Runaway of the killer whale
今年の夏はとても暑い夏だった。
最高気温は、都心でも37度とかを普通に超えていた。
まぁ、こんなことを言っているものの僕は、クジラ(大学の海洋生物観測船)に乗って太平洋の真っ只中にいるんだけどね。
「本堂先生、エンケラドゥスとイオの餌を与える時間になりましたので、餌をあげてもらえますか?」
僕は、頷きエンケラドゥスとイオのいる巨大な水槽に向かった。
ちなみにエンケラドゥスとイオは僕が育てている、シャチである。
だが、決してペットと思ったことは無い。
僕はそのシャチに敬意を持っているし、シャチ達も僕に敬意を持って接してくれている。
いわゆるこの関係は、仲間同士という関係で片付けられると思われる。
ちなみに僕は生まれついた頃から、何故かクジラ科と心を通わせる事が出来る能力を持っている。
この能力を持っている人は世界で僕だけしかいない、唯一無二の能力である。
この能力を知る人は、[feeling whale]と呼んでいる。
実際 、クジラの類であるこの子達にも心を通わせている。
そして、僕がシャチに餌をあげている時だった。
[緊急事態発生!野生のシャチが陸上に進出して暴走している。誰か止めてくれ……]
そういって、無線が切れた。
急いで、観測船のTVを付けてみると、地獄絵図のような状態になっていた。
ビル群は崩壊し、逃げ惑う人々、電車も完全に使えなくて、空港に殺到する人々。
マスコミ関係者もこの自体は、報道している場合じゃないと、避難していっている。
しばらくして、宇宙研究機構からの会見で、
多量の宇宙線が地球上に降り注いだことを発表した。
僕は大体察した。
シャチを含め、クジラ科の生物は昔1度陸上に進出していることがあった。
そして、今回宇宙線が降り注いだことによって、全世界のクジラ科の生物のDNAが変化し、太古のDNAへと変えられた。
そして、今目の前にいる、エンケラドゥスとイオも現在水槽の中では無く、水槽の外に出ている。
僕はエンケラドゥスとイオに問いかけた。
「僕達人類を君たちに救ってもらいたい。」
と、その願いあってか僕達もシャチを倒すことに協力するということで、契約を結ぶことが出来た。
ちなみに、エンケラドゥスは高い知能を持っていて戦略を練るのが、非常に得意。
イオは、戦闘のプロフェッショナル的存在。
その2匹がいれば、ほぼ無敵だといえる。
僕は、海上自衛隊の本部に電話をかけ、エンケラドゥスの練った戦略で行かせてくれるのを、必死に説得した。
渋々あちらも、同意してくれた。
船着場に到着した時、予想外の自体が起こっていた。。
クジラ科のあらゆる生物が、陸上で食い殺されている。。
僕は一応海洋生物の教授なので大体分かるが、この歯の形はシャチのものだと推測出来た。
シャチは、どうやら遊び心で生物を殺している様であった。
さすがに、死体慣れしていない僕は吐きそうだった。
「本堂先生。。シャチいました!」
大体距離はここから700mぐらいの距離の所に居たのを確認。
「じゃあ、今からミッション ポセイドンを実行する。 只今の状況は国家非常事態宣言レベル5という、最大警戒レベルになっていて国民の避難はすべて完了しているそうです。
エンケラドゥスとイオと協力して、存分に倒してやってください!」と海上自衛隊の最高指揮官が、無線で言ってきた。
よし!と心の中で言った後、
僕達は、シャチの方に向かって走り出した。
エンケラドゥスは、イオに戦略を伝え、見守っている、イオが戦っている最中は自衛隊が爆弾を投下するのを禁止にした。
イオが目標のシャチに体当たりした瞬間、
ドォォォンという轟音が鳴り響き、ビル群が崩れていった。
戦闘が海洋性哺乳類の中でほぼ頂点に行く、イオでさえもほぼ互角の闘いを見せている。
そして、僕はエンケラドゥスに支持されていたミッションを実行する。
それは、闘いが互角だったケースに発動されるものだった。
僕は、バカデカイパラボラアンテナにコンピュータを繋ぎ、独自に研究していたシャチが嫌がる周波数の音を大音量で流した。
もちろん、ターゲットだけに正確に当たるようにスーパーコンピュータで計算してある。
その音が当たった瞬間、相手は倒れ込みその隙を狙って、イオはトドメを刺した。
トドメを刺した瞬間イオは、この世界中に向けて雄叫びをあげた。
そうして、エンケラドゥスとイオは海へと戻り、これから先ずっと、僕の前に現れることは無かった。
最後に彼らが僕に言い残したことは、
「人間が君みたいにあらゆる生物に優しい生物になれることを祈ってる」と名残惜しそうに、海へと帰っていった。
僕は、それから海へ船で出る度人類を救ってくれた、エンケラドゥスとイオという勇敢な
シャチの事を思い出している。
「本当にありがとう。」