最初に来たのは白い世界でした。
あらすじ書くのクッソ下手ですねごめんなさい。
個人的に大好きなキャラができたのでこちらのお話で書かせてもらうことにしました。まだ出てきませんが。
「…ここは?」
少年が目を覚ますとそこは見渡す限り白しかない世界だった。
「あら、ようやく起きたのね~」
突然声がしたので辺りを見回すが誰もいない。
「こっちよ~。こっちこっち~。」
声が近くなってきて上を向いてみるとロングスカートを履いている女性が空から降りてきていた。
(ピンク…)
「も~どこ見てるの~」
その女性はおっとりした声でそう言いながらふわりと地面に降りた。
「あ、いや、その、すみません…。」
「まあ、しょうがないわよね~。そういうことを考える年で死んじゃったんだし。」
(そうだ、僕は死んだのか。)
少年は動じない。この真っ白な世界にくるまでの記憶があるからだ。
目の前の女性はどこからともなく書類のようなものをだし、少年のことを話し始めた。
「舞原春斗くん。16歳。生まれつき心臓が悪く、学校にも行けず、ずっと入院していた。お父さんとお母さんは君の入院費を稼ぐため働きっぱなし。16歳になり成功率の低い手術を受ける。そして失敗。最後は病室で息を引き取った。覚えてる?」
「はい。覚えています。」
少年もといはるとは、心臓の部分に手を当て、はっきりとそう答えた。心臓は動いてはいなかった。
「そっか~。」
話し終えると沈黙が流れる
「ねえ、春斗くん。君は桜が好きだったよね~」
女性は沈黙を嫌うかのように破り、話し始めた。
「あ、はい。そうですけど…なぜ知ってるんです?」
「…毎年春になると君の病室からは大きくてきれいな桜が見える。いつも本を読むか寝てるかしかしてない君はその桜を見るのが楽しみだった。唯一春にだけ見れるいつもとは違う外の景色。きみは桜に心を奪われた。」
少年の問いに女性は答えなかった。
「…そうです。僕は桜が大好きだった。だから16歳になった4月3日の翌日にその成功率が低いといわれていた手術を受けたんです。失敗したら死ぬのはわかっていたので。死ぬのなら、桜を見ながら死にたいなって。」
イチかバチか。春斗にとっても大きい賭けだった。みんなと同じように生活できるよう
になるか、死ぬか、だった。
「…君は望み通り桜を見ながら死ねたんだよね。悲しそうな顔してなかったしね~。」
女性はまるで春斗の死に際を見たかのように言った。
「何で知ってるんですか。」
はるとは彼女が人ではない何か恐ろしいもののような気がして一気に怖くなった。
「あら、まだわからない?ほら、よく見て?」
そういうと彼女は顔を春斗の顔の前にぐっと近づけてきた。はるとはびっくりして情けない声を出して後ろに倒れこんでしまった。
「え、いや、そのわからないで、す…。何であなたが僕の死に際まで知っているのとあなたの容姿に何の関係があるんですか…」
「いや、よく見てよく考えればわかるはずだから!頑張って!」
彼女の声はさっきより少し大きくなる。彼女はどうしても春斗に答えを出させたいようだった。
はるとは今までにないくらい頭を使った。こんな女性は病院でも見たことはない。たまにつけてたテレビでも見たことがない。彼女の顔を見てみる。顔は小さく唇は薄い。鼻は高めで目も大きめ。髪は肩くらいまでの長さできれいなピンク色。よく見ると目の方もピンクだ。
「どうどう?私が何か気づいた?」
彼女は期待した声ではるとに聞いて来る。
「いや、まだちょっと」
「早くしてよー。まだ本題が残ってるんだからー。」
はるとは本題があるならさっさと自分の正体を言えばいいのにと思ったが、内気な彼にそれを彼女に言うのは無理だった。
本題があることを知った春斗は内容が気になってきたので彼女の正体を早く見つけるようにした。
(…ピンクの要素が多いなあ。パ、パンツもピンクだったし)
なにかピンクに関係があるような気がして、思い当るピンクを考えた。一番に頭に浮かんだのはあの桜だった。
「…桜?」
そうつぶやくと彼女は手を一度パチンと叩きとてもうれしそうにした。
「わー!ようやく気付いてくれたー?私を見たらすぐ直感的な何かで分かってくれると思ってたのになー」
だが、春斗には人の姿をした彼女がどうしても桜とは思えなかった。
「あら?その顔は…私が桜って信じれてない顔ね!」
「は、はい。そうです。」
「まあ、詳しく言うとわたしはあの桜そのものじゃないんだけどね。具体的にはすべての桜を司る桜の神様ってとこなの。」
春斗は目の前の女性が何を言っているのかがまるで分らなくなってきた。そもそも、春斗は神だ仏だなど信じちゃいない。もしいたとしても、とても神々しい存在だと思っていた。だが春斗の目の前にいる可愛らしい人間の容姿をした女性だ。とても神とは見受けられない。だが、なぜか桜だというのはなんとなく受け入れられた。
「さて、自己紹介はこれぐらいでいいわよね。じゃあ、次。本題ね。」
春斗は本題ときて少し身構える。彼女も少し咳払いをする。
「えっと、春斗君には異世界に行ってもらうの。」
「え?異世界…?」
「そう、異世界。君がいた世界とは異なる世界。」
たまに本で見かけた単語。まさか自分に投げかけられる言葉とは思いもしなかった。
「あ、行かないとかは無しよ?大変な思いで君を送れるようにしたんだから。」
「あ、何で…何で僕が異世界に…?」
なぜ異世界に行くのだろう。春斗は死んだのだ。行くべきは極楽浄土や天国とかそこらへんなのではないのか。死んでから行く世界が異世界だなんて春斗は考えたこともなかった。
春斗にそう聞かれた女性は顔に浮かべていた笑みを消して答えた。
「君が行く理由は私が外にも出れずにたった16年という短い期間しか生きれなかったことをかわいそうだと思ったから。それと君が私のお気に入りだったから。」
そう言って彼女は微笑んだ。
「さて、もういいでしょ。そろそろおくるわね。」
彼女がそう言った瞬間、瞼が重くなってきて、春斗は意識を手放した。最後に見たのは彼女が微笑みながら手を振っている光景だった。
多分短いのは最初だからだと思います。そのうち長くなっていきますよ…(笑)