アンナとピールの関係性
私はアンナ。小さな診療所の所長をしています。
助手兼看護師のピールと一緒に今日は往診に行く予定だったんだけど、まさかの時間の確認ミス!!ヤバイどうしよう遅刻しちゃう!!
「あっやば!!時間一時間間違えてた!!!」
「えっ!?一時間!?もう予定の時間になるんじゃないですか!?」
「そうなのよ!!ここからだと走って……まあ、遅刻だわ」
半ばあきらめモードで往診用カバンを持つ。と、ピールが勢いよく立ち上がった。椅子まで倒しちゃって……自分で戻しなさいよね。
「じゃあ俺が本気出します!アンナさんは俺の分の荷物も持ってください!」
ピールはちゃんと椅子を戻して、私にカバンを預ける。
「ん?!!まさかあれ!?」
「そうです!舌噛まないように気をつけてくださいね!」
そう、あれ。過去に何度かやった、急ぎの時の私の足の遅さを補う方法。私を担いで、ピールが全速力で走る、あれ。
ピールは私を脇で抱えて走り出したんだけど……完全に手が胸の位置にあるのよねぇ……。
たぶん無意識なのよ。私だって自分が胸ないのわかってるし。でもね?私だって一応女だからね?
さすがにずっと走り続けるのは無理なので、ピールは一旦私を下ろして一息つく。
「……ピール」
「……ヒッ!?」
ピールはすぐに気づいた。私の声色と、呪いで見える負の感情で、ピールは私の感情にすぐに反応できるのよね。
「ごごごごめんなさいわざとじゃないんですたまたま!たまたま抱えたらその位置に手がきちゃっただけなんです!」
……何で私が怒っているのか、分かっているみたいね……。
「……うら若き乙女の胸を触った罪……容赦しないわよ……」
「うら若き……?」
「そこ疑問に持つんじゃないわよ!」
とりあえず私はリーチが短いので、制裁を加えるとするならば。
「このあと新規の患者さんのところに行くから……顔はやめといてあげる」
「よかった……」
「よくない!」
ピールは背が高い。げんこつを食らわせるにも背が足りなすぎる。
と、いうわけで。
「はぅうん!?」
股間を握ってみた。
「な……、あぅ……いきなり……何を……」
内股で悶絶するピール。しばらくは動けないわね……。まだ走らなきゃ行けないけど、そこはピールの全力で何とかしてもらいましょ。
「お仕置き。とりあえず今はこれで許してあげる」
新規の患者さんのところには無事予定の時間前に到着した。
「ずいぶんとお若いお医者さんなのね」
患者さんのお宅につくと、必ずすぐにこの見た目のことを言及される。若いのは見た目だけで、精神面や技術は自信あるんだから。
「見た目だけですよ、私これでも所長さんなんで!」
「うふふ、可愛らしい」
とりあえず好感触。往診の予定を決めて、今日は帰る。
「ねえピール」
「はい、なんでしょうか」
「だっこして」
「……はい?」
ピールはあからさまに困惑してる。まあ……普段こんなこと言わないし、当然と言えば当然ね。
「なによ。別にあんたのこともてあそんでる訳じゃないわよ」
「は、は、はい……」
ピールが私をだっこするのなんて端から見ればなんの違和感もない。妹がお兄ちゃんに甘えてるようにしか見えない。
しゃがむピールの首に腕を回す。ピールは背中とおしりに手を添えて、私を持ち上げた。
「……おしりは怒らないんですね」
「いいのよ減るもんじゃないし」
「胸だって減らないですよ?」
「もう!いちいち口出さないの!!」
首に回した腕でピールを絞める。
「や、やめてください苦しい……!!まさか……だっこの狙いこれ……!?」
お仕置きは終わらない。もちろんおしりも胸も減らないけど、私だってちょっとは傷つくのよ。