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ゲームの国の異世界アリス〜異世界と日本を行き来してゲームを楽しみます  作者: バッド
ゲーム少女は異星人認定される

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62話 ゲーム少女は白衣の少女と出会う

 キンコンカンコーンと、この間と同じ学校のベルの音が響いて、コトリと鉛筆をアリスは置いた。ふわぁとあくびして、可愛いおくちを見せて呟く。


「これはどんなクエストなんでしょうか? 報酬はなんなんでしょうか」


「あ〜、このクエストの報酬は高卒資格だな。しかも最高難易度のクリアだ」


 おっさんフェアリーがフヨフヨと浮きながら教えてくれる中で、アリスが教室の窓の外を見ると、そろそろおやつの時間に近かったので、この学校で食べてきましょうと決意するのだった。どうやらこの学校は安く美味しい料理が売っている学食があるらしい。実にどうでも良いことを決意するゲーム少女であった。


 そんなアリスが何をしているのかというと、あれから一週間後、太平洋連合大学という太平洋連合でも最高学府にて、最高難易度の飛び級試験兼高卒資格が貰えるテストを受けたところであった。


 太平洋連合大学とはなにか?大国同士の小競り合いが続き、表では平和に見えるが、裏では戦乱が絶えぬ地球にて、優秀な人材を集めるべく作られた大学である。日本という比較的安全な地学上の理由で連合が最高の教師や研究所などを用意して作ったのが、この大学であった。


 年齢に関係なく優秀な人材はいつでも集めている学府だ。たとえ一週間前の申込みでも受けられてしまうのである。それだけ人材を必要としているのだが。


 オーストラリアでも良かったのだが、他の国から遠すぎるという理由でも選ばれた国である。ここには軍部関係の学部から、科学系の学部まで一揃いあり、たった今もテスト訓練にて、SRが外でグラウンドをガションガションと音をたてて走っていた。


 ちょっとSRには乗ってみたいなぁと思う好奇心の塊のアリスだが、軍関係でなければ、なかなか乗るのは難しいらしい。


 なのでチラチラと見ながら、教室を出ようとして、監察官とやらに声をかける。


 なんと四隅に一人ずつ、カンニング防止に前にも一人、そして監視カメラがいくつもついているという鉄壁な不正防止がされている。


 そんな異様な雰囲気の中で、気にもせずにアリスは話しかけた。


「あの、食堂はどこですか? 美味しい物がたくさんあるというので、食べてから帰りたいのです」


 監察官はアリスを見ながら、この少女はまったく動じないなと内心で感心しながら、食堂の場所を教える。普通はどんな人であれ、こんな異様な監視体制がとられていれば、不正をしていなくても緊張するものなのだが、この少女はあっという間にテストを終えて、あくびをしており、まったく緊張感を見せなかったのだ。


 この少女は大物かアホなのかを、去っていく姿を見送りながら監察官は思ったのだった。




 てってこと歩いて、学食にきたアリスは料理をテーブルに大量に並べていた。


 ハンバーグ定食からカツ丼、カレーに豚の生姜焼き、醤油ラーメンに野菜炒め、デザートはショートケーキにチョコレートケーキとずらりと並べて、飲み物もずらりとサイダーからオレンジジュース、ジンジャエールと各種とりそろえており、小さなお口でモキュモキュと可愛らしく食べている。


「なかなかこのハンバーグは美味しいです。このラーメンもなかなかでふ」

 

 口に頬張ってリスみたいになりながらも食べ続ける迷い込んだ子供にしか見えないアリスの対面へと誰かが座った。


 そんなことはまったく気にしないアリスなので、ケーキは全種類制覇確定ですねと、とりあえずメインを食べ終えて考え始めたところで


「いやはや、凄い食欲だねぇ。その小さな身体のどこにはいるんだい?」


 呆れきった感心するような声音である。ん?誰でしょうと視線を向けるアリス。ここには知り合いなどいないからして。地球に知り合いがほとんどいないのだが。


 見ると白衣を着たポニーテールの少々であった。気が強そうな感じの顔立ちの良い理知的でありながら、少し野生動物じみた印象も受ける美少女である。


「おっと、食事中に失礼。ちょっとばかり懐かしの学府に顔を出したら、珍しく期待のできる人材がいるかもと言われてね、見に来たんだ」


「へ〜、そうなんですか。それはそれは頑張ってくださいね」


 特に気にせずに、適当すぎる返事をしながらケーキを食べ始める。その姿に相手は苦笑いをしつつ、話を続ける。


「私のことは知っているかい?」


 自慢げにそこそこある胸を張りながら、聞いてくるので答えてあげる。


盾野守里たてのまもりさん、15歳。12歳で太平洋連合大学を総合科学という学部で卒業した才媛ですね」


 知りませんという答えも、このテンプレなる状況でも可能であったが、一応テストを受ける前に太平洋連合大学のことは調べたのだ。そこに彼女の名前も写真付きであったのである。


「そのとおり。最年少での卒業は私の自慢の一つだよ。君は最年少とはいかないが、それでも年若くこの大学に入るれるのだから、おめでとうと言わせてもらおう」


 ん?と首を可愛らしく傾げて疑問に思う。なにか変なことを言われたと気づいたのだ。


「私は大学には行きませんよ? 高卒の資格をもらえると聞いて、テストを受けにきたんですから」


 このテストは高卒を目的として受けたのである。それがなんで大学に入る話になっているんだろう?


 アリスの様子を見て、守里はニヤリと悪戯そうに笑った。


「自分の学力の高さに気づかなかったのかな? 君は最年少ではないが、なんと全問正解、全て満点なのさ。私だって全問満点だなんて無理だったんだ。これからの君の前途を祝福するよ。教授たちは君を自分の学部にいれようとしているのだが、あぁ、入るなら総合科学が良いよ。あれは面白い。もちろん学部が別れている総称の方ではなく、全ての学問を学ぶ総合科学の方さ」


「意味がわかりませんね。私はこの大学とやらに入るつもりは毛頭ありません。楽しくクエストをやっていくのみです」


 平然と答えるアリスの顔を窺い、誰しも太平洋連合大学には入りたいと思っているはずなのにと少し驚く守里。だが、天才だからこその考えだとすぐに理解した。理解をさっぱりしていないのにアリスのことを理解したつもりとなった。まぁ、地球人目線だから仕方ないともいえる。


 自分目線でアリスのことを理解したつもりとなった守里は楽しげに笑い始めた。


「フフ、父親はお金はたくさんあり働く必要もない。そして自分は天才だから未知のことなどない、驚くことなどないといった感じだね」


 傲慢そうに顔を反らせながら、アリスへと話を続ける。


「だが、私も天才だからこそ理解できる。この世は広く未知のものがたくさんあるとね」


「いえ、未知のものなどいくらでもありますよ? 私はそんなに傲慢ではありませんし、そういった未知の物は自分で調べる方が好きなんです」


 副音声で自分の拠点で、自分の設備の整った研究所でねと内心で告げているアリスである。拠点なら研究レベルも上がるし一石二鳥であるからして。


 その言葉に鳩が豆鉄砲を受けたように面食らう守里。少々予想外な返答だったが、それなら都合が良いと気持ちを切り替えて、テーブルにコトリと硝子の小瓶を置いてみせた。


 中身は見覚えのある多少虹色がかかっているガラスパウダー。すなわちインスタントモスキートの残骸だとすぐにアリスは見極めた。というか、自分の所有物だし。


 だが、守里は自信満々で、硝子の小瓶を手に持ってゆらゆらと揺らしてみせる。


 カチャカチャとガラスパウダーが音をたてる中で、尋ねてくる。


「これがなんだかわかるかい?」


「ガラス片ですね。これがなにか?」


 ふふふと含み笑いをして、もったいつけるように椅子に寄りかかりながら守里は囁くように言う。


「これはね、君が独学では絶対にわからない物だ。ただのガラス片じゃないのさ」

 

「ゴミにしか見えませんが、ガラスとして再利用をしようとでも?」


 もはやマテリアルは抜けきり、アストラル回路も消えている。リサイクルは不可能であり、リサイクルするぐらいなら新しい物を作った方が安くて早い。なのでゴミである。


「そうだろう、そうだろう。ただの綺麗なガラス片にしか見えないよね? だけどこれはね、宇宙人のドローンの残骸さ。脆くてあっという間にこんな砂みたいになってしまったんだ。情報隠蔽の意味があるんだろうね。どうだい? こういうのはおうちで研究できるかな?」


 ふむふむと頷き、アリスは相手が気の毒になってきた。恐らくは頑張って痕跡を探しているのだろうが、ところがどっこい、悪名高きインスタントモスキートはオリハルハ帝国研究所でも相手の痕跡を探すことは不可能だったのだ。


 こんな辺境の惑星で調べられるはずがなく、この少女は極めて無駄な時間を過ごしていることになる。


 アリスは自分の側でフヨフヨと浮かんでいるおっさんフェアリーを一瞥してから、少しだけ教えてあげることにした。


「それが宇宙人の自壊する偵察ドローンなら、私は調べるのを止めて、他のアプローチをするでしょう。自壊して痕跡を残さないようにすることを目的とした機械相手に、技術の差から地球人がいくら頑張っても痕跡を探すことはできないでしょうから。せめて自壊しない物を調査することをおすすめします」


 可哀想な少女へと、とりあえずヒントだけでも教えてあげようと教えてあげると、守里はぽかんと口を大きく開けていた。想像だにしない答えのようだった。


「そ、それは、私たちの技術の差から諦めるということかい?」


「諦めるのも肝心です。その時間で他のアプローチを考えれば良いのですから。ご飯も食べ終えましたし、これで失礼しますね」


 いつの間にかアリスはあれだけあった料理を全て完食しており、完食した以上もはやここに用はないのだ。地球の料理はそこそこ美味しいですとご機嫌で立ち去るアリス。


 そんなアリスを呆然としていた守里は慌てて声をかけてきた。


「面白い! 君の発想は極めて面白い! また会って話し合っても良いかな?」


「しばらくは無理ですが、暇なときなら大丈夫ですよ」


 なにしろ結構な間、アリスシティを放置しているのだ。そろそろ物資も揃ったし、行かねばなるまい。王都とやらを見に行こうと立ち去るアリスであった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんと特急で出会う超越者と天才!出会う場所が学食とか誰が思いつく(≧∀≦)よめぬ!先がまるで読めないおもちろい!! [気になる点] 盾野博士はポニテか〜、ちょっと残念(´Д` )まぁショー…
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