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龍神の乙女  作者: ロクイチ
21/42

第21話  蜜月の日々


「ふひゅう、、、ふひい、、、、」


「ハクレン、しっかりして!」


情熱的な新婚初夜から1週間後、ハクレンはベッドにうつ伏せになり過呼吸状態に陥ってしまった。その

理由は言うまでもなく、お預けを喰らっていたスタンに激しく愛され過ぎて、完全に意識不明になって

しまったのだ。さすがのスタンも慌てて治癒術師を呼んだのである。


「呼吸は落ち着きましたが、少なくとも3日は安静にしてください」


「術師殿、礼を言うぞ。なんだか、お花畑で誰かか手招きしている光景が見えたのだ・・・・」


「うう、ごめんよハクレンっっ」


そう涙を流して詫びるスタンだったが、急報を聞いて本宅から駆け付けたマリーは、実の息子を冷たく

見据える。


「スタン、あなたねえ、、、、自分のことばかりだけでなく、もう少し相手をいたわることを覚えなさい!」


「母上、申し訳ありません・・・・」


その後もマリーのお説教は懇々と続き、スタンはその大きな体を縮ませてしまうのだった。


「それでは、腰の痛みにはこちらの鎮痛剤を、食後に2錠飲んでください。くれぐれも3日間は安静ですよ。

お大事に」


「はい、ありがとうございます。スタン、あなたは一緒にきなさい」


「えっ、何でですか母上」


「何でではありません。あなたまた二人きりになったら、ハクレン様に手を出してしまうでしょ。今度こそ

本当に取り返しのつかないことになるわよ!」


怒るマリーにスタンもすごすごと離れを後にしようとした時、意外なことにハクレンが2人を呼び止めたの

である。


「いいのじゃマリー、妾はスタンにそばにいて欲しいのじゃ」


「え、でもこの愚息がまたやらかすかもしれませんよ」


「それよりも、独りでいる方が寂しくて耐えられぬぞ・・・・」


そう弱々しい言葉で呟くハクレンに、マリーも”はあ”とため息をついてスタンが側にいることを認めた。


「いいことスタン、この3日間ハクレン様に何かしたら、親子の縁を切るからね!」


「はい母上、王国軍人の誇りにかけて誓います」


マリーは何度も念押しし、本宅へと戻っていった。スタンは本当にすまなさそうな表情で、ハクレンのベッド

の脇に腰掛ける。


「本当にごめんハクレン、母上の言う通りだよ。自分のことばかり考えて、君の体のことを気遣えなかった」


「まあよい、次からはもう少しやさしくしてたもれ。さすがにこれが続いたら死んでしまうわ・・・・」


「うう、、、ごめんよう・・・・」


そうグスグスと泣くスタンに、ハクレンは微笑を浮かべる。まあ確かに行き過ぎもあったが、彼が本気で

自分のことを愛してくれているのを実感したからだ。


「それからなスタン、初夜の時は夫婦の営みは週1回、と言うてしまったが、その、な、、、、回復したら

2日おきにしようぞ」


「えっ、何で?」


「う、うむ、1週間も間があいて、そなたがまた欲望を押えきれなかったら大変じゃからな。それに、、、」


「それに?」


「夕べは確かに苦しかったが、、、、その、良かったのじゃ」


そう言ってハクレンは顔を真っ赤にし、”うにゅ~”とその顔をシーツで隠してしまう。


”何この可愛い生き物!”


スタンは思わずハクレンにむしゃぶりついてしまいたい衝動にかられたが、マリーに散々釘を刺された

ばかりである。オリハルコンの如き意志でその欲望をかろうじて封じ込めた。ハクレンとスタン、2人の

新生活は波乱もありながらも、こうして始まったのである。


閑話休題


「ところでスタン、そなたも妾と結婚するまでは女性と付き会ったことはないであろう。どこであんな閨の

技を覚えたのじゃ」


ハクレンはスタンをジト目で見据える。どこぞの娼館で練習していたのではないかと疑ってしまったのだ。

そんな彼女にスタンは一冊の本を見せた。


「いや、この本に書いてあることをそのまま実践しただけだよ」


その本のタイトルはこう印刷されていた。


”王国軍人のための夫婦円満の秘訣初級編” 著者:イエルス・リットル 監修:ラミアール王国軍総本部


「イエルスよ、何こんな本書いておるのじゃ。それに軍総本部監修じゃと。この国は一体何を考えておる

のじゃ・・・・」


「何でも、一時期夫婦仲が悪くて離婚する軍人が相次いだとかで、士気を保つために父上が音頭をとって

刊行したらしいよ」


「大丈夫か王国軍!」


これが地球ならセクハラ扱いされるところだが、総本部のわずかな女性事務員を除いて完全な男社会の

王国軍では、福利厚生の一環として結婚した軍人に配布されるそうだ。


「しかしな、本を読んだだけで実践できるものなのか」


「うん、各艦の魔導演算システムにそのシュミレーション機能があって、非番の日に研修受けてたんだよ」


地球よりも数世紀は進んだラミアール王国、超リアルな3D映像で本番さながらのシュミレーションができる

そうだ。元々は軍事演習のために開発された機能だったが、これも福利厚生の一環としてそっちの方面

にも利用できるようにしたらしい。


「本当に大丈夫か王国軍!」


王国軍の行く末に不安を抱くハクレンであったが、まだ彼女は気づいていなかった。初級編があるという

ことは、次に中級編、そして上級編があるということに・・・・


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