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ゲームの国の異世界アリス〜異世界と日本を行き来してゲームを楽しみます  作者: バッド
ゲーム少女は拠点を作る

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53話 ゲーム少女は住民設定をする

 パリパリに焼けたパンの皮に、中身は見たこともない白さを持ち口に入れると、ふんわりと柔らかく焼きたての味が口いっぱいに広がる。


 豚汁と呼ばれたスープは様々な野菜が入っており、驚くことにこの野菜は苦みは感じられず、野菜のうまみだけが感じられる。そしてもっとも驚くことが、この豚汁は見た目は泥のように濁っているが、塩味だけではなくなにか他の調味料が使われているとわかる不思議とホッとする温かさをじんわりと疲れた身体に染み渡るのであった。


 そんなご馳走を前に、皆は黙々とがっついて食べており、すぐにお代わり自由と言われたスープを飲みほして、空になったお皿を頭上に掲げる。


「おかわりおねがいします」


 その先陣をきっているのは何故かアリスであったが。


「お前が食べるのかよっ! ここは周りが嬉しそうに食べるのを労わる微笑みを浮かべて眺めるところじゃないじゃいの?」


 おっさんフェアリーが、馬鹿なことをいうので、やれやれと肩をすくめて教えてあげる美少女アリス。


「皆が食べているのに、眺めているだけ? おかわり自由なのにそんな拷問をなんで主である私が受けないといけないんですか? まったくこのおっさんフェアリーは食欲というものを甘く見ていますね。私が一番おかわりをする予定ですよ」


 フンスと他の人より食べますと胸をはる困ったアリスに鏡はこういうやつだったと呆れるのであった。


「アリス様の分はお肉をたっぷり入れますね」


 メイドのように甲斐甲斐しくアリスへと豚汁をよそおうとするオズへとちっこいおててを突き出して制止する。


「ダメです。肉と野菜は少し肉が少なめの方が豚汁は美味しく感じるのです。どんな料理にもバランスというものがあるのですよ。たまに口にはいる肉の味がいっそう豚汁を美味しく感じさせるのです」


 なんだか食通のアリスゆーざんと化した様子に、オズはなるほどと感心したようにうなずき、チャシャはそうっと盗み食いをする子猫のように余っているパンへと手を伸ばす。


 なにげにこの子はちゃっかりものだなぁと、苦笑しながらアリスは伝えてあげる。


「適当に作ったので、余りましたか。余ったパンは食べちゃっていいですよ」


 声をかけられて、見つかっちゃったとびくりと体を震わすチャシャだったが、その告げられた内容を理解して満面の笑顔となる。


「ありがとう、アリスちゃん。んじゃ、いただきまーす」


 ほいほいとパンを2個持ってアリスの隣に座るチャシャ。他の面々もそれを聞いて腰を上げる。


「俺も食べるぜ! こんな凄いパンは食べたこと無いしな!」

「アンタら、アタシの分も残しておきな」

「いやはや、長いこと商売をしてきましたが、ここまで白くふんわりとしたパンは初めて食べました」


 わんにゃん軍団やグリムたちが言い争いながら残ったパンを取る中で、人間族の住民予定の人たちは動こうとしなかった。さすがにスープはおかわりをしているが、パンは残り少ないので取ろうとはおもわないのであろう。


 いつでもこのパンは食べれるんだけどなと思いながら、豚汁を口に入れるアリスであった。




 少しして、ようやくパンも全てなくなり、スープもあれだけ用意したのに空になったことを確認してアリスは立ち上がる。


 疲れた身体にお風呂と美味しい食事と、もはや寝るしかないという様子でウトウトとしている人々へとパンパンと拍手をして、注目させる。


「さて、これで前準備は問題なしですね。今日は皆さんには仕事はありませんが、最後に一つだけやってもらうことがあります」


 なんだろうと、ついに無茶な命令がくるのかと警戒する人間族。そんな人間族、そしてわんにゃん軍団へと視線を向けて話す。


「このアリスシティ、そして私の庇護下に入り住民となるかを決めてもらいます。住民となった場合は私から力を与えることになります」


 なんでそんなことを今さらと、お互いの顔を見合せて不思議がる人々は次の瞬間驚愕した。


 頭の中に声が神秘的な声が響いてきたのだ。


「貴方は魔風アリスのシティの住民となりますか? はい/いいえ」


 この声はなんなんだとアリスへと視線を向ける人々の中で、気楽そうにチャシャが答えた。


「はい、なりま~す」


 なにも考えずに答えたチャシャ。無防備にも程があるが今さらな感じもしたのでチャシャは疑問に思わなかった。そして声がその答えを受領する。


「貴方は魔風アリスのシティの住民、護衛兵となりました。初期はレベル30固定となります」


 レベルって何かな?と首を傾げて、にゃーんと呟くチャシャだったが、自分を光が包み込んで吸い込まれていくのに飛び上がって驚いた。


「え? これなぁに? なにこれ?」


 その問いに平然とした表情でアリスは答える。


「それは私の加護ですね。シティ所属の兵士は固定レベル30を与えるんです。職業訓練校とか訓練所はないのでレベルは固定ですが」


 ほえ?とますます首を傾げて倒れるかもしれないチャシャは、自分の力が大幅に上がった事を感じ始めた。体が軽くなり動きに切れが筋力が大幅に上がったとわかったのだ。


「凄い………。力が満ち溢れてくるよ。これが加護?」


「はい、最高合計150ぐらいの基本ステータスが上がったと思いますよ」


「わーい! これならオーガも簡単に倒せるかも!」

 

 ぴょんぴょんとジャンプする姿も、数メートルは飛んでおり、皆がその姿を確認した。


 我も我もと住民となることを決定する。


 皆が光に包まれていき、力が大幅に上がったことを確認する面々。


「凄い、凄い、僕の体じゃないみたい!」


 レーテルが叫び、踊るように喜んでいる。他の人間族も突如として手に入れた力に驚いている。今まで基本ステータスが他の種族の最低値であり、苦しんでいただけに喜びもひとしおだ。


 おっさんフェアリーはそれを見ながら呟く。


「初心者救済用だと、住民はレベル20からスタートで、兵士は30だもんな。ここの連中はレベル0だろうから、人間族なんて5、6倍の戦闘力になったんじゃないか?」


「これで、そこらへんのアストラル体にやられちゃうことも少なくなるでしょう」


 うんうんと偉そうな村長ごっこをしているようにしか見えないアリスが腕を組みながら答える。それぞれが自分の力が大幅に上がったことに感動をしている。人間族には涙を流しているのも見えた。


「ありすさま~。我は? 我は? 声がきこえないんですが。強大なる力を与えるアリス様の力を感じられないのですが」


 オズが周りを見て嘆きの声をあげる。自分もパワーアップするかと思っていたのに、声が聞こえなかったのであるからして。


 アリスはオズを見て、微笑む。


「オズにはこの拠点を守るガーディアンになって欲しいんです。お金がかからずにガーディアンを用意するってなかなか魅力的なので」


 その言葉と共にオズの頭に


「魔風アリスのガーディアンとなりますか? アリスシティを守るガーディアンとなりますか? はい/いいえ」


 と聞こえた。もちろんオズの答えは決まっている。元気に返事をして了承をする。


「はい! なります! アリス様の眷属となります!」


 同意したと同時にオズを周りよりも遥かに多い光の粒子が舞い、幾何学模様がオズを包み込んだ。


 ゲーム的にガーディアンというものはシティを守る存在である。1体だけ選ぶことができて通常よりも強い存在となる。具体的にはHPが大幅アップ、そのほかにも色々な補正がつくのであるが維持費結構高いのでどうしようかとなとアリスは思っていたが、ちょうどタダのがいるじゃんとオズに決めたのである。


 そして初心者救済拠点キットのガーディアンはレベル100である。まぁ、インフレが激しいので、初心者救済拠点ではあっさりとやられる可能性があるが。


 だが、それはゲームの中の話である。現実ならば………。


「おぉぉぉ! 感じます、感じすぎちゃいます! 我の力が大幅にあがったことを神龍へと変わった事を感じます!」


 はぁぁと両手を掲げて感激しながら喜ぶオズだが、一応アリスは釘を刺しておく。


「オズ、私を裏切ったら、その力は霧散します。それと神龍じゃなくてガーディアンです。神龍はまだまだ先ですね」


「えぇ~! この力でも神龍ではないんですか? 凄い、凄すぎる! この先どれだけ自分が強くなるかと思うと踊りたくなります。それと裏切ることはありませんから、素材を見る目で見ないでくださいね、アリス様」


 裏切ったら素材にするという言葉通りに爛々と目を輝かせていたアリスだが、それなら仕方ないですねと頷く。


 皆が感動している中で、胸をはり、張りすぎてうわぁと転がりながらアリスは宣言した。


「ここがアリスシティの始まりです。皆さん頑張ってくださいね。とりあえず宿舎での寝泊まりをしながらたくさん野菜をとってください」

 

 その言葉に人間族は平伏して一斉に声をあげる。


「はは~。アリス様のおっしゃる通りに粉骨砕身で頑張ります。ご期待くださいませ」


 うんうんと頷いて、わんにゃん軍団へも声をかける。


「わんにゃん軍団は神殿騎士となりますが、まだ職業訓練校がないので、とりあえずは兵士ですね。頑張ってこの周辺の敵を間引きしてくださいね」


 わんにゃん軍団ももはやただの人間族だとアリスのことを考えていなかった。自分たちにこんな力を与えるなど人では無理であると理解したのだ。


「はは~。アリス様、あたしたちの働きにご期待くださいませ」


「あ、いつもの話し方で良いですよ。そういうのはたまに聞くから良いんです」


 その言葉に苦笑交じりにレイダとドーベルが立ち上がる。


「どうやら、あたしたちは大幅出世したいみたいだね」


「姐さん! 俺たちは一生ついていきますぜ!」


 頼もしく胸をドンと叩く二人を見て、頷いて最後にグリムへと視線を向ける。


「さてグリムさん。次は職人が欲しいです。なので、私も王都とやらに行きますので一緒に来てくれますよね?」


 真面目な表情で平伏したグリムはアリスシティ商人レベル20となっていた。


「ははっ! このグリムも一生お仕えいたします、アリス様」


 この場にいる全員がアリスシティ最初の住人に無事になったことを確認したゲーム少女は満足して次なる行動をとろうと考えるのであった。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 神の加護も奇跡も物語でしか知らない素朴な人々が本当に天意の声を聞き実感するほどの力を得れば(´ω`)マジの狂信者集団の出来上がりですわな。 事前に服を与え家も畑も有り腹を満たされてからのコ…
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