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ビームを撃つべし。

長いです。

 張り切りまくった三人のおかげで驚くほど早くスケルトンたちを倒していった。そして何とか3kmのところまでたどり着いた。しかし、イイコトのために頑張っていた三人もさすがに疲労がたまっていったのとスケルトン自体が強くなっていっているので、鎧を着てはいるがスケルトンに怪我を負わせられることも多くなってきた。

「大丈夫ですか?」

「ま、まあそれなりには?…そろそろ魔力が切れそうだけど。」

 そう言うと春斗を担いでいる男は自分の頬の傷口に手を当てた。すると、傷が少しだけだがふさがった。だが、今の状況では十分だった。どうやら彼らは回復系の魔法を使って、何とか戦っているようだった。

 しかし、限界が来たのだろう。とうとう、最初に春斗を担いでいた男が膝をついて倒れ、次にハンマーを持った男ともう一人の男が倒れていった。

「だ、大丈夫じゃないじゃないですか!」

「う、うん。大丈夫じゃなかったね。」

 そう言って彼は目を閉じた。春斗は急いで脈を図ってみる。息はあった。それでも主力の三人が一気にばてたのは痛手だ。メディも頑張って何とかスケルトンたちが春斗たちの方に来ないようにしているが、それでもメディも息が上がって今にもこの三人のようになりそうだった。

(このままじゃ全滅する。)

 そう思ったが、今非力な春斗にはどうすることもできなかった。

「あらら~。大変ね~。」

「そんな軽く言える状況じゃないよ!?ど、どうしよう?」

「まあ、そんなに慌てず私に任せなさいな。」

 そう言って桜が春斗の一歩前へ出る

「本当は春斗君がやるべきことなんだけど…今回は最初だから私がやってあげるわ。」

 桜が扇子を今まさに襲い掛かってきているスケルトンに向ける。するとその扇子の先からレーザービームのようなものが発射され、それを食らったスケルトンの腹には風穴があいていた。

「さ、春斗君。やってみて?」

「いやいや、あんなの出せるわけないでしょ!」

「この世界の人は出そうと思えば出せるわよ?ねえメディちゃん?」

 そう言いながらまた近づいてきていたスケルトンを撃った。

「いや、でもその魔法を出すにはそれなりの魔力がいる…。というかこの世界?」

「ほら、魔力があればだれでも出せるんですって。というわけで、春斗君は怖がることないから出しちゃいましょう。ほら、力を入れて、出ろ~って心の中で言うのよ。」

 桜はメディが最後の単語を言おうとしたのを遮った。

 春斗は桜の言われた通りに一応はやってみる。右手で銃の形を作り、それをスケルトンに向けて。すると思ってたより簡単に出た。

「ほら出た。」

 春斗はまぐれなのか自分の実力なのかを確かめるようにそれを周りのスケルトンにドンドンと打ち込んでゆく。

「桜さんと契約してるおかげですね。よかったですね、春斗。」

「…サラ、君は契約って何のことか知ってるの?」

「知ってますけどそんなのは桜さんに聞いてください。」

 春斗はまたも契約のことについて教えてもらえなかった。今この状況だからというのもあるかもしれないが、サラは多分面倒くさいから教えてくれないんだろうなと春斗は思った。

「さて、メディちゃん。ワンちゃんを出して?」

「いや、だがポチは今怪我をしているんだぞ?とても走れは…。」

 そう言っているにもかかわらず、桜はメディのカバンから首だけを出していた小さい狼…いや、ポチを取った。そしてポチに手を当てた。すると、怪我はふさがり、ポチは元気になった。

「そんな一瞬で回復!?桜、君は一体…。」

「そんなことより伸びている三人を拾ってきなさいな。」

 メディの話をまたも遮って桜は指示を出した。メディは答えを得られず少し不満げだった。だが一応三人を拾って大きくしたポチに乗せた。桜とサラと春斗はメディに上から引っ張ってもらい上に乗った。

「さて、春斗君、頑張りなさいな。」

「ええ、どうすればいいのさ…。」

「邪魔立てする奴らをすべて打ち抜けばいいのよ。大丈夫よ、心配しなくても春斗君ならできるから。」

 桜が春斗にそう告げ終わった瞬間、ポチが走り出す。春斗はすぐにさっきのように右手を銃の形にしてスケルトンたちに向けレーザーを撃ち込んでゆく。前に立つもの向かってくるもの剣を振り上げるものすべてを打ち抜いた。盾で身を守るものは盾ごと打ち抜いていった。いつの間にか、左手も同じ作業をしていた。

 まるで自分の身体ではないようだった。ここまで動かしておいて、尚も疲れた様子を見せない両腕。ポチが素早く動いているのに正確に当てられる動体視力。どれも運動音痴の春斗にとってはありえないことばかりだった。

「君にとってのそのあり得ない身体能力は魔法のおかげなのよ。私がかけた魔法のおかげなのよ。」

「これも魔法なの?」

「ええ、メディちゃんや彼らも多少は使ってたはずよ。」

 そう言いながら桜は三人とメディを見る。

 春斗たちは順調に道を進んでゆく。そして残り約100mといったところでカーブを曲がる。

「なんだこれ…でかすぎだろ…。」

 メディがそう言い視線を向ける先には最初のスケルトンの5、6倍は大きいスケルトンが立っていた。大きいので動きはさすがに遅いと思ったが、それは違い、先ほどのスケルトンたちと同じくらい早かった。しかもそれだけでなくさっきと同じスケルトンもいた。

 ゴールしていく人は誰かが狙われているうちに行っていた。それぐらいしか方法がないのだ。あの巨大な化け物と対峙し勝利しゴールなど無謀だろう。

 一度春斗が巨大なスケルトンに向かってビームを撃ってみる。当たりはしたが全くと言っていいほど効いていない。

「だめだ…。」

「そう弱気にならずに、もう一発撃ってみなさい。さっきよりも大きなものをね。」

 桜にそう言われ春斗はさっきは銃の形にしていた右手を開いてさっきより二回りは大きなものを撃った。それは、スケルトンの右腕に命中し穴をあけた。が、今までのスケルトンとは違い30秒ぴったりで再生し復活するのではなく、一秒も立たずに再生した。

「あんなもんどうしろってんだ!」

「うわびっくりした。…急に叫ばないでいただけます?メディさん。」

「す、すまん。」

「…まあかまいませんが。」

 仕方がないので、今ゴールしている彼らと同じようにゴールすることにした。ポチに乗っていると的が大きいので今倒れている3人だけを乗せる大きさにし、春斗たちは歩くことにした。最初は春斗が身体強化魔法を使えるようになったので走ってゴールまで行くつもりだったが、メディが魔力が尽きたのと、疲労で走れないので歩くことにした。

「そうだ、先にワンちゃんをゴールさせましょう。」

「ああ、それはいいかもです。では春斗、さっきのような大きいビーム打っちゃってください。」

 サラにそう言われ、春斗は巨大なスケルトンに当たらないように、手を開き、さっきと同じような大きなビームを撃った。ビームを撃った場所のスケルトンはすべて倒れ、ゴールまでの道ができた。そこをポチが今までで一番早く走っていく。

「あ、これならメディさんも乗せていけばよかったですね。」

「いや、メディちゃんだけじゃなく私たちも乗れば…。」

 そう思った時にはもう遅く、ポチはもうすでに春斗たちの視界からは消えていた。

「ねえ、あのスケルトン、私たちの方を見てる気がしない?」

歩きながら桜がそう言ったのでみんなが巨大なスケルトンの方を向いてみると確かに春斗たちの方を向いていた。

「さっき春斗がビーム打ったからじゃないんですか?」

「…かもしれない。」

 なんて春斗が言うと巨大なスケルトンは春斗たちの方へ歩きながら向かってきた。

「こっち来てません?」

「さすがにそれはないんじゃない?」

 スケルトンは春斗たちの前で止まった。

「ね、ねぇ…。」

「こういうのは無視するのに限r…」

 そうサラが言ってる途中でスケルトンは剣を振り下ろしてきた。剣はちょうど、桜と春斗、メディとサラを分けるかのよう間の地面に振り下ろされた。

「桜さーん。春斗は頼みましたよー。」

「おっけー。」

 剣という一種の壁となっている状態で、サラと桜はそう声を掛け合う。

「じゃあ、春斗君。私たちは先に行ってメディちゃんたちを待ちましょう。」

そして桜と春斗は走り出す。スケルトンのちょうど股下に来た時に、スケルトンは急に春斗たちを狙って足で踏みつけてきた。思っていたよりも早かったが、身体強化された春斗ならまだかわせる早さだった。

サラとメディがようやく春斗たちの視界に入るところまで出てきた。少々時間がかかったが、メディは走れないのでしょうがなかった。

「あらあら、向こうは大変そうですね。ねえ?メディさん?」

「あ、ああ。そうだな。」

 なんて話していると、スケルトンはメディたちの方に気づいた。するとスケルトンは二人を同時につぶすように足で踏みつけてきた。走れないメディは当然、避けられはしない。あと少しで二人ともが踏みつぶされるといったところで、サラはメディを押し、メディが踏みつぶされないようにした。気持ちが悪いほどの骨が砕かれる音がして、サラを踏んだスケルトンの足からは血が流れていた。

「え…あぁ…。サラ…?」

メディは放心状態になって座りこんでしまっていた。

私の代わりにサラが死んだ。私が逆にサラを押しておけば死ぬのはサラではなく私だったのに。いや、そもそも踏みつぶしたこの骨が悪いんだ。

春斗も少し涙を流しながらもメディをここに置いておくのは危険だと思ってメディを引っ張ってスケルトンの股下から出た。スケルトンはサラを踏みつけた場所をさらにかかとですりつぶす様にねじりながら踏みつけていた。

「絶対に殺してやる。」

 メディはそうつぶやきながら歩き、スケルトンがサラを踏んでいる場所へ向かおうとした。

「メディ!行っちゃだめだよ!」

 そんな春斗のこと言葉にも耳を貸さずにメディは進み続けた。春斗もメディを力づくでも止めたいが、小さいスケルトンの処理に手間取って止めに行けなかった。

 メディは踏みつぶしている足の場所に着くと槍で足を叩き始めた。するとスケルトンはメディに気が付きひねっている足を止めた。そして次はメディを踏みつぶそうと足を上げる、そして降ろす。もうメディには助けてくれる人はいない。春斗は取り巻きのスケルトンの処理に忙しいし桜はなぜか見ているだけ。助けてくれそうにはなかった。メディは目を瞑った。

 スケルトンの足があと少しでメディの頭に着く、メディは

(もう私は死んだのか?)

 といった気持ちでいた。しかし、死んだ気分ではないので目を開けてみると、スケルトンは止まっていた。いや、それよりも先にメディの眼に入ったのはサラの姿だった。

「おやぁ?どうしましたかメディさん。そんなに涙目になって。」

 そうサラは不敵に微笑みながらメディに言った。

「サラ、なんでお前生きて…。私は夢を見てるのか?いや、私も死んだからサラと会えた?」

 そう一人でぶつぶつつぶやいているメディをサラはメディの頬をペシペシと叩いた。

「私がこの世に存在してるんです。あなたは死んでいるわけでも夢を見ているわけでもありません。わかりましたか?わかりましたね?ではさっさとゴールいたしましょう。」

 サラたちのもとにそれなりに取り巻きのスケルトンたちを倒した、春斗たちが来た。

「サラ…君いったいどうやって?」

「また後でお話してあげますから。」

 そう言い、サラは一人でどんどんと進んでいく。だが、その途中は当たり前だがスケルトンたちが何匹もいた。春斗が倒したスケルトンたちもどんどん復活していく。そしてサラは囲まれた。

メディを守りながら進んでいる春斗はサラのところまで行ける余裕はなかった。

 サラを囲んだスケルトンたちは一斉に襲い掛かった。サラは避けたり、抵抗したりするといったことはせず、ただそのまま、四方八方から全身をスケルトンに刺された。

「サラ!」

 メディを守ることに忙しく、春斗はメディに向かってそう叫ぶことしかできなかった。

「はい。なんでしょう。」

 そうサラの声が聞こえるとサラを囲んでいたスケルトンたちは一斉に倒れた。周りを見ると他のスケルトンたちも倒れていた。他の参加者たちは大いに喜びゴールまで走っていった。

 サラはさっき刺されたはずなのにぴんぴんして立っている。刺されたところは黒い霧のようなもので一瞬覆い隠されて、その霧が晴れると刺された痕はきれいになくなっていた。

 そこからはもうゴールまで歩くだけだった。


もうマジサラちゃん好き。ああ、サラちゃんの服は刺された後でもちゃんと元に戻ってます。服は再生せず肌だけが再生し、肌がチラ見え、丸見え…なんてことはないです。

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