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ゲームの国の異世界アリス〜異世界と日本を行き来してゲームを楽しみます  作者: バッド
異世界で傭兵生活を始めるゲーム少女

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33/199

33話 ゲーム少女のキノコ採り

 鬱蒼と茂る草木、背の高い巨木といってよい木がそこら中に生えており、日差しはなかなか届かない。そして雑草がそこら中に繁茂していて道なき道をよいしょよいしょとアリスたちは歩いていた。目指すはダイショーの山奥らしい。


 みんな汗だくになり歩いている、なにしろ武器やら食料やらを持って歩いているのである。結構な重量となり、そこに段々勾配がきつくなり体に負担をかけてくる。


 そんな場所をひょいひょいとアリスは歩いていた。走らない限り疲れる事はないアリスである。ただ、歩きにくいので、歩行術のスキルを取る必要があるかなぁと考えてのほほんとまるで遠足にいくみたいに微笑みを見せながら歩いていた。


「うへぇ~。道が無い場所ってのは大変なんだなぁ。みんなクタクタじゃん。これで戦闘とかできるわけ?」


 空中に浮いてふよふよと移動している全然大変じゃないおっさんフェアリーが感想を言ってくる。まぁ、おっさんなら、数分も歩かないでギブアップだろうことは間違いない。


 道が無いというのは凄い神経を使うのである。根っこが脚をとり、毒蛇やらが草むらに隠れているかもしれない。そして繁茂している雑草を切り払いながら歩き続けるのである。体力自慢の傭兵団もクタクタになるのは当たり前だ。


 雑草を刈りながら、先頭を歩いていたウルフニュートがくたびれたのが、後ろの人へと入れ替わる。そして次の人が鉈を使い雑草を刈りながら道を後続のために作っていくのだ。


 やれやれと後続が鉈を雑草に振るおうとしたときに、アリスは素早くエネルギーガンをホルスターから引き抜いた。ちっこい細い腕を伸ばして銃を構えて雑草へ向けて引き金をひく。


 チュインチュインと音がして、雑草へと小さい光の弾丸が射出される。そして、雑草からは焦げた匂いと共にどさりとなにかが倒れる音がしてきた。


 ぎょっとしながらウルフニュートが雑草を恐る恐る刈ると、そこには凶悪な毒を持つ蛇が頭を貫かれて死んでいるのを発見する。


「狩人と気配感知があれば、大体の低レベルの敵は私から逃れることはできません」


 飄々となんでもないような声音で倒した蛇へと近づき、おててを翳して亜空間ポーチへと収納する。


「ここらへんはアストラル体が多数いて良い狩場ですね。このクエストを受けて良かったです」


 ルンルンとご機嫌アリス。もうこれで30匹は退治している。そのため、レベルも15になったことを確認する。


「スキルポイントは雷術取得にまわしますねっと」


 ぽちぽちっとなとスキルを取得する。攻撃的術が必要だと聞いて雷術を取得したのである。


「なんで雷術? 火とか氷の方がよくないか?」


 おっさんフェアリーが尋ねてくるので、このおっさんフェアリーは本当に無知だなぁと思いながら、ふふんとドヤ顔で教えてあげる。


「古今東西、雷術は敵への特攻が多い術なのです。火や氷などは後から取得すればよいのですよ」


 えっへんと胸をはって、教えてあげる。


「それに私は雷術が好きなんです。好きな攻撃術のベスト3に入りますよ」


 好みの問題もあったらしい。たしかに鏡も雷術が好きである。雷術は麻痺を追加効果として敵への特攻が多い。なにせ機械式の敵が多いゲームだったからして。でも、この世界だと大丈夫なのかなぁと一抹の不安を覚える。なにせ機械など見たことが無い。というか、たぶん存在しないのだから。


「機械式の敵が出てこないと思うんだけど、大丈夫かなぁ?」


 不安がる鏡へとアリスがちっちっちっと可愛い鈴のような声音で教えてあげる。


「やばかったら、レベルを回復させるから問題なしです」


「尽きるところはそれなのだね………。まぁ、今は遊んでいる感じだからなぁ」


「そうです、その通りです。遊びは楽しまないといけませんからね」


 うんうんと嬉しそうに同意するアリス。遊ばないと駄目なのだ。楽しくないと駄目なのだと使命感じみた決意をもっているゲーム少女であった。


 そうやっておっさんフェアリーと話している所にレイダから声がかけられる。


「あ~。フェアリーとの話し合いは終わりでいいかい? 先に進んでいいかい?」


 レイダたちにはフェアリーと話していると教えてある。地球ならちょっと病院に行こうかと言われる内容だが、この世界だと違う。透明化をかけている気まぐれな妖精は伝承に多い。そのような妖精がこの人間に懐いているのだろうと考えていた。


 そしてその妖精は美少女の形をしているのだろうと予想して、一度見てみたいと考えているが、実際はおっさんだとわかれば、物凄いがっかりするだろうことは間違いない。


「それにしても魔法使いがいるといないとでは大違いですな。姐さんのおかげで道中の敵に苦戦していた俺らが形無しでさ」


 ドーベルが感心しながら、次々と現れる魔物を魔法で瞬殺する少女を見やる。喧嘩を売らないで良かったと自分の判断を内心で賞賛してアリスを褒めやかす。


「ふふん。あんなのは敵ではありません。いえ、とてもとても弱い敵ですから、ぎりぎり経験値は入るのです。数をこなせばレベルがあがるのでちょうどいいですね」


 むふふといつものように褒められるのが好きなアリスは胸を反らして威張るように言う。


「この調子ならば、昼過ぎにはゴールデントリュフのある場所につきまさ」


 いつもなら注意して数日かけていく場所だ。蛇やら蜘蛛の魔物。虫の魔物も恐ろしい。毒を受けたらそれに合わせた毒消しを使わないといけないし、凶悪な魔物なら時間をかけて倒さなければならない。


 それがあっという間に到着するとは、魔法使いとは本当に凄い者なのだなと感心して案内をするドーベルであった。



 てってこと苦労して歩き、ようやく木がまばらになって生えている所に到着する。アリスはきょろきょろと周りを観察する。何故か木が先程よりも生えていなく、緑が薄い。何故なのだろうかと可愛く小首を傾げて不思議に思う。地形効果は感じないんだけどと、ゲームの理論を持ち出すアリスである。


 その疑問顔に気づいたドーベルが教えてくれる。


「ここらへんはアイアンボアの縄張りでね。草の芽をむしゃむしゃ食べちまうから、そんなに繁茂しないんでさ。そしてこの絶好の環境がゴールデントリュフを生育させるんでさ」


 ひょこひょこと歩いて、木の根元に積み重なっている葉っぱをどけるとでかい黒いキノコがでてきた。


 見かけによらず、そっと丁寧に周りの土を落としてトリュフを獲るドーベル。こちらへと見せるそのキノコは10センチはありそうな黒い塊。すなわちトリュフである。


「これだけ大きい、しかも魔力が高いキノコは貴族に大人気なんです。それを獲って売るのが俺らの主な収入源でさ」


 巨漢の体躯を反らして、得意げな表情のドーベルである。それを見て、鏡ががっかり感満載で呟く。


「あっ、そぅ………。猫は猪狩りを犬はキノコ狩りで稼いでいると………。なんだよっ、こいつらどこらへんが傭兵団? ただの田舎の狩りの集団じゃん! がっかりした! 異世界にがっかりした!」


 もっといつもゴブリン退治やらなにやらをしていると考えていたのに。スタンピードとかが来て、そこを傭兵団が救うとか考えていたのにと。現実ではそうはいかないらしい。まぁ、野良ゴブリンを倒してお金をくれる奇特な人はいまい………。それにスタンピードって発生原因がわからない。そんなに魔物が増えて、なんで街を目指して襲い掛かってくるのだろうか。冷静に考えると変な内容である。まずは森林の食い物を食い尽くすのが動物であろう。そして、猫に続いて犬もダメだったかと鏡は考えて、アリスへと視線を向ける。


「アリス………。とりあえず、討伐系ではなく、砂糖やら何やらを売って儲ける商人系にシフトしようか………。で、お金を貯めたら王都とかに行くルートで」


「ふむふむ。交易系ハンターを目指すわけですね。宇宙戦艦を取り出せば楽になるのですが………」


 ちっこいおててを顎にあてて、とんでもないことを言うアリス。それに慌てる鏡は


「待て待て、宇宙戦艦はなしだ。きっと発生するであろうクエストを軒並みスルーしてしまうだろうからな。報酬減っちゃうよ?」


「むむむ。やはりそうですか。ならば仕方ありませんね………。この惑星の流儀でいきます」


 面倒くさいなぁと肩を落とすアリス。交易ならばでかい戦艦をつかえば簡単なのであるからして。しかし、クエストをスルーしてしまうとなるとそれはできない。


 まぁ、いいやと考えるのは面倒なのでやめて、ゴールデントリュフとやらを観察する。


「美味しいのですか? これは」


「さぁ、一度料理して食べてみましたが、そんなに旨いものでもなかったですぜ」


「あぁ、料理スキルが無いのですから当たり前ですね。帰ったら試しますか」


 ドーベルがそんなことをのたまうが、トリュフは料理するのが難しい。普通の人では無理であろうことは間違いない。聞いた私がアホでしたと反省して、ゴールデントリュフとやらを採取するために地面を見る。


「土が盛り上がっている場所が怪しいですぜ」


「これがトリュフかい………。初めて見たね」


 早々にキャットニュートたちは地面にしゃがみ込んで、にゃんにゃんとキノコを採り始めていた。慌ててウルフニュートたちも地面にしゃがみ込んで、ふんふんと鼻息荒くトリュフを探し始める。


「………なんというか、犬と猫がじゃれているようにしか見えませんね………」

 

 犬猫傭兵団を見て、呆れてしまうアリスである。地面にしゃがみ込んで、尻尾をふりふりとさせて、嗅覚を高めている犬猫軍団は隠したご飯はどこだっけと探しているような間抜けな姿であるからして。


「私も負けてはいられませんね。トリュフゲットです」


 とぅっとその間抜けな姿に紛れ込むように地面に倒れこむアリス。子供が土遊びをしているような感じであり愛らしい。そして周りを見てがっかりする。簡単に見つかりそうにないからだ。


「採取スキルを取るのを忘れました………。仕方ありません。ポチッとな」


 即断即決、マテリアルを使用してレベルを16に上げて採取スキルを取得するアリスである。必要ならば簡単にレベルを上げてしまうゲーム少女であった。


 採取スキルを取得した途端に、キラキラと森のあちこちが輝きはじめる。そこになにかしらの素材があるという事である。そこにほいほいと意識をゴールデントリュフとやらに向けるとキラキラが減っていく。


「これでゴールデントリュフは全て私のものですね」


 キラキラと輝いている場所に、匍匐前進とずりずりと高速で移動するアリス。立ち上がって移動すればいいのに、みんなもしゃがみ込んでいるので自分も合わせて地面にしゃがみ込んでいるアホな娘アリス。


 だが、その目つきは獲物を見つける視線で、本来は見つけにくいゴールデントリュフを的確に獲りまくるゲーム少女であった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 楽し気にキノコ狩りにいそしむアリス一行。読者は、ちょっと前まで傭兵団の勢力抗争を心配していたが何ともほのぼのな風景。 [気になる点] 鏡は自信満々で異世界交易すれば濡れ手に粟と思ってますが…
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