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第十七章、果て

この物語はフィクションで、登場する人物や建物は実際には、存在いたしません。

尚この技は架空であり、実際に物理的に出来る技では有りません。

そして一週間が過ぎて、



玲菜の母静香は、英語が堪能である為に、



横浜の或る企業で通訳の仕事に有り付けた様で、



派遣業務として通訳の仕事が入ると、



会社に出向く仕事に就いた。



派遣とは言っても通訳の仕事は、給料が良かったせいも有り、



竜彦の報酬に頼らなくても、一人で食べて行ける様であったが、



竜彦の計らいで親が残して行った邸宅に、同居する事に成った。



夜八時頃の事、玲菜は大滝スケートリンクで練習に励んでいた。



練習に疲れるとリンクから上がる玲菜は、



母親に抱き締められたのであった。



静香、「大分精神的に安定して来た様ね」と、



答えると玲菜は浮かぬ顔で、



「そうでも無いの不安は隠せないわ」と、本音を語ると静香は、



「体の力は入って無いから、そうは思えないけど、



一抹の不安は緩和したでしょう」と、



伺うと玲菜は、「そうでも無いの。



皆んなにこうして慰められるから、体の力は抜けるけど、



スケートから放れると、やはりあの人の事が頭を過ぎるわ。



ただ一人で居た時よりも、気持ちは安定しているから、



竜彦君や真理さん、そしてこうして抱き寄せてくれる、



母の温もりを感じて一時的に精神状態が、



安定しているだけに過ぎないの」と、心の内を明かした。



その時、玲菜を愛しく感じて、静香は玲菜を強く抱き締めるのであった。



それを見ていた真理が、「一番抱かれて安心出来るのは、



産みの母と強い精神を、兼ね備えた竜彦だからね。



玲菜はまだ二十歳に成ったばかりよ。



母に甘えるのは今からでも遅くは無いから、



これからも、疲れた心をそうして癒して貰うのね」と、慰めた。



竜彦はベンチに座り、そんな二人を見詰めていた。



すると真理は竜彦に、「あの女あのままだとエスカレートして、



玲菜の元チームメイトにも、被害が及ばないか心配だけどね」と、



悟ると竜彦は、「直ぐには手を出さないさ。



何故なら今は直ぐ手が届く所に玲菜が居るんだ。



奴の精神状態はもう限界に達してるから、



今は玲菜しか見えてない。



ただ厄介なのは自分の子供だと感じていて、



放したくないと言う思いが裕子には在るんだ。



昔裕子は母親の様に慕って来た玲菜が、頭の中に存在しているので、



玲菜が実の娘の感覚で居る様だな。



だから裕子はあの時俺に言ったのさ。



『玲菜を返してよ』とね。



それは身を返せの意味では無く、玲菜の心を私に返せと言う意味で、



自分ではどうする事も出来ないから、



俺になんとかしてくれと言う意味だ」と、呆れた。



真理、「あの自分勝手な所を、



もう少し解消すれば解決する方法は有るけど、



現役時代から板に付いた独り善がりは、



もう治らないね」と、嘆いたのであった。



竜彦、「それと現役時代から、自分が一番正しいと思う前に、



思い直してコーチの言う事を聞けば、



足を壊さず金メダルを獲得出来たはずが、むちゃくちゃな練習の結果、



成績は四位で終わり尚且つ、足を壊した癖に今度は忠実であった、



玲菜に頼って来るとはお粗末だな」と、やはり嘆いたのであった。



玲菜は静香から放れて、竜彦が座っているベンチの隣に座り、



俯いて、「私が居ないと何も出来ないのあの人。



最初はスケート教室の経営者が、私達をコーチしてたけど、



なかなか生徒が定着せず出入りが激しくて、



数年立ってから今のあの、美智子ちゃんの同世代がいっぺんに、



教室に入って来たの。



それと同時にあの裕子が、経営者のコーチアシスタントとして教室に入り、



私も同時に技の基礎が定着して来たので、



幼い子供達を 一番年上だった私が技の基礎を教えてた。



裕子よりもみっちゃんと私は年齢が近かったから、



私と直ぐに打ち解けて、



みっちゃん達は最初は、遊び半分でスケートを行っていたの。



私も同調してスケートを習うと言うよりも、



リンクの上で皆んなで鬼ごっこをしている毎日だった。



でもそれが功を奏したの。



触りだけスケートの基礎を彼女達に教えた私は、



彼女達を追いかける事で、



スピードと安定感そしてふら付かないで、



しっかりと氷の上を滑る足。



スケートに欠かせない大事な基礎を、



彼女達は自然に身に付けて行った。



その内に私の真似をしてターンを覚えて行った。



そうなると私が強制しなくても、



私が行う技を見て彼女達は真似したくて、自ら技を鍛えたの。



フィギュアの技の基礎が定着した頃、



裕子が今度は子供達の技に磨きを掛けて行き、



その頃はもう子供達は脚力と技も安定した。



つまり立派に技を磨き上げた段階で県大会に臨んだ」。



真理、「その頃には子供達は物心が付き、



同時に玲菜もスケートの技はチームの中でも、



ずば抜けて上手く成っていた」。



竜彦、「軌道に乗せた所で、



玲菜が今度は裕子に個人レッスンを受けると、



見る見る内に玲菜はチーム代表に成った」。



玲菜、「同時に裕子の私達の扱いも、きつくなって行った」。



真理、「それがエスカレートして行くと、



チームメイトは裕子から距離を置く様になっていた」。



静香、「挙句の果ては、大惨事に至りチームは解散に追い込まれた。



そして裕子は玲菜を追う事になる。



最初は経営者である松下 卓コーチが、指導をしていたけど、



仮の自信が着いたのね、玲菜を使って裕子は。



松下さんは裕子に押されて、経営だけに成りコーチを辞めた。



そして裕子が指導者に成り代わる。



最初はそれで上手く行き、教室で玲菜の技を見た親御さん達が、



家の子供もあの位滑れる様に成ると仮定して、生徒は増えて行ったわ」。



真理、「確かにその戦略は功を奏した。



たった一つだけ失敗の原因になってしまったのは」。



竜彦、「裕子の野望だった」。



その次の日、玲菜と竜彦は街に出て買い物をしていた。



買い物を終えた二人はフランチャイズの、



コーヒーショップで寛いでいた。



もう日も暮れた夕方の六時頃、



玲菜と話をしていた、竜彦の姿がそこに在った。



玲菜はテーブル席に、竜彦と向かい合わせに座っていた。



玲菜、「お母さんに竜彦君が、買って上げたなんて言わないでね。



お母さん直ぐに、私のおしゃれな洋服とか靴を見ると、



『竜彦君に甘え過ぎよ、少しは節約しなさい』って、



怒られるから」と、拗ねていた。



それを聞いた竜彦は笑いながら、「大した金額ではないだろ。



それに頻繁に買って上げている訳でも無いだろ。



服が三千円で靴が五千円。



それで怒るのか」と、尋ねると玲菜は、



「お母さんは少しでも竜彦君が、私の為にお金を使うと咎めるの。



『こんなに玲菜の為を思って、今まで全てを受け入れ、



幸せにして貰っているのだから、玲菜がそれに溺れてしまうと、



今までの幸せを、全て失う事になるのよ』って」。



竜彦、「別に自から玲菜が、俺にねだっている訳では無いだろ。



それに玲菜を描いたあの、妖精の涙が 一億で売れたんだ、



八千円位貢いでも悪くは無いだろ。



それに今まで全ての物を、俺が買って上げた訳でも無いし、



自らバイトで稼いだ金で、



買った物の方が多いと思うけど」と、玲菜の味方をすると玲菜は、



「そう言っているのだけど、信じてくれないの。



全て私が持っている、洋服とか靴とかは竜彦君が、



買って上げた物だと思い込んでいるの。



それにお母さんは竜彦君が私に与えてくれた、



プライベートルームとかも、バストイレ付きで贅沢過ぎるとか、



私が持っているスケートシューズまで、文句を言うのよ。



『こんなに沢山竜彦君に買わせて』だとか。



そこに置いてある大きなドレッサーも、



『こんな贅沢な物を玲菜が使っていて、



竜彦君の職場はリビングでしょう。



竜彦君の事どう思っているの』とか、



それは私が竜彦君に自から、



ねだった物では無いと言っても、納得が行かない様なの」と、訴えた。



竜彦は呆れて、「あのお袋が使っていたプライベートルームを、



放置しておくのはもったいないしな。



ドレッサーもお袋はそのままにして、待って行かなかった。



全てお袋と親父は、私物をあの家に放置して、出た行ってしまった。



大体お袋も家を建てる時に、贅沢し過ぎなんだ。



出て行ってからは、親父もお袋も俺に家を受け渡した後、



あの家に訪ねに来た事も無い。



お互い嫌な思い出の家には、戻りたく無いらしいが、



それも勝手だな。



スケートシューズは仕方がないだろ、玲菜の商売道具だし。



リビングで俺が創作活動しているって、



俺はあそこで創作する事が、



好きなだけなのにな」と、嘆いたのであった。



そんな会話が続いていたが玲菜は、



今まで置かれていた環境を振り返り、



「私も竜彦君に、与えられ過ぎだと思っているの。



あんな贅沢な部屋に豪華なドレッサー。



それに女の贅沢を、ふんだんに取り入れた化粧品と美容道具。



大きなお風呂。



全て私が使っているなんて贅沢よね」と、後ろめたくなると、



竜彦は、「しかしあれをどうしろと言っても、



捨てる訳にも行かないだろ。



俺が建てた家でも無いし。



俺が買い揃えた物でも無い。



俺が化粧する訳でも無いし、お母さんと共同で使ってくれよ。



そうするしか方法が無い」と、使用人の宛ての選択が無い事を告げると、



玲菜は、「お母さんも今使用している、



竜彦君の両親が残して行った寝室だけど、『私一人では十分過ぎる広さと、



使い勝手を誇っている』と、言っているの。



『態々名古屋のマンションから、家財道具を持って来なくても、



この部屋で十分暮らせる』と、言っていたわ」と、母の思いを伝えると、



竜彦は、「俺もあの家を受け継いだ時に数年住んでから、



あの家を売って自分はマンションにでも、住もうと思ってい所に、



玲菜と知り合いしばらくすると、裕子のストーカー行為が発覚しただろ。



あの家は豪華なだけでは無く、セキュリティーも万全なんだ。



一昨日も夜セキュリティー会社からの連絡で、



『そちらの自宅玄関に、不振な人物が佇んだ形跡があり、



報告します』と、送られて来た画像があの女だった。



玲菜を守る為には、当分あの家に居るしかない。



神が与えてくれた有難い妖精の巣だと思って、



お母さんと一緒に住んでくれ」と、願った。



玲菜はその時、竜彦のその思いに心打たれたのであった。



すると竜彦は店内のガラスの向こうに、



こちらを伺っている誰かの姿を捉えた。



ショートカットの男性の様だった。



男性なので気にせず、玲菜と話を続けたのであった。



その後、店内から出た二人は、 一度喫茶店サファイアに寄ろうと、



バスに乗って喫茶店の近くのバス停で降りた二人は、



喫茶店へと足を運んだ。



既に日が暮れていて二人は暗い路地を曲がり、



住宅街を歩いている時だった。



急に背後から駆けて来る足音が聞こえると、



竜彦は視線だけ後ろに逸らし、いきなり玲菜を前方に突き飛ばした。



驚いて「きゃー」と、奇声を上げて道端に倒れこむ玲菜は、



倒れながら驚いて竜彦の姿を見た。



その瞬間だった。



竜彦の背後に裕子が両手にナイフを持って、



それを竜彦の右脇腹付近に刺していた。



裕子は血走った目付きで、「死ね死ね死ねー」と、叫んだ。



玲菜は咄嗟に立ち上がり裕子を阻止しようと、



裕子の手を竜彦の脇腹から退けようとすると、



竜彦は玲菜の両肩を両手で押さえて、「止めろ玲菜」と、叫んだ。



玲菜は必死に竜彦の手を振り解こうと、



もがきながら、「止めてー」と、叫んだ。



裕子は必死にナイフを竜彦の脇腹に、グイグイと食い込ませていた。



玲菜も必死に手を伸ばして、ナイフを掴もうとしていたが、



竜彦に阻まれて手も足も出なかった。



玲菜は奇声を上げる様な声で、「止めてー止めてー」と、



叫ぶしか手立てが無かった。



その時だった。



竜彦はいきなり体を勢いよく後退させると、



その反動で裕子はナイフから手が離れ、仰向けに道路に倒れ込んだ。



竜彦の右脇腹にはナイフが刺さったままだった。



その瞬間玲菜は道端にしゃがみ込んで、「イヤー」と、



叫んで泣きじゃくった。



そして竜彦は冷静な声で、「こんな事をしてなんになる。



気が狂ったあんたには、通じないだろうが、



俺を刺せば玲菜の心が、あんたに戻ると思っているのか。



俺を殺せば玲菜もあんたの様に、気が狂うだけだ。



今の玲菜は 一度抱かれた男でしか、



その身を預ける事が出来ない体なんだ。



純情な心のまま身も心も汚されず、



俺を信じて絶え間なく俺に抱かれた妖精はもう、



他の男に身も心も預ける事は出来ない。



あんたはこの瞬間、既に果てた事と同じ意味を示す。



俺の策略に嵌ってくれた様だな」と、叫ぶと竜彦は皮ジャンを肩から外し、



脱ぐと黒いチョッキを着ていた。



丁度刺したナイフの所に皮ジャンが引っかかり、



防弾チョッキである事を窺わせた。



そして竜彦は刺されたナイフを自ら、防弾チョッキから抜くと、



ドサっと皮ジャンが道路に落ちた。



そのナイフを畳んで、自分のズボンのポケットに納めると、



仰向けで倒れ込んで、上半身だけ起こした状態の、



裕子の前でしゃがみ込み、睨み付けて裕子の胸倉を掴んだ。



竜彦、「あんたをこの場で半殺しにしてやる」と、



殴り掛かろうと拳を握ると、



裕子は急に態度を変えて、体を震わせ泣きじゃくり、「止めてー、



お願いだから、もうこんな事はしないから」と、命乞いをした。



すると竜彦は、そのまま拳を握り締めたまま、



「あんたの玲菜の思いはそんなもんなのか。



あんたは玲菜を頼りに玲菜を必死に追い掛けた。



昔は玲菜の母親代わりで玲菜に愛情を注いで、



夜遅くまで個人レッスンを行ったのではないのか。



俺の息の根を止めようとした訳ではないな。



こんな短い果物ナイフで、即死はしないと解ってやったな。



玲菜に対しての見せしめだな。



見せしめて脅かして無理矢理にでも、



玲菜の心を自分に引き戻そうとした犯行だな。



だがこうして俺があんたを脅かせば、ビビって俺に命乞いか。



そんなに俺に脅されてビビる位なら、



俺の前に刃を向けるんじゃねー」と、



言って拳を開いて 一発張り手で裕子の頬を打った。



そして竜彦は裕子の胸倉を放すと、裕子は体を震わせ恐怖に戦いていた。



竜彦は立ち上がり裕子を見下ろして、「本当は今はあんたをこの場で、



再起不能にするまで殴り倒したいが、



玲菜の為にそれが出来ないのが悔しい。



だがあんたも残念だったな。



そうだまた今回も俺はあんたを出し抜いた。



これであんたを、玲菜が地獄に落とす準備が出来た。



味わうがいい 一生の闇の世界をな」と、



告げると竜彦は急に電柱に向かって、



「健一どうだ撮れたか」と、



叫ぶと電柱の影から、やはり今日もVTRを手にして健一が出て来た。



するとしゃがんで、泣きじゃくっている玲菜に声を掛けた。



健一、「終わったよ裕子はもうこれで。



後は玲菜ちゃんがこの事に対して、立ち直るだけだ。



後は玲菜ちゃんが裕子に、



とどめを刺すだけになった」と、告げたが玲菜はひたすらしゃがんで、



泣きじゃくるだけであった。



健一は竜彦に、「警察呼んだから、現場の証拠もここに収めてある。



こいつが務所から出て来る間に、



玲菜ちゃんが復帰出来る様祈るよ」と、告げると。



竜彦は、「有難うこの報酬に 一億吹っかけても、



俺は文句は言わないぜ」と、



冗談を言うと健一は、「そうかならば、俺が青臭い頃の喧嘩で、



お前が俺を庇って、お前の脇腹にジャックナイフが刺さった事の代償を、



その金で支払うよ」と、言い返すと二人は苦笑いであった。



そして竜彦は泣いている玲菜を、立ち上がらせて抱きしめていた。



しばらくするとパトカーがやって来て、事情聴取が行われたのであった。



警察の事情聴取が終わり、裕子は逮捕された。



この間の駐車場での玲菜の脅迫ビデオ画像と、



大滝スケートリンクでのナイフを使った、



玲菜や竜彦への脅迫画像なども、その場で健一が警察に見せて、



その画像を収めたメモリーチップを、



事件の証拠品として警察が預かる事になった。



詳しい事情は後日、関係者の承認を聴取するとの事で、



確固たる証拠がある為に、現場検証の時間は三十分程度で済んだ。



そして玲菜を連れて、喫茶店サファイヤに向かう竜彦であった。



サファイアでは、尋常では無い玲菜の姿を見て、



カウンターの中に居た秋山夫妻と、



そこに居合わせカウンターの椅子に座っていた、



真理と亮は何も言わずに、顔を強張らせていたのであった。



遅れて健一が来店すると、健一はカウンターの空いている椅子に座り、



VTRをカウンターの上に置いて、静かに語り始めた。



健一、「見事嵌ってくれたよ。



あの女本当に馬鹿だな。



玲菜ちゃんが言う事を聞かなくなれば、



刃は竜彦に向くと誰もが思うだろ」と、



確信すると秋山は、「刺したかやはり」と、悟った。



竜彦は徐にポケットから果物ナイフを取り出すと、それを秋山に渡した。



渡された秋山はナイフを広げて、見詰めながら、「こいつが俺達不良を、



今までどれだけ怖がらせて来たか。



それに怯まない俺と竜彦がいたな。



刺されたって何だと言わんばかりに、



これを出す奴を、こてんぱんに遣り込めて来た。



体にナイフが刺さりながらでも、喧嘩し続けた挙句の果ては、



街のドンと言われる様に成った。



それが例え弾きで構えられても、怯まない俺達は浜では、



一目置かれる存在に成ったな竜彦。



だが愛する者の為に、それを我慢する事が出来たのだろ。



それが本当の大人のやり方だ。



お前の今の表情を見れば解るぜ」と、



悟ると竜彦は、「ああ今までに無い、



最高の悔しさを味合わせて貰ったよ。



俺はどんな事が有ろうが防弾チョッキなど、



着ける程ヤワじゃねーと思ってな。



刺されてもそこから血が噴出しても、



喧嘩し続けると相手は怯んで、土下座をして命乞いをした。



だが俺は怖さを覚えた。



俺が死んだら玲菜はどうなるんだと。



その時、玲菜の為に俺は身を守る決心が付いた」と、



自分の思いを露にすると。



明子が突然激怒して、「竜彦」と、叫んだ。



そして明子は穏やかに、「それでいいだよ、



それが本当の真の男が遣る事なんだ。



力で噛ませば、何でも解決すると思ったら大間違いだ。



玲菜ちゃんの前で血を流したら、



玲菜ちゃんは一生スケートから遠ざかる。



大人になったじゃないか竜彦」と、褒め称えた。



玲菜は泣く涙も枯れてしまい言葉を無くし、俯くだけであった。



するとそこへ、玲菜の母静香が店を訪れた。



その光景を目の当たりにした静香は、



言葉を無くしその場で佇んでいた。



玲菜は悲しそうな顔付きで、カウンターの椅子に座り俯き、



竜彦とその仲間は顔が強張り黙り込み、秋山はナイフを見詰めていた。



その瞬間、言わなくても静香は事情を把握した様で、



顔を強張らせ、「あの野郎」と、口走り咄嗟に店から出ようとすると、



秋山が、「ちょっと待ちな」と、呼び止められた。



静香は喫茶店の入り口のドアを開けながら、その場で佇んだ。



呼び止めた秋山は静香に、「竜彦が我慢したんだ、



お母さんがあいつを手籠めたら元も項も無い。



計画通りに事が運んでいる。



誰も怪我はしていない。



竜彦のペースで行こうぜ」と、告げると静香は落ち着いて、



店に入り玲菜が座っているカウンターの椅子の、



隣の椅子にゆっくりと腰掛けた。



そして俯いている玲菜の頭を持って、自分の胸に押し付けると、



玲菜は母の胸でしくしく泣き始めたのであった。



それを見た真理は、「悔しいのはお母さんだけじゃない。



我々も悔しくて堪らないの」と、



答えると亮が重い口を開いた。



亮、「こんな事をしたって、玲菜ちゃんが裕子に従う訳が無いだろ。



どんなに脅かし、どんなに玲菜ちゃんを傷つけても、



もう玲菜ちゃんは何をされても、裕子の言う事を聞く訳が無い。



どれだけ竜彦を愛し、どれだけ竜彦に愛情を注がれているか、



裕子自身がそれを理解しなければ、



玲菜ちゃんはもう裕子に振り向く訳が無いだろ」と、



カウンターを両手で殴打した。



そして亮が続けて、「何故解らない、何故理解し様としない。



今まで自分勝手に行動し、



無理な練習を重ねて足を壊して来た裕子が、



今でも昔捨てたコーチに補われているのに、



自分は玲菜ちゃんを傷つけても良いと考えるのか。



何故解らないんだ」と、激怒した。



明子は穏やかに、「解らないんだよ。



いや解らなくさせてしまった」と、



推測すると真理が、「そう、強い精神安定剤が裕子をそうさせた。



自分の事を理解して欲しい癖に、



相手の感情は除外して聞く耳を持たない。



増してやその人の思いも意見も尊重しない。



全て自分本位で行動し従わせたい。



自分の考えが最もだと思う様に成り、知り合いも遠ざかり、



それを理解してくれた元コーチの瑠璃子さんと、



教え子の玲菜だけが唯一 の良き理解者だった」。



健一、「俺もこの仕事を営んでいると、



色んな性格の客と対応するが、被害妄想、自意識過剰、独占欲、



躁鬱の話し相手もする事もある。



言わば探偵なんて映画の世界とは違い、



探って欲しい人をリサーチするが、浮気や盗聴器発見に至り、



その後は依頼者を慰めるしか方法が無い。



無論被害者に何らかの人的被害が有れば、



依頼者に対し加害者への、民事裁判へ告訴要求の手助けをするが、



大概は依頼者の被害妄想である事が現状だ。



依頼者の多くは信じ込み易く激しい一面も表すが、



その反面極度の自身安気にも成り代わる。



そう言う輩は必ずと言って良い程、



何でも言う事を聞く家来の様な者が居て、



それを失うと自信安気に落ちり、その家来を追いかける。



仕事をしていると、あのタイプを良く見かけるよ。



だが解決の糸口は無く、無理にでも相手に自分の要求を突きつけて、



喧嘩になり仲違い。



裕子はその酷い例で彼女の求めている本質を、



全て取り除かなければ解決しない。



彼女が生きるも死ぬも、



考え方を真っ向から変えなければ、自殺するまでだ」と、例を掲げた。



すると静香は、「助けて欲しいと素直に言えれば、



今頃名コーチとして、フィギュア界でも名を残せるはず。



でも嘗ての有名選手を育てた名コーチが、



世の中にその名を残したと言う形跡が無いのは、



そんな自意識過剰なコーチでは、人を育てる事が出来ない証なのよ。



決して名プレイヤーが監督として、君臨出来るとは限らないの。



彼女はフィギュア界に多大なる功績を残し、その威厳を保つ事で、



メダルよりも大きな実績を、残したいと考えている。



でもそれは浅はかな考え方であるの」と、嘆いた。



真理、「一度信じ込んだら誰に何を言われ様とも、



後に引けない自分を見出してしまった」と、推測した。



竜彦、「彼女が俺達を引き合わせた形に成ったが、



まったくその事に対して理解を示さない様だ。



もう少し利巧な奴ならば、それを糧に俺達の仲を取り持ちながら、



名古屋の美術館に飾られている、数展の玲菜の作品の事情を説明して、



自分の存在を露にして行けば、もう一度名古屋でスケートのコーチとして、



再起出来るのにな」と、



推進すると秋山は、「そう成る様に竜彦が仕掛けたが、



奴は玲菜ちゃんを取り戻す事しか頭に無かった」と、悟った。



真理、「それが健一が言う、



裕子は独占欲の塊だからお互い納得が行く、



解決の糸口が見付からない要素を醸し出すのよ」と、嘆いたのであった。


オリジナル:http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1536491.html

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