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ゲームの国の異世界アリス〜異世界と日本を行き来してゲームを楽しみます  作者: バッド
ゲーム少女は異星人認定される

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61話 ゲーム少女はテストを受ける

 キンコンカンコーンと学校のベルが鳴る中で、アリスはちょこんと教室の椅子に座っていた。小柄なる身体なので、小学生が背伸びをして座っているように見える。足をぷらぷらとさせて、興味津々で教室内を見ている。


 そんなアリスへと心配気な声がかけられてくる。教壇に立っている女教師がアリスを心配そうに見ているのだ。


「ねぇ、啓馬さん? 本当にこのテストで良いのかしら? 今日は模試であるから、別に失敗してもかまわないけれど………」


 心配気な教師を見て、アリスはぱっちりおめめを向けて、にこやかに笑顔を見せる。


「大丈夫です。私はハンターとして最高の教育を受けてきました。こんな辺境の惑星のテストなど最高難易度でも問題ありません」


 自信満々にしているアリスを見て、厨二病なのねとため息をつきつつ、女教師はテストを配り始めた。


「これは過去問ですので、参考程度の点数となります。鶴城さんが特別に受けさせてとお願いをしてくるので、仕方なく受けさせますが………。まぁ、模試みたいなものなので、あんまり問題はないでしょう。時間は各教科90分です。それでは開始してください」


 配られたテストを手に取り、合図と共にテストを開始するアリスであった。


 で、なぜこんなことにアリスがなっているかというと、少し時間はさかのぼる。



 アリスが戦闘評価をしつつ、蕎麦をカナタと食べていたら鶴城母が襲来してきたのだ。父親がいるかと聞いてくるので、あんまり父親がいないのも変だと鏡が言ってくるので仕方なくウサギを起動させて父親として行動させたのである。偽装ができるので、本人にしか見えまい。


 地下秘密基地から移動して、うさぎが父親に変化して書斎から出てきたのをカナタは凄い驚いていた。まさか家にいるとは考えていなかったのだろう。鏡に恐縮するカナタだが、鏡は別に良いよと寛容なおっさんを演じたので、そのまま鶴城母を家に招き入れてお礼とやらを聞きに行ったのである。


 美味しいお茶ですがと、粗茶ではなく美味しいと言い切るアリスが鶴城母の前のテーブルにオレンジジュースを置くのを、鶴城母は微笑みを見せた。


 そして、対面に座るアリスと鏡へと会釈を軽くして、お礼を言ってきたのである。


「この度はカナタの勉強を鏡さんのお子様に見ていただいてありがとうございます。このアホな娘がまさかあんなにいい点を取るとは思ってもいませんでした」


「いえいえ、アリスも親しい友人ができてよかったです。ちょっと旅行に行っていたら友人ができたと言われて喜んでいたところです。決して銀河一周旅行ではなく国内旅行だったと強調をしておきますが」


 銀河一周旅行というワードにカナタが目を輝かせるが、それと反対に鶴城母は絶対零度の視線を鏡にぶつけてくる。


「アリスちゃんにお聞きしました。年ごろの娘さんを放置して、一人で悠々と旅行に行っていたとか。羨ましい限りですわ」


 ビシビシと敵意を感じる鶴城母であるので、子犬も恐れる気の弱いおっさんはたじろぐ。アリスが変な言い訳をしなければとも思うが、あの時は地球の常識も知らなかったのだ。仕方ないだろう。………いや、本当に仕方ないかぁ?


 疑問を頭に浮かべる鏡へと鶴城母は言葉を重ねてくる。


「アリスちゃんは学校に行かせていないとか? そちらさまの事情に首をつっこむことはしたくありませんが、アリスちゃんは独学でかなりの学力を持っているみたいです。独学で! 失礼ですが、お金にお困りではないと思いますが、どうして学校へと通わせないのでしょうか?」


 こりゃやばいと鏡は戦慄した。まさかカナタへと教えた勉強がこんな結果になるとは考えたこともなかったのだ。


 苦しい言い訳になるが仕方ないと、鏡は腹をくくって答える。


「アリスは優秀でして、高校レベルは話にならないのです。少ししたら高校卒の証明が取れる太平洋連合学舎のテストを受けさせようとも考えていましてね」


 はっはっはと、汗をかける人間の身体なら、汗をかいていただろうウサギロボに憑依している鏡は答えた。


「なっ、アリス? もう少ししたら受ける予定だったよな?」

 

 相槌を求めて、鏡は隣にちょこんと座ってオレンジジュースをクピクピと両手でグラスを包むように抱えて我関せずと飲んでいたアリスへと声をかける。頼むからそうだと返事をしてくれと。


「なんですか、そのテストって? なにか受かったらもらえるんですか?」

 

 グラスから口を離して、予想通りに鏡の期待を裏切る発言をするアリスである。


 ひょおーと鶴城母から、夏も近いのに、物理的に感じるほどの零下の視線を受けて、鏡は方向転換した。


「そういえば、アリスには言っていなかったな! いや、アリスを引き取ったときは受験シーズンが終わっていましてね、学校にも受験させることができずに口惜しかったのですが、アリスが物凄い優秀だとわかったので、あとで太平洋連合学舎の高校卒業資格が手に入るテストを受けさせようと考えていたんですが、アリスにそれを言うのは忘れていました!」


 わっはっはと、もはや苦しいレベルではなく神頼みレベルの言い訳をする鏡へと、鶴城母は冷たい声音で提案をしてきたのだ。


「では、アリスちゃんの正確な学力を測りましょう。私が懇意にしている学校で模試を受けさせましょう、それならばわかるはずです。学校に通わせる方法はいくらでもあるんですよ、鏡さん?」


 はひと噛みながら頷く鏡であり、そんなこんなでアリスはテストを受けることになったのであった。



 そして、鶴城母が懇意にしている学校で、テスト方式で午後に受けることになったのだ。どうやら鶴城母は異様なコネを持っているようである。


 そこでどのレベルが良いかと一応尋ねられたアリスは平然と一番難しいのでお願いしますと答えた。それは飛び級にて太平洋連合大学に入れるレベルのテストであるので、無理だと説得を教師はしたのだが、アリスは気にもしなかった。


 なので、カリカリと鉛筆でテストを受けたアリスである。すでに、この地球の情報は先程テキストフレーバーで確認済みだ。インスタントモスキートはかなりの情報を今もどんどんと集めてきているのであるからして。


 地球にいるときには、常にインスタントモスキートをばら撒いている傍迷惑なアリスである。すでにあれから何回か目撃されて、日本側はなんとかインスタントモスキートの侵入を防げないかと官僚や科学者が徹夜で考えているのが非常に可哀想である。


「できました」


 アリスは鉛筆をコトンと置いて、教師へと視線を向けて手をあげる。アリスへとやっぱり難しくてできなかったのねと苦笑いをする教師。


「まだ10分しか経過していませんよ。もう少し頑張ったらどうでしょうか?」


 まぁ、難しすぎて手も足も出ないんだろうなと考えた教師へとアリスは平然とした表情で答えた。


「簡単すぎて終わってしまいました。時間がもったいないので次のテストをお願いします」


 予想外の答えにぎょっとする教師。難しくてわかりませんでしたと言われると考えていたら、簡単すぎる?この問題は自分だって勉強をしなければできない問題だ。


 焦って、アリスのテストを受け取るとたしかにテスト用紙は全問埋まっていた。問題を埋めただけではとも思うが、どうも目の前の少女は自信満々な様子である。


 なので、教師はとりあえず採点をしてみれば良いかと考えて、手元にある解答と見比べる。所詮模試モドキであり、特にそこまでカンニングなどを気にする必要もない。どうも鶴城さんの言い分だと無理やり連れてきたみたいだし、本人もやる気は無さそうだからして。


 そして、その採点の結果に口を大きく開けて驚愕した。大学内で最高と呼ばれている太平洋連合大学に入れるレベルのテストであったのに


「ま、満点? そんなたったこの10分で?」

 

 問題を読む時間もたりない時間であったのに、信じられない。驚愕する教師へと淡々とアリスは声をかける。


「申し訳ありませんが、次のテストを受けさせてくれませんか?」


 小学生にも見える子供へと視線を向けて、カタカタと震えながら頷く教師であった。




 アリスが父親に手を繋がれて、学校を去っていくのを見届けたあとに校長室で、校長と教師、そして鶴城母が難しい表情でテスト結果を見ていた。


「信じられません。全て満点です。カンニングなんてレベルじゃないですよ。問題を読む時間もないはずなのに、彼女はテスト問題をちらりとみただけで、解答を始めたんですよ! あれは天才です、間違いありません!」


 バンバンと机を叩きながら、興奮した表情で教師が怒鳴るように言うのを聞いて、校長が口を開く。


「では、彼女は正式な飛び級最高レベルのテストも難なく満点をとれる学力を持っていると?」


 うう~むと顎に手をあてて顔を顰めながらテスト結果を見る校長。その手にはすべてが満点となっているテストがあった。


「彼女はどういった人物なのでしょうか? 鶴城さん」


 最初に鶴城さんがお願いしたときは、まさかこんな結果になるとは考えていなかった。家庭の事情で受験ができなかった子への編入用の救済テストをうけさせる前段階、彼女の学力がどれぐらいかを確認するだけのつもりであったのだ。


「彼女はトレーダーとして成功している啓馬さんの娘さんです。どうやら最近認知された様子ですが、お金をあげるだけで、碌に世話をしている様子がなかったので、少なくとも学校ぐらいはと思ってたのですが………」


 この結果は予想外だと鶴城母も驚愕していた。娘に教えたという学力から頭は良いとは予想していたが、ここまでとは予想外であった。鶴城母は実は啓馬のことを多少調べていた。どうやら金持ちなのは間違いない。しかもトレーダーで成功をしている立派な投資家であった。


 しかし、えてして成功している金持ちが立派な大人だとは限らない。そのパターンを多く見てきた鶴城母は子供がお金だけ渡されて世話をしていないと考えたのだ。恐らくはその予想は当たっていると少ない啓馬との話でも感じた。


 ギィと椅子へと深くもたれかかり、校長が口を開く。


「トレーダーで成功ということは、かなりの頭脳の持ち主でしょう。それを受け継いでいるのでしょうが、ここまでとはね………。これは大変なことですよ。とりあえずは来週の飛び級テストを受けさせましょう。このレベルなら簡単に受かるでしょうから、その時は我が学校の所属ということでね。なに優秀な人間はいつでも成り上がれるのが太平洋連合の規則ですしね。急な申し込みでも問題はありますまい」


 学校の名声が上がる可能性があるのだ。飛び級テストで合格する子供にはそれだけの価値がある。欲得ずくだが、それでもアリスのためになるだろうと鶴城母も頷いた。


「わかりました。父親を説得して受けさせましょう。これから先のあの少女のためにも」


 そうして、アリスは自分の力を見せつけすぎて困ることになったのであった。

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