93話 ゲーム少女とナーガ戦隊
オーラ斬りにより、次々とナーガ族が斬り裂かれていく。鉄の盾は布でできているかのように斬り裂かれていき、ナーガ族の巨体はあっさりと断ち切られていく。
ナーガ族は素早さでは獣人に敵わない。なので必死になって撤退を始めているが、それを逃すわんにゃん隊ではない。今はわんにゃん隊の方が遥かに強くなってはいるが、以前はナーガ族の方が圧倒的に強かったのだから。
「ちいっ! 逃げきれぬか! ならばせめて一太刀でも!」
モートは散開しながら追いすがる敵から逃れようとするが、どうやら逃げきれぬと悟り、神器の持ち主だけも傷つけようと振り向く。
「おいおい、諦めるのが早いな。まぁ、気持ちはわかるが」
モートが渾身の力を込めて、魔法の槍の力を発動させる。掠るだけで毒が体にまわり、敵を打ち倒す毒蛇の槍だ。
紫色の光が槍を覆うと、すぐに弓を引き絞るように槍を引き絞り、勢いよく突きだす。
「槍技『毒槍突』」
その攻撃を見て、ふっと渋く笑うおっさんうさぎ。もはや、この戦場は俺の独壇場だねと内心でうきうきとしながら盾を構えて
『パリィ』
あっさりとパリィにより、弾かれるモートの槍技。盾を見て口を上げて呆然とするモート。
「そ、それも神器か! 貴様、いったいいくつ神器を持っているのだ!」
「あ~ん? その答えはいくらでもって感じか? まぁ、お前さんが思っているより持っているかもな」
盾も光り輝き、神秘的な意匠が施されていることもあり、たしかに神器かもしれないと鏡は思う。
というか、今装備しているのは全てスター装備である。全部のスター装備を揃えているとオプションとして全ステータスが50上がるのだ。
神器ということにすればかっこいいよねと適当な考えで神器だよと嘘をつくおっさんウサギがここにいた。
のんびりとした口調で答えつつ。鏡はクールタイムが終わったために再度の攻撃を繰り出す。
『フラッシュソード』
またもや剣が輝き、閃光とともに防ぐこともできずに、モートは斬り裂かれるのであった。
「あ~、これはやれやれと言わない方が良いのか? 決めセリフを考えるか………」
顎に手をあてて、くだらないことを考える鏡。どうでもいいことを考えるおっさんウサギは放置されて、ナーガ族はその少し後に全滅をしたのであった。ナーガ族はすでにわんにゃん隊には相手にならないのだ。しかも撤退していたし。
一方その頃、港に向けて海中を泳ぐナーガ族。スイスイと滑るように泳いでいき、夜中なので暗いはずの港町へと近づくが
「なんだ、あれは? 無駄に灯りをつけているというのか?」
近寄るとわかるが、港街には延々と仄かに道を照らす灯りが見えた。まさか、無駄に油でも使っているのだろうかと呆れるナーガ族。
「だが、それだけの資源が取れるという事なのだろう。その資源は我らが有効活用してやろうではないか」
にやりと下種な嗤いを見せてナーガ族たちは近づく。沖に主力軍5000が乗っている船団があるのだ。
船の数は50隻はある。全てナーガ族で使用している貿易用だが、武装商船としても問題はない。
ナーガ族は水を泳ぐのも得意である。無駄に広い埠頭が見えるが、周りには一隻も船が泊まっていない。まだ、交易の段階ではないのだろう。これならば50隻の船を停泊させることも可能である。
人間族の財産をいち早く確保しなければと考えていたナーガ族だが。
「ん? これはなんだ?」
なにかとげとげしい塊がそこら中に浮いていた。その一つに当たったのだ。この暗い海では、ナーガ族であっても生命体ではなく熱を持たないこのとげとげは躱せない。だが、当たっても痛くもないし気にしなくて良いだろう。
そう思っていたのが、そのナーガ族の最後であった。目を瞑すような光がそのナーガの視力を奪うと思った時にドーンと大爆発が起こって吹き飛んでいく。
それを埠頭の倉庫の屋根の上で見ていたアリス。うんうんと満足げに頷く。
「どうやら水中対人用機雷は想定通りに動いたようですね。よかったです」
ふんふんと息を吐き、プラプラと屋根の上で脚をぶらつかせて眺めていると、次々と機雷による爆発が起こり吹き飛んでいく。
港にも上陸部隊がいると聞いて、対人用機雷を大量に設置したのである。目論見通り、ナーガ族はなんだろうと考える暇もなく吹き飛んでいくのであった。
「これで上陸部隊は全滅ですかね。マップでもそう出ていますし」
マップに映し出されているのは盗賊団の襲撃が開始されましたとクエストが発生していた。そして赤の光点が敵であったのだが、沖にいる船団以外はどんどんと消えていく。
「防衛はトラップを仕掛け放題だから、そこが楽なんです。相手は碌に工兵を連れてきていないようですし」
工兵がいないと、突撃するだけ無駄である。しっかりと色々防衛用に設置したのであるからして。
しばらくして、戦わずに経験値と素材、マテリアルを手に入れたアリスはホクホク顔で戦果を確認する。結構手に入れたので、あとで皆になにか奢ろうかなと考えながら、通信で指示を出す。
「オズ。敵の殲滅は終わりました。あとは沖の船団のみです。片付けておいてくださいね」
「了解じゃ、アリス様。オズにすべてをお任せください!」
黒竜を止めて赤竜になったオズ。すでに沖合にある船団の頭上に体をひそめていた。
だが指示が出されたとオズは歓喜して、魔法を使用する。相変わらずブレスは自分の息を吐きかけるので微妙に恥ずかしい。
なので、アリス様に通じなかったが、得意の十八番を使う。
『チェインライトニング』
鎖状の雷が敵の船団へと当たり、その効果にて近場の敵へと雷は伝染するように広がっていく。
あっという間に炎が吹きあがり、船団は大火に包まれていくのであった。
「な、なんだ? なにが起こった?」
「艦長! 頭上から赤竜が! いつの間にこんなところに!」
「火を消火しろ! このままだと沈没するぞ!」
大混乱をする兵士たち。いきなり魔法の一撃を受けたらあたりまえであるが。
その困惑ぶりは見ていて哀れに思うぐらいだ。
「フハハハハハ。もう一撃じゃか弱い兵士たちよ!」
再びチェインライトニングを撃ちまくるオズ。この魔法は大群であればあるほど、その効果は高い。
次々と船が沈没していく中で、やはり自分は強いと確信する。そして加護を得た今では神竜以外は自分の相手ではあるまいと、うははと増長するので、誰かに足をすくわれるフラグは間違いなくたったのであった。まぁ、アホなオズだから、ピンチになっても気づかないかもしれないが。
沖は大火に包まれて、森も港もナーガ族は全滅した。
ふふふとドヤ顔になり、両手に腰をあてて笑うアリス。胸を反らしすぎて、うわぁとひっくり返り、ころころと転がるが、気にせず立ちあがる。
「これで敵の襲撃イベントは終了ですね。あとは敵の本拠地を探して撃破しないといけませんね」
ギャラクシーライブラリーのクエストも盗賊団を滅ぼせと表示が変更されたのを確認して満足そうに頷くアリスであった。
次はナーガ族の国イーマである。鏡たちが戻ってくるのを見ながら考える。
「次は鉱山関係がいいですね。飛び地でも私は問題なく運営できますので」
ドローンを偵察隊にだして探したいが、ここにはデータをしまう機械がない。インスタントモスキートを送っても意味がないのだ。
「科学が発展していないということはこんなに不便なんですね………これは参りました」
鉱山を探したいけれど、情報はない。だが、有名どころの鉱山は絶対に誰かが知っているはずだ。
グリムに話を聞こうかなぁと考えながら、自宅へと帰還するアリスであった。




