキップと言うだけで疲れるんですけど」


 情け容赦ないアリスであった。初めての人なら驚くけど、もったいないからと使って見た時に歌って踊るその姿を見てすぐに飽きたアリスなので。


「まぁ、どんなに神秘的なイベントでも何回も見たら飽きるもんなぁ」


 鏡も苦笑しながら同意する。こういった困るイベントがゲームではあるんだよな。月のボスを倒すイベントの時に、ボス戦前に10分近いイベントがあったのだ。あれは拷問だったと嫌な思い出を思い出すおっさんである。しかもそのボスは強かったので、何回も全滅して繰り返しイベントを見た覚えがある。最悪なことにスキップができなかったイベントだったので心折れる人間が続出したりもしたのだった。


「ぬぐぐぐ。最初のイベントぐらいさせてくださいよ、私たちのこれからの立ち位置に重要なイベントですよ」


 三姉妹はぷっくりと頬を膨らませて抗議をしてくるが、この三姉妹はずる賢いのでイベントがなくても立ち位置に問題ないでしょとアリスは冷徹に口を開く。


「スキップ、スキップ」


 ランランランと歌いそうに容赦なく告げるので、三姉妹はお互いの顔を見合わせて、諦念のため息をして、パチリと指を鳴らす。


 光球は破裂するように、ぐにゃぐにゃと形を変えていき、徐々に銅色へと変わっていく。段々と熱された銅が冷えていき落ち着いた色へと落ち着き、形が整った。


 そこには4メートル程の巨大な銅の外郭を持つサソリが佇んでいた。切れ味鋭そうなハサミは強力そうで鉄をも切り裂きそうであり、多脚は鉄パイプのごとく硬そうだ。


 目の部分はバイザーとなっており、このサソリが機械体だと見る人が見ればわかる。それはうざいと有名なアイアンスコーピオンではない。


 狭い機動兵器が入ってこられないような場所で使われる、その特殊スキルも相まって、もっとうざいと有名な機械体。その名もパピルザクである。


「わわわ、サソリが生まれたよ、アリスちゃん!」


 ざわつく周囲の人々と、リアクション代表なのかとそろそろ疑われるチャシャがパピルザクを見て驚きの声をあげるので、そうでしょう、そうでしょう、驚きましたよねと、アリスもコクコクと頷いて同意する。


「見ましたか? 指をパチリで本当は作れるんですよ? 歌いもしないし、踊りもしないで作れるんです。これは巧妙なサボりです。タバコを吸うからと休憩するおっさんと同じです。その間も私たちは狩りをしているのに、タバコを吸うおっさんハンターは何もしないのに経験値を分配されるんですよ?」


 同意していなかった。減俸をしても良いですよねと口を尖らす子犬のようにガルルと唸る可愛らしい少女がいるだけであった。神秘的なイベントをおっさんのサボりと同じ意味にするアリスであった。


「はいはい、わかりましたよ、アリス様。サボるのはやめて、パピルザクを作成します。だいたい20体といったところですかね。今日子、手伝ってください。昨夜、支援採掘兵器スカラベを2000体作成してください」


 明日香がテキパキと指示を出して、なんとなくイベントがスキップされてがっかりしている今日子たちも、軽やかに指揮棒を振るうように人差し指を立てて、光球をいくつも宙に作り出していく。手慣れた様子で作る様子を見ながら、アリスもトンカチを取り出す。


「サボりだサボりだと思っていたのですが、やはりサボりだったんですね、次からはスキップと言わないで、減俸、減俸と言いますからね。わかりましたか、鏡?」


「俺の給料を支払ったことがあったか? それよりも何を作るんだ?」


 ほっぺむにーんの刑にアリスをするが、平然とした表情でトンカチを見せながら笑ってくる。答えは決まっているのだ。自分が開拓するのだから、しっかりと自分も手伝うのだ。


 そうして、アリスも皆が注目する中で、トンカチをトンテンカンテンと振るい、空間を叩くごとになにかがポンポンと現れるので、騒ぎになるのであった。



 しばらく制作に集中したアリスは、満足げに完成した自分の鉱山拠点を眺めた。完璧である。坑道へと縦横無尽に伸びるベルトコンベアー。晶石鉱山を手に入れたことから、マテリアル製のエンジンを搭載しており、ガラガラと金属製のベルトコンベアーは動いている。


 そのベルトコンベアーの上には鉱石が次々と置かれており、鉱山の麓にある倉庫に運び込まれていた。


 ベルトコンベアーから運ばれるのは銅、金、そしてマテリアル晶石である。玩具の通貨より、晶石である。ベルトコンベアーの上に流れていく晶石の輝きにやりましたよと、小躍りしながら目を輝かせるアリス。小躍り少女は愛らしい。


 やはり領地経営はこうでないといけないですよねと、トンテンカンテンとベルトコンベアーを作り、てってけ走って配置していく。どんどんベルトコンベアーを配置していくのだ。作れば作るほど、鉱石は掘り出されるので。


 アリス鉱山は森林の中に位置する鉱山である。前は他の名前がついていたらしいが、領地の名称をハンターが決めると、ギャラクシーライブラリはそれを以降は採用するので忘れました。


 その山肌には無数の坑道があり、そこには鉱山採掘兼防衛機動兵器スカラベが無数に張り付いていた。1メートルぐらいの大きさの黄金の甲羅を持つ平べったい身体の虫型兵器だ。その口から採掘用の小型分解ビームを発射。硬い岩肌を分解させて、細い前脚を掲げて、短距離重量操作を行う。分解された岩から鉱石のみがより分けられて集められる。そうして小型の丸い塊に変えると、押していきベルトコンベアーへと運び込む。


 スカラベは作業効率は悪いが、コストは安い。ブロンズパウダーを少々、維持燃料はマテリアル1ヶ月で1MPという守銭奴アリスも大喜びな一品である。イーマ盗賊団が集めていた倉庫に眠っていた銅鉱石を三姉妹が使用して作ったのだ。


 それらを統括するのがパピルザク。鉱山採掘用兼防衛兵器パピルザク。スカラベはパピルザクの支援機とされており、パピルザクに命令を下すだけで、大量に採掘できるという仕組みだ。


 もちろんパピルザク自身も採掘ができる。ハサミを閉じて、ギュンギュンと回転させてドリルアタックで岩を砕き採掘していくのだ。ガリガリと粉塵が散るが機械であるパピルザクたちは気にしない。どんどんと掘っていく。


 採掘用としては、実はもっと効率的な機械はある。だが、防衛兵器としても兼用できて、なおかつ低レベルの鉱山ならば、パピルザクで充分なのである。


 かつてアリスもパピルザクを大量に作って、放置された鉱山にしかけておいたことがある。放置しておいて、そのまま記憶から無くしてしばらくして思い出したので、どれぐらいの鉱石が集まっているかなと見に行ったら、他のハンターに奪われていたので戦争となったが。


 良い思い出である。何しろ相手のハンターは高レベルの鉱山を持っていたので、お返しに部下とともにその鉱山の倉庫から全ての晶石を強奪。採掘施設を軒並み破壊して、勘弁してくれ廃課金姫と泣かれた覚えがあるので。


 パピルザクの性能と全然関係ない記憶を思い出すアリスであった。


 なので、防衛能力はテキストフレーバー上でしか知らないが、また同じようなことがないかなと、ワクワクとぱっちりおめめを輝かせてベルトコンベアーをんせんせと配置していた。今回はハンターもいないことだし、防衛成功、敵撃滅を目標としている盗賊よりも酷いハンターアリスである。


 鉱山にスカラベが張り付いて、鉱石を採掘するのは傍目から見たら、魔物に支配された不気味な光景としか見えない。


 現にレイダたちは気持ち悪そうな表情で、カサカサと動くスカラベたちを見ている。チャシャだけは、うにゃんとスカラベの甲羅を恐る恐るつついていたので、本当に大物ですねとアリスはクスリと微笑む。


「鉱山の採掘は軌道に乗りました、ご主人様」


 モニターの採掘量グラフを確認しながら、僅か数時間で採掘ができるようになったと報告する。通常、奪い取った鉱山というものは、埋蔵量から、坑道の地図、人の配置などで一ヶ月は再開するのに必要だ。


 だが、人智を超えた、というかゲーム仕様のアリスたちには関係ない。領地とした瞬間に埋蔵量が表示されて、隠蔽されていたりダンジョンとなっていない限りマップにも坑道は映る。


 なので、他人が見たら驚愕するというレベルを超えて、アリスたちはこの鉱山を手に入れた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 運命の3姉妹が何処ぞの運営の食っちゃ寝のような存在なのか多少の疑問がありましたが( ^ω^ )まずまず働いているのにホッとひと安心です(ただ無駄イベントを差し込んでサボろうとするあたり、ま…
感想一覧
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