第二十一章、静寂
この物語はフィクションで、登場する人物や建物は実際には、存在いたしません。
尚この技は架空であり、実際に物理的に出来る技では有りません。
オリンピックが終わるとマスコミからは、
今までのこのオリンピック出場までの、経緯が取り沙汰された。
玲菜と竜彦は今後の裕子の被害を予測して、
今まで裕子の犯罪行為を、撮影したビデオをマスコミに公開した。
無論世論は裕子を強く非難した。
そして裕子の教え子が練習中にトラブルを起こし、
死なせてしまった経緯も、
玲菜のチームメイトの証言で立証されたのである。
だが裕子は起訴されなかった。
理由は精神疾患のせいであった。
裕子はこれを期にショックで完全に気が狂い、
精神病院へとまた拘束されてしまったのである。
今回は裕子の死期が訪れるまで、
精神病院に拘束される事が決まったのである。
そして玲菜と竜彦、真理、玲菜の元チームメイト、
瑠璃子が精神病院に見舞いに来た。
看護士が車椅子に裕子を乗せて廊下に連れて来ると、
顔には力が無くやつれて、まるで老婆の様であった。
裕子は何も言わず、ずっと俯いていた。
そんな裕子に玲菜は、着ていたコートのポケットから、
一つのケースを取り出すと。
ケースを開いて中から金メダルを取り出した。
玲菜はしゃがんで、その金メダルを裕子の首に掛けると、
裕子を見詰めて、「これがあなたが欲しがっていた金メダルよ。
あなたに上げるからね。
私に足を託して取らせた金メダル。
私はあなたのお陰で幸せを掴んだ。
何もかもあなたから始まったのよ。
あなたが私にくれた試練が、
私に幸せを与えた要素だったのよ。
私があなたに与えられる物それは金メダル。
私の人生に華を添えた事に敬意を称して、
この金メダルを与えます」そう言うと、
裕子はそっと首に掛けられた金メダルを掴んで、
それを頬に付けて愛しそうに目を瞑り微笑んだ。
そして裕子は、「これが欲しかったの。
私の金メダルよ。
あはははははは、綺麗ね。
あはははははは、誰にも渡さない。
あはははははは、私が一番スケートが上手いの」と、
自画自賛すると、周りは切なくて堪らなかった。
玲菜はそっと裕子の頬に手を触れると、「そうよあなたが一番よ。
私の人生をすばらしい物に変えてくれた人。
もしもあなたが正気に戻る事が有れば、
私はまたあなたをサポートするから、
一緒にスケート教室で、子供達を指導しましょうね。
その時は愛情を持って、子供達を指導してね」と、
告げると看護士は車椅子を引いて、立ち去って行くのであった。
その背中を見詰めていた仲間達は、無念の極地であった。
すると裕子は遠くで笑いながら、
「あははははは、鬼ごっこしようね玲菜。
あははははは、美智子はすばしっこいから捕まらないね。
あははははははははははは」と、
笑い飛ばして病室に消えて行ったのであった。
その時、切なさが抑えきれず玲菜は立ち上がり、
近くに居た美智子の肩を借りて泣いた。
美智子はそんな玲菜を慰める様に、
玲菜の後頭部を抑えて自分も涙すると、
チームメイトも涙を堪え切れずに、
声を上げて泣いていたのであった。
皆本当は裕子を慕って上げたかった思いが、
ここで断ち切れた悔しさに、翻弄されるのであった。
裕子は精神病に犯され、また闇の世界へと誘わた。
玲菜とその仲間は幸せと抱き合わせに、
裕子の地獄に落ちる様子を見せられた思いに、
より一層切なさが増して行く。
皆本当は裕子を指導者として、君臨させて上げたかったが、
自分本位でしか物事を考えない裕子を、
追い詰めるしか手立てが無い、悔しい思いを胸に抱いていた。
そんな思いを感じた瑠璃子が、「皆さんにお願いが有るの。
私は知っての通り、昔はコーチで大勢の子供達を指導して来たの。
裕子もその一人だったけど、
また私はコーチに成ろうかと思っています。
あなた達は、玲菜率いる女子フィギュアスケートチームでしたよね。
バラバラになってしまったそのチームメイトの、
指導をしたいと思っているの。
裕子のお詫びにあなた達を、愛情を込めて指導して、
大舞台に導きたいと思っています。
あなた達が許してくれるならば、
あなた達のコーチを遣らせて下さい」と、頭を下げた。
すると泣いていたチームメイトは、
微笑んで全員満場一致で一斉に、「お願いします」と、
頭を下げたのであった。
これでまた一つ、裕子を通して篤い絆が生まれたのであった。
そんな時、喫茶店サファイアでは、
お昼時のピークを過ぎて午後の三時頃、
秋山はカウンターの椅子に座り、ギターを奏でていた。
客は静香一人であった。
曲は古いバラードで、その向かい合わせに静香は椅子に座り、
秋山の歌に聞き惚れていた。
歌い終えると静香は手を叩き喜んでいた。
するとまた分の悪い奴が、店の奥から出て来たのであった。
弘美である。
弘美はそんな二人を見て、ニヤニヤしながら静香に告げた。
弘美、「惚れたな」と。
すると静香は弘美を見て首を傾げて微笑み、
ウインクをしたのであった。
その四ヵ月後の事である。
玲菜と竜彦はカナダの教会で、二人だけで結婚式を挙げていた。
ジューン・ブライドそれは誰もが憧れる、
二人だけの素敵な季節の門出。
柵を越えた二人には最高の幸せだった。
教会を出るとアレンコーチが外で立っていた。
素敵な玲菜のウェディングドレスを見て、
アレンは喜び玲菜を抱き締めたのであった。
アレンは玲菜を抱き締めながら、「これで安心したわ。
私の最初の教え子が最高の幸せを掴んだ事に」。
そう語ると玲菜も感動して、
「有難う私は皆んなに支えられて、この幸せを掴みました。
それはアレンコーチもその一人です。
これから私はプロスケーターと同時に、
アレンコーチの様に、多くのスケーターを育てて行きます。
それが私のこれからの使命だと思うから。
また竜彦君に支えられながら、スケート人生を歩んで行きます。
大滝スケートリンクの妖精として」と、
語り終えるとアレンが乗って来た、マイカーに二人は乗り込み、
玲菜の伯父が住む自宅で、祝賀会が開かれる運びとなった。
そして三年の月日が過ぎて。
大滝スケートリンクはリュニューアルされ、
近代的な建物と化したのである。
五階建てのビルを建て、別棟で立体駐車場を完備した。
一階は今までの五倍はスケートリンクは広く、
観客は 一階席と二階席を合わせて、千人は座れる席を確保した。
二階はプール、三階はエクササイズを行うフロアー、
四階はスポーツジム、五階は事務所と成っていたが、
隣の広い土地を買いそこは更に広いスケートリンクを、
建設する計画が持ち上がっていた。
これも全て玲菜のお陰であった。
玲菜率いる女子フィギュアスケートチームは、
瑠璃子コーチの指導が功を奏して、二年間で日本で開催された、
全ての女子シングルフィギャ選手権での、
タイトルを全て獲得し、
オリンピックに望む事をチームは約束した。
そのチーム代表として美智子は玲菜の神業を習得し、
時期オリンピック日本代表選手に選ばれた。
その他のチームメイトは高校を卒業後プロに転じて、
大滝スケートリンクのホームスケーターと成り、
その活躍振りは衛星中継を通じて、
全世界に放映された結果、
海外の男女を問わずプロスケーター達が、
こぞって滑りに来てくれたのである。
毎日の様に新しく成った、
大滝スケートリンクには観客で溢れていた事で、
その利益は相当な額であった。
玲菜はその時ショーの取を勤めていた。
スケートリンクの場内は以前と違い、明るくそして豪華であった。
天井にはステンドグラスが飾られ、ライトアップされて、
その影が色取り取りに氷にスライドされて、
演技するスケーター達を寄り 一層引き立てた。
更に天井にはオーロラの電飾が施され、
ショーのクライマックスで、玲菜は天高く舞い上がると、
その色取り取りのオーロラに輝き、妖精である証を示したのであった。
その技を人々は、エルフィンジャンプと呼んだのであった。
fin.
(原作:Shiny Pastel Moon)
松本 誠也
Ver1.0 DATE:2012.12.20
Compilation DATE:2013.1.09
(Ver2.13)
Compilation2 DATE:2013.1.19
(Ver3.1)
Last Compilation DATE:2013.1.30
(Ver4.0)
Original No.7
オリジナル:http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1536491.html




