94話 ゲーム少女と拠点戦闘
はんはんは~んと可愛く鼻歌交じりにアリスはステータスを見ていた。さすがは防衛戦、かなりの経験値が入りましたとご機嫌である。
「レベル54になりました。レベルが7も上がっちゃいましたね。雑魚とはいえ、かなりの経験値が入って嬉しいです」
ステータスポイントを各10ずつふりわけて70に。残りステータスポイントは15に。ステータスポイントは統率、軍学、戦略学、戦術学、指揮を取得して残りスキルポイントは3である。
統率は自分の率いる軍隊のステータス、スキルレベルが上昇、指揮は部下たちへの指示をだすとその行動に補正がつくのだ。軍学、戦略学、戦術学は全て戦闘での補正がつく。特に拠点から敵への攻撃に対しての補正が強い。全て補正がつくのみのスキルだが、それらは全て重複するので、凄い強さになるのがAHOの強みであった。スキルを作るのが運営は面倒なんだろうとも言われていたが。
そんな裏話はもちろんアリスは知らないので、ポンポンと笑顔で補正系のスキルを取得するのであった。
山とマテリアルやら素材やらが手に入った。戦争では戦利品は自動で亜空間ハンガーへとプールされる。他のプレイヤーがいない場合は、そのまま自分の物になるのである。
今はハンターはいないので、もちろんすべて自分の物になった。
それらの素材を見て、そしてレベルが50を超えたので、ようやくまともな建設物も作れるし、古代文明の遺跡から手に入れたハンター専用装備が着れると嬉しい。
50でのハンター専用装備はかなり強いのだ。職業別になっているので、選ぶのはガンナー用のハンター専用装備である。
装備はこんな感じ。総合戦闘力825となった。
装備:銃士のバズーカ(攻撃力150)
銃士のマシンガン(攻撃力100)
エネルギーガン(攻撃力60)
銃士の鎧(防御力100)
銃士のブーツ(防御力30)
銃士のグローブ(防御力30)
縞々の下着(防御力5)
フライボード
まぁ、メイン武器を3つも装備しているので、それらを抜くと665。結構いい感じになったと思う。ちなみに、銃士系は全ての銃を扱う行動に補正が入る。見違えるほど命中率が上がりましたとは、ハンター全員の感想である。
機動兵器も新しくバージョンアップ。こんな感じ。
ヒナワン種子島2式
耐久力2000
防御力500
機動力500
スキル チャージ
種子島2式ビームカノン:800
種子島2式ロングビームライフル:400
種子島2式ビームチャクラム:200
戦闘力4400
そこそこの強さとなった機動兵器である。これならば、オズとの戦いも圧勝間違いなし。だけど燃料代や弾薬代が高いので使うつもりはさらさらないかもしれない。
コレクターとして全ての機動兵器をもっているアリスであった。美術品を眺めるが如く、うふふと暇なときに眺めていたのだ。
鏡がコレクター気質なので、アリスもその意識を受け継いでいる。まぁ、今回はそれが良い方向へとなった。いちいち作らなくても良いのだから。
「さて、自分のステータスは問題ありませんね、スキルも順調にゲットしていますし」
じゃんじゃん強くなろうと考えるアリス。それを見て鏡が尋ねてくる。
「なぁ、イーマ国はどうするんだ? トーギ国の常駐している騎士団がうるさいけど。トーギ国の傘下に入れれば守れるとうるさいんだけど?」
「あぁ、なんだか騒いでいる人たちがいましたね。私たちがあっさりと敵を倒したのを見ていなかったのでしょうか?」
アリスの言葉に苦笑を浮かべる鏡。そうではないのだと教える事にする。
「いや、たぶんあっさりとナーガ族を撃退したこちらの力をみて驚いているんだよ。その力をトーギ国の傘下に入れないと安心できないんだろうな」
ふっと、その言葉に微笑みを返すアリス。
「なら問題ありませんね。グリムにはお断りを入れるように指示を出しておきましょう」
それで問題は終わりですねとアリスは考えると、今度はドーベルが手をあげるので、はい、ドーベル君と指さす。
「なぁなぁ、姐御、これからどうするんだ? イーマ族は蛇のようにしつこいぞ? 今回はあっさりと倒せたし、これから先もあっさりと倒せると思うが、何回も攻めてこられると面倒だぞ?」
「たしかにそうですね。なので、敵本拠地を破壊して置けばよいと思います」
その言葉に一同が首を傾げて不思議な表情になる。鏡だけは冷静にアリスを見つめていたが。
「アリスちゃん、本拠地を破壊って、どうするの? イーマ国は大国だから王都まで進軍するのも凄い大変だよ?」
チャシャの言葉に、アリスは余裕をもって頷く。そんな疑問はとうに解決済みである。
「撃破するのは簡単です。ミサイルをぶちかませばいいんですから。ただ、問題は鉱山ですね。晶石鉱山がこの地にも絶対にあると思うんですが、グリムさん、知りませんか?」
その言葉にグリムが頷いて、地図をテーブルに広げる。
「アリス様。完全な地図とはいきませんが、これらの地図にイーマ国の鉱山地帯があります。ここから近いのは銅山です。トト伯爵の右隣にある鉱山でして、以前にトーギ国とイーマ国で所有権を求めて戦争を何回もしています」
テキパキと説明してくるのを眺めながら、アリスはふっと思う。グリムは商人なので、内政系をしてほしいと。交易を頑張って欲しいと。
説明を聞きながら、他の事を考えるアリスであった。だが、軍師は必要ではないだろうかと考える。
う~んと考えるが、軍師ができるほどの知力をもつ人はおるまいとわんにゃん隊を見て嘆息するのであった。おっさんウサギ? あれはウサギなので最初から選択肢にはありませんと、おっさんウサギに冷たいアリス。
まぁ、いいかと気を取り直して口を開く。
「では、その鉱山を見に行きましょう。銅山なだけで、晶石鉱山かどうかはわからないですので」
現地にいって様子を見るのが一番速い。そう思いながらアリスは鉱山地帯を見るのであった。
モート鉱山。銅鉱山としては中規模な鉱山である。摩訶不思議なるこの世界では、そこら中に鉱山がある。何故なのだろうと不思議がる学者がいたが、恐らくは精霊は土地を錬成しているのだろうという考えで終わったらしい。
そんな鉱山には痩せた人間様が鉱山奴隷として働かされていた。
「おらおら! 働け働けっ! 今日のノルマに届かなかったら、リーダーは鞭打ちの刑にするぞ!」
ナーガ族の管理官が鞭をしならせて、ピシリピシリと地面を叩き、その音で恐怖を奴隷たちに与える。
くっくっくっと外道な笑みを見せて、怖じ気づく人間族を見て満足げにする。
常に奴隷の恐怖した表情をみるのが好きな管理官である。
それはいつも通りの日常であり、ナーガ族の強者たる力を見せつけるのは気持ちが良いと管理官が思っていた時、目の前の奴隷が運んでいた土をぶちまけてしまう。
にやりとその行動を見て笑う管理官。これはいじめがいがあるぞと考えて、倒れた人間へと近寄る。
そうしたら、少女が倒れた人間へと駆け寄り背中をさすっているのが見えた。それが気に入らない管理官はにやりと腹黒く笑みを見せて叫ぶ。
「おら、なにをしている?」
その言葉に少女はおずおずと訴えかけてくる。
「この人は休まないと死んでしまいます。どうか休憩をください………」
恐怖心に支配されて小声でしか言えない少女。馬鹿な奴だと、鞭打ちをしようと大きく手を振りかぶったときであった。
バンという音と共に、ニヤニヤと笑っていた他の管理官の頭が消える。いや、粉砕されたようにも見えた………。
血だまりを作り、倒れ伏す頭を失った他の管理官を見て、思考が停止する。いったい何が起こったのだ? いったいなんでこいつは倒れた?
疑問に思う管理官はそれ以上思考できなかった。
次に頭を吹き飛ばされたのはその男であったので。




