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ホラー・ミステリ系の短編集

カンニングをする生徒

作者: ハルカゼ
掲載日:2015/12/06

「それでは、テスト開始」

 俺の合図で、小学五年生の子供たちがテストを始めた。


 教室を見渡してみると、一人の生徒に気がついた。

 ヤマダだ。


 ヤマダは隣の女子が書いてある答案用紙を明らかに見ている。

 しかも、その女子はハヅキと言って、成績優秀な子だ。

 そんな彼女の答案用紙に堂々と顔を近づけているのだから、一目瞭然だ。


「おい、ヤマダ」

 呼びかけると、ヤマダは何食わぬ顔で俺を見た。

「どうしたんですか、先生」

 平然とした態度だ。

「カンニングをしていただろ」

「してないですよ」

「俺はずっと見てたぞ」

「違うんですって。誤解ですよ」

「なにが誤解なんだ」

「ハヅキの顔に見とれていただけです」


 ヤマダが言うと、ハヅキは恥ずかしそうに頬を赤らめた。


「おい、俺ははっきりと見てたぞ。こんなことをしていたら、家族が悲しむぞ」

「じゃあ、先生は家族を悲しませてないんですか」

「もちろん」


 俺には妻と7歳の娘がいる。

 いつも、笑顔が絶えない家庭だ。


「今はそうでも、この先、悲しませちゃうかもしれないじゃないですか」

「大丈夫だ。たとえ辛いことがあっても、家族で協力して乗り越えていくさ」

「乗り越えられますかね」

 低い声でヤマダは言う。

 何だかわからないけど、背筋がぞっとした。


「話がそれたけど、カンニングはもうするなよ」

「すいませんでした」


 最初から素直に謝っておけばよかったのに。


「カンニングをしてました」

「分かってるよ。見てたんだろ」

「はい、実は見てました」


 そして、ヤマダは俺にこう言った。




「おとといの夜、先生が若い女性と噴水の前でキスをしていたところを」


 彼は、小さく笑った……。



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― 新着の感想 ―
[一言] ヤマダ……何者だ。
2015/12/06 20:14 退会済み
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