88話 ゲーム少女対北米連邦
夜空に高高度にて飛行する爆撃機があった。黒塗りのステルス能力を持っている三角形の機体である爆撃である。
音速にて飛行をしており、噴煙が雲となって空中に伸びる。そして、爆撃機の周りはドンドンと騒がしく高射砲の砲弾が爆発をしていた。
その爆撃機は爆弾を積んでいるわけではない。黒塗りのSRが接続されており輸送をしていた。全体に丸みを帯びている重厚な装甲をしている機体であり、超電導バズーカ砲と超電導マシンガンを装備している。そして、後部にはまるで戦闘機の後ろ半分をつけたようなバックパックを備えていた。
「ローラ少尉。そろそろ目的地です。準備はよろしいでしょうか」
北米連邦の新型SRファントムに搭乗しているローラは面白そうにモニターを見ながら返事をする。
「あいあい、おーけーよ。もうファントムの準備はばんぜーん!」
赤毛のセミロング、はすっぱな男勝りな顔つきをしており、目が鋭いのが印象的な北米連邦の16歳、遺伝子強化人間である。
「目標は宇宙人が置いていったと思われる物です。素早く敵を撃破後、回収をして離脱してください」
「ほいほい。問題ないよ。太平洋連合軍なんて相手じゃないから。この間のあれ見た? シヴァだっけ? ようやくあのレベルにSRが入っているんだもんね~。技術の差が致命的だよ」
クスクスと相手を馬鹿にしたように笑うローラ少尉。それに対して警告するようにオペレーターが告げる。
「こちらは6機しかいないんです。相手は12機はいると思われます。倍の兵力です、くれぐれも気を付けてください」
「へへーんだ。気をつけろと言って敵が倍の数とか、うちらが勝つと思ってるからでしょう? 精々相手が健闘できるように祈ってあげなよ。あははは!」
そうして、目的地に到着したとの表記がされたので、ローラはタッチパネルを押下して準備をする。
ぺろりと舌を舐めて獰猛そうに眼を光らせて呟いて
「それじゃ、太平洋連合軍に挨拶をしますか~。ファントムの動きを見て、ショックで相手の科学者は倒れちゃったりね~」
あはははと笑いながら、爆撃機からアンカーを外して空中に踊りだす。黒い亡霊が次々と空中へと踊りだして、バーニアを噴かすと後部バックパックについた翼が広がり戦闘機のようになる。
そして、ジェット噴射を行い、高速にて眼下の基地へと勢いよく飛来するのであった。
太平洋連合軍防衛隊は焦っていた。まさか昨日の今日でどこからかの軍が攻めてくるとは思わなかったのだ。
六文銭は空中に見える爆撃機へと超電導ライフルを撃ちだす。雷光が銃身を纏い、次々と電磁砲弾が爆撃機へ向かい、命中を始める。
数機が煙を噴き出すが、すぐに搭載しているSRらしきものを解放して、反転して逃げていく。
六文銭に搭乗していたパイロットはそれを見て不審げな表情になる。
「相手は6機? あの距離から降りてくるんじゃ自殺行為だ。俺らの良い的だぞ」
それでも降りるまでゆっくりと待っている理由はない。すぐに超電導ライフルを構えて狙い撃つ。
空中を放電しながら、砲弾が空中を落ちていっている敵SRへと向かう。そのまま命中すると思われた時であった。
相手のSRはバックパックから翼を展開して、戦闘機のように飛行を始めたのだ。ジェット噴射の炎が夜空に映し出されて、素早くこちらの攻撃を回避していく。
驚愕しながら、パイロットは通信機へと叫ぶ。
「まずい! 敵SRは空を飛ぶ! 繰り返す。敵SRは空を飛ぶ! マシンガンへ切り替えろ!」
単発攻撃だと当たらない程の回避行動である。旋回をしながら、まるで水の中を泳ぐように自由に滑らかな動きで接近をしてくるのだ。
水の中を泳ぐ魚をスナイパーライフルで倒すのは無理なように、六文銭の構えた瞬間に射撃軌道を読まれているのだろう。簡単に回避されてしまう。
そのため、数撃てば当たる作戦で、マシンガンへと切り替えるSR隊である。
すぐに接近をしてくるSRへマシンガンを撃とうとするが、その時には敵SRがバズーカ砲を構えていた。
そのまま音速にて超電導バズーカ砲からの砲弾が発射されて、躱す間もなく六文銭に命中して爆発する。
「動けっ! 全員常に動きながら敵へと攻撃せよ! 敵は高速だが超電導マシンガンなら当たる! 怯まずに」
最後まで言う暇もパイロットにはなかった。一機のSRが接近してきて、超電導ソードを展開していたのだ。
「うぉぉぉ!」
マシンガンにて牽制をしようとするパイロットであるが、その軌道を読まれてするすると回避されて、すれ違いざまに機体を裂かれてしまう。そして六文銭は大爆発をして大破炎上するのであった。
ファントムを素早い操作で動かしながら、鼻歌交じりにローラは六文銭を切り裂いていた。
「ははーん。遅い、遅いね~、太平洋連合軍のSRは。これじゃ、ファントムの良い的じゃないか」
すぐ横からマシンガンで狙おうとする六文銭を確認して、その射撃軌道を完全に見切り回避行動をファントムにとらせる。
マシンガンの連射は嵐の如くファントムに襲い掛かるが、風のようにファントムはバーニアを噴かせてバレルロールを行い回避する。
そうしてバズーカ砲を構えなおして、引き金をひく。超電導の砲弾は六文銭に命中して、その電磁バリアを貫通して吹き飛ばしていく。
「これなら楽勝だね~。あとでボーナス期待しないと」
ご機嫌に笑い、ローラは周りの敵を大体片付けたかと見渡す。他のファントムも次々と六文銭を撃破していっている。
高射砲にはマシンガンを撃ちこみ、抵抗をしている戦車は踏みつぶし制圧をしていく。
「ローラ少尉。だいたい敵の抵抗は終わりました。後は研究所内に入って宇宙人とやらの物を回収しましょう」
「ほいほーい。簡単な仕事だったね~。んじゃ、基地内に」
ファントムを使えばこうなるのはわかっていたと、ローラは嗤う。何しろジェット噴射にて高機動を行える新型SRだ。六文銭のような遅い機体には負けるわけはないのだから。
そう思っていたのだ。なので、研究室への道を開こうとしたときであった。
「ローラ少尉! 1機、新たな六文銭が接近中!」
「あいあーい。片付けておいて~。あっさりとね」
いまさら1機程度が増援にきても無駄だよね~とローラが気軽に答えたが予想外の焦った声音での返答が返ってくる。
「それが、あの機体、あり得ない動きを! こ、こちらの攻撃が当たらない! 何だあの動き!」
すぐにザーザーと通信が途切れた音となり、自分のレーダーに映っていたファントムが1機、反応が消失するを見てローラは瞳を険しく変える。
爆発音が響いてきて、撃破されたことを確認するのであった。
六文銭がその重装甲にもかかわらず、疾駆して基地へと接近していた。よく見ると各所が改造されておりバーニアが備え付けられている。
「ふふふ、地球製の六文銭を改造した六文銭Zですよ。白い悪魔と呼んでください」
アリスは回収した六文銭を少しだけ改修してバーニアを取り付けていた。しかももっと改造もしていたりする。
モニターに敵SRが見えてくる。バズーカ砲を撃ち込んでくるが、バーニア噴射で高速で横滑りを行う。通信もジャミングしているので相手の様子もわかり放題である。
「な、なんだ、相手は各所にバーニアを備え付けているぞ! ありえない高速機動だ、いつのまに太平洋連合軍はあんな新型を!」
驚愕の声が傍受した通信から聞こえてくるので、ふふっと可愛らしく微笑むアリス。
「ふふふ、クエストあるところにアリスあり。残念ながらハンターの目からクエストは逃れる事は出来ないのですよ」
一気に脚部のバーニアを噴射させて、加速させる。突風を巻き起こし、障害物を跳ね飛ばし敵へと接近する六文銭Z。
すぐに超電導ビームライフルを敵へと向け引き金をひく。超電導をビームエネルギーへと変換させて、ビームが発射される。
高熱にて空気を侵し、ビームがファントムの超電磁バリアを貫通して、その装甲を焼き溶かし吹き飛ばすのであった。
轟音が周囲へと響き渡り、炎上した空気の熱が周りへと伝わる。
「あ、あのSR、ビームを使うぞ! あんな武器があるとは!」
「怯むな、こちらの方が数が多い!」
「囲め、囲め!」
慌てて、後部バックパックからのジェット噴射で高速機動を始めるファントム隊。
「あーあー、あんたはいったいなんなのかなー」
少女の声も聞こえてくるので、アリスはモニターをチェックしながら通信をする。
「鏡、鏡。そちらは身振り手振りで取引をしておいてください。ちょっとこいつを倒すのに時間が必要なので。1機は捕獲をしたいので。できれば2機。最低3機欲しいところなんですが」
今ので2機撃破したので、残り4機とレーダーにはでている。なので1機撃破以外は捕獲しようとする欲張りな少女がいた。
「身振り手振りで取引? おかしいだろ! なんで急に話せなくなるんだよ! おかしすぎて怪しすぎるだろ!」
慌てる鏡へとぱっちりおめめで、悪戯そうに見つめる。
「大丈夫です。最初から怪しいので。おっさんは最初から怪しいのでこれ以上怪しくなることはありませんよ」
「俺が犯罪者のようにいうんじゃない! というかジェスチャーだけじゃ無理だって! おーい、アリスさーん」
おっさんはいつも悲鳴をあげていますねとアリスはスルーして、敵SRへと対峙するのであった。
目指すは全機捕獲であるとゲーム少女は縛りプレイで始めるのであった。




