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崎裏町の怪異  作者: 齊藤
三枝教諭
11/18

報道

翌日、昼前に()きた私はぼんやりと殺人事件のことを考えていた。

まず事件の情報を5W1Hで整理してみよう。

・誰が? 犯人は不明。

・何を? 殺されたのは国語教師の三枝(さえぐさ)である。

・いつ? 六月十二日の金曜日には普通に授業があったのだから、十二日の夜から十五日の早朝にかけてのどこかだろう。 土日に活動した運動部があればもっと特定できるかもしれない。

・どこで? 死体が発見されたのは高校の体育館(たいいくかん)である。

・どのように? 殺人と断定して警察は動いているらしいので、殺人とわかるような死因(しいん)なのだろう。

・なぜ? 動機は不明。

情報が不足しすぎている。 これで推理できたら超人だな。

そろそろマスコミも情報を(つか)んだだろうかと、居間にあるテレビのスイッチを入れた。 ちょうど高校の校門前でリポーターが喋っているところだった。 自分の知っている場所がテレビに映るのは変な気分だ。 近所の住民のインタビューで方言まるだしで喋る年配者にも妙なおかしみを感じる。 普段から聞いている方言なのに、テレビを通して聞くとどうしてこうも違和感があるのか。

レポーターはまず死体の発見時の様子を説明していく。

発見したのは体育教師の吉田(よしだ)だった。 吉田(よしだ)は生活指導を担当している都合で早めに出勤し、職員室から体育倉庫の鍵が()くなっていることに気付いて体育倉庫を確認に行くと(じょう)はかかっておらず、死体を発見した。 体育倉庫は体育館の一部になっていて、体育館と校庭のどちら側からも入ることが出来る。 体育館側から体育倉庫に入るには(かぎ)は不要である。 もちろん体育館自体にも(じょう)はあり、死体発見時には体育館自体の錠はかかっていて、鍵も職員室の棚に収まっていた。 ()くなった体育倉庫の鍵は見付かっていない。

死体は体育倉庫内で大量の生石灰と水を(かぶ)ってグズグズに崩れた状態だった。 頭蓋骨が陥没していて、今のところそれが直接の死因だと考えられている。

次に事件前の三枝(さえぐさ)の足取りへと話題は移っていく。

三枝(さえぐさ)は両親と一緒に()らしていて、近所でも学校でも評判は悪くなかった。 金曜日 (六月十二日) の夜は家へ帰ってこなかったが、遅くなるというメールを両親の携帯電話へ送ってはいた。 そういった場合は三枝(さえぐさ)の両親は先に寝てしまう習慣だったので、三枝(さえぐさ)が帰宅していないことに両親が気付いたのは翌日、つまり六月十三日の朝のことだった。 三枝(さえぐさ)の両親は少し不安には思ったが、酒でも飲んで酔い潰れてどこかで()まっているんじゃないかと楽観視していたので数日は様子見(ようすみ)しようと考えていた。

リポーターがそこまで説明すると、次はスタジオが(うつ)り、コメンテーターが(しゃべ)り始めた。 コメンテーターの喋る内容はスカスカで()く価値はなさそうなので、テレビのスイッチを切った。

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