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『ハルノキヲク』 ~生まれ変わったら一輪の花だった~  作者: たつを


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1/6

一話  静かな日々


 

柔らかい朝日と、鳥の鳴き声で目を覚ました。


美しい陽光が優しくハルを撫でたが、ハルにとってはただの明かりだ。

目を開け、ゆっくりと体を起こし、静かに一日を始める。


寝具を整え、簡素な朝食を取る。

味はよく分からないが、空腹は満たされる。

身支度を終えると、棚の上に置かれた銀の首飾りと、古い短剣に手を合わせた。


それは祈りというほどのものではない。

習慣のようなものだった。


古い革袋を手に取る。

年季が入り、何度も補修された簡素な袋だ。

中に五つほどの革製品を詰め、ゆっくりと家を出る。



石畳の道の端を静かに歩く。


道の両側には民家や商店が規則正しく立ち並び、住人たちの笑い声や足音が、石畳に跳ねるように広がっていた。


ハルはそんな様子を気に留めることもなく、目当ての場所へ歩く。

綺麗な二重の眼は、周囲の景色や人が存在しないかのように、前だけを見ている。


しばらく歩くと、ハルは小さな雑貨屋に入った。



「おはよう」


店主が元気に挨拶をするが、ハルは軽く頭を下げるだけだった。



「……これ、お願いします」


それだけ言って革製品を並べる。

店主は「いつもありがとな!」と大きすぎる声で言った後、代金を渡す。



「どうも……」


ハルは小さく頭を下げ、代金を受け取り店を出る。


背後で「また来週な!」という声が聞こえたが、振り返らなかった。



「相変わらず、辛気くさいな」


店主は吐き捨てるように言った。



「仕方ないよ。あんなことがあったんだから」


品物を並べていた店主の妻が、諭すようにつぶやく。



「それにしてもよ……」


店主はそれ以上語らなかった。



ハルはまた黙々と歩き、ひとつの店に入る。


店内には、たくさんの動物の革が並べられていた。

薄暗く、独特な匂いが充満している。

用のない者は近づきもしない場所だが、ハルは気にする素振りもない。


ハルは特に吟味する様子もなく、慣れた手つきで二枚の革を取る。

入り口の側に座る店主の前に、そっと品物と銀貨を置いた。



「これ……お願いします……」


店主は、スッと銀貨を左手で握り、右手にあらかじめ握っていた数枚の銅貨を、ハルの差し出した掌に落とした。

無駄も温度もない、機械仕掛けのやり取りだった。


ハルは小さく頭を下げ、店を出た。



ハルはそのまま隣の店に入る。


店内にはたくさんの食料品が置かれていた。

ハルは迷いなくスイスイと店内を進み、特に視線を送ることなく、通りざまに商品をいくつか取り上げていく。

必要な物を集め終えたハルは、出口の横で代金を払う。

ここでも会話らしい会話はない。


店を出て、帰路に着く。



帰り道では、ひそひそとした会話や視線を感じる。

街の人の自分への評価はうっすらと理解していたが、まるで気にならない。



家に戻る。

荷物を片付け、昼を過ぎた頃。



扉が勢いよく開き、声だけが先に飛び込んで来た。



「ハル! 天気いいよ!」



明るく、よく通る声。


少し遅れて、春の陽気を引き連れたリリが飛び込んできた。

花屋の娘で、幼なじみ。

街一番の美人だと、誰もが言う。



「今日は花摘み! 手伝って!」


有無を言わせず、腕を引っ張られる。



「……わかった」


ハルは抵抗もしなければ、自ら進んで歩こうともしない。

腕を引かれるまま家を出る。



街外れへ向かう道すがら、リリはずっと喋っている。


「風が気持ちいいね!」

「見て! かわいい子猫!」


感じたことをすべて言葉にするかのように、踊る声でずっとハルに語りかける。

ハルがほとんど反応しないので、大きな声で独り言を言っているようにも見える。


リリの声はハルを素通りして、空へと吸い込まれて行く。



その時、青く広がった空の中で、ひとつの意識が目を覚ます。



「うるさいな……」


その意識は、ハルとリリに焦点を合わせる。



「騒がしい女と、静か過ぎる男か……」

「目もすっかり覚めたし、しばらく観察してみるか……」



ハルたちは街外れを歩いていた。

リリは少しぐったりしている。喋り疲れたのだろうか。


少し歩くと花畑が見えた。

たくさんの花が綺麗に咲いていた。


リリは駆け出した。さっきまでの様子が嘘のように元気を取り戻している。



「いっぱい咲いてる!」


リリは花畑の真ん中まで進み、しゃがみ込む。

花を吟味しながら、丁寧に摘んでいく。


ハルは少し遅れて、リリの横にやって来た。


リリはしゃがんだままハルの方に顔を向け、話しかける。



「綺麗に咲いてるね!」


ハルからの返事はない。



少し拗ねたように、リリは言った。



「ハルも手伝って」


ハルは黙って頷き、リリの近くで膝を曲げた。

プチプチと近くの花を摘み、リリに手渡す。


リリは「ありがとう」と言いながら、ハルが差し出す花を見るた後、呆れたように首を振った。



「これじゃ売り物にならないよ。

この花はまだ蕾だし、こっちのお花は花びらが欠けてる。

綺麗に咲いたお花だけ摘んで」


責める口調ではなかった。


ハルは少し首を傾げて言った。



「花は花でしょ……?」

「それに、綺麗な花がよくわからない……」



リリは少し考えてから、辺りをキョロキョロと見渡した。



「あった!」


少し弾んだ声を出すと、ハルに背を向け歩き出した。


十歩ほど歩いたリリは、スッと地面に手を伸ばした。花を摘んでいるようだ。

立ち上がったリリは後ろに手を組み、いたずらな表情で駆け寄ってきた。


勢いそのままに、自分の顔をハルの目の前まで近づけ、得意気に笑う。

ハルは、鼻と鼻がぶつかりそうだなと思った。



次の瞬間――



「こんな風に咲いたお花を摘んで欲しいの」


リリは隠していた花を、二人の顔の隙間を埋めるように、そっと差し出した。

二人の間に、見事なユリの花が咲いた。


ハルは、じっと花を見つめた――


確かに僕が摘んだ花より、瑞々しくしっかりしてる。

花びらも、ゆったりと大きく開いてるな……。


そう考えていた。



「どう? 綺麗でしょ?」

「わたしが一番好きなお花なんだ!」



リリの声に反応するように、ハルの視線がユリからリリに移った。

ユリ越しに、瞳を大きく開いたリリの顔がハルに飛び込んで来た。


ハルは自分の頬がうっすら温かいのに気付くが、特に気にせず答える。



「……うん……綺麗……なんだと思う……」


リリはパッと表情を晴らした。



「ね! ハルにもわかるでしょ? これが綺麗なお花!」


今にも踊りだしそうな声で言った。



「なんとなくね……」


ハルは呟くように返した。


空は黙って二人を見ていた。



少し日が傾いた頃、二人は帰路に着いていた。


帰り道のリリは気持ち良さそうに鼻唄を歌っている。足取りもとても軽い。

リリの後を追うように、ハルは歩いていた。手には花がたくさん詰まった大きな籠を持っていた。


ハルはリリの後ろ姿を見ながら、今日はたくさん花を摘めたから機嫌が良いんだな、と思っていた。

リリの鼻唄は優しく風に乗って、ハルの中に入って来た。


黙って後ろを歩き続ける。


街の入り口に着く頃、空が突然灰色に染まる。



「雨が降りそうだね、急ごうか」


リリがハルに語りかけた途端、大粒の雨がリリの肩に落ちた。



「降ってきた! 急ごう!」


リリはそう言うと小走りで家へ向かった。

ハルは同じ速さで後を追う。


束の間、大きな音を立てて雨が石畳を叩きだした。



「凄い雨!」


リリは両手で頭を押さえ、本格的に駆け出した。

ハルは花の入った籠を抱き抱えるようにして後を追った。


辺りでは洗濯物が一斉に引き上げられ、人々は軒先へと駆け込んでいく。

街は、にわかに色を変えた。


二人は、リリの家の軒先に、やっとの思いで飛び込んだ。



「わぁ……濡れちゃったね! 大丈夫?」


リリはハルに尋ねた。



「……大丈夫」


ハルはそう言いながら、花の入った籠をリリに差し出した。

花はほとんど濡れていない。

ハルの差し出した手から、雫がポタポタと落ちた。



「びしょびしょじゃない!

雨が止むまでウチで休んで行って」


リリは提案した。



「平気だよ……」


ハルはそう言うと、軒から出て、誰もいない雨の通りを歩き出した。



「ハル! 今日はありがとう!」


リリはハルの背中に叫んだ。


ハルは、ゆっくりと歩いている。



「風邪ひかないでね! また来週ね!」


リリは再び叫んだ。


ハルは立ち止まり、少し振り返った。

そして、ほんの少し手を上げてみせた。


そうしてまた、ゆっくり歩き出した。


雨に気付いてないような佇まいで歩く、ハルの後ろ姿を見送るリリの目は、悲しみを浮かべていた……。



「フンッ」


雨音に紛れ、空は不満そうに声を出した。



ハルが灯りのない家の扉を開く。


まだ日は沈んでいないが、空を厚く覆う雲のせいで部屋は薄暗い。


ハルは濡れた衣服を脱いで、体をゆっくりと拭いていく。

替えの服に着替えるが、さっきまで着ていた服とさして変わりはない。

濡れているか乾いているかの違い以上の変化は見いだせない。


ハルはゆっくりと夕食の準備を始める。

準備と言っても、簡単なスープを作り、固いパンを皿に乗せるだけ。


夕食をテーブルに並べると、ハルは頭を軽く下げ、ゆっくりとパンをちぎり、スープに浸して口に運ぶ。

同じリズムで同じ動作を繰り返す。

食事というよりは作業に見える。


何もこの食事だけが特別なのではなく、日に三度取る食事は大抵こうだった。


作業を終えたハルは食器を片付け始める。

綺麗になった食器を所定の位置に戻す。

他に食器は見当たらない。


その他、諸々の生活の雑務を終えたハルは灯りを消し、静かにベッドに横になる。

僅かな時間、暗闇を見つめ、目を閉じる。


ふぅっと溜息をつくと、いつもはすぐに眠りに落ちる。


しかし、この夜はハルの瞼の裏に、短い映像が流れる。


白いユリ……。

大きな瞳……。

笑顔……。


ハルは、今夜は少し暑いなと思った。



翌朝、目を覚ましたハルはゆっくりと体を起こした。

いつものように寝具を整え、食事を取り、手を合わせる。


食事の片付けが終わったテーブルに大きな革を広げると、慣れた手つきでカットしていく。

ハルは黙々と作業を続ける。進行は大して早くはないが、丁寧な手つきだ。


しばらくすると、鐘の音が遠くで聞こえた。

この街の正午を知らせる鐘だった。


ハルは台所へ立つと、いつもの簡素な食事を用意し、その場で立ったまま食べた。

水を一杯飲み干し、またゆっくりとテーブルに戻り、作業を始めた。


夕方、そろそろ日が沈む頃。



「……出来た」


テーブルの上には、持ち手の付いた革の巾着袋が置かれていた。

凝った装飾もなく派手さはないが、細部まで丁寧に仕上げられた、丈夫で使い勝手の良い品だ。


これが、彼の生業だった。

コツコツと革製品を作り、週に一度街の雑貨屋に買い取ってもらう。

その後、必要な材料と食料品を買って帰る。


毎週それの繰り返し。

一人で生活をするようになった五年前からずっと。


めくってもめくっても、ずっと同じページ。

出来損ないの絵本のようだった。



それから数日経ったある日。


いつもの朝の家事を済ませたハルは、珍しく思案していた。

先週仕入れた材料はほとんど使ってしまい、仕事をする材料がない。


街に行くのは明日。

今日の仕事が出来ない。

街に出るのを一日早めるか……と考えたが、



「また来週ね」


リリの声が聞こえた気がした。


ハルは思い付いたように、壁際の棚の上にある小さな箱を開けた。

中から、小指の先ほどの大きさの塊を取り出す。銀のようだ。


ハルはテーブルに戻り、銀を暫く見つめた。

小さな金槌を手に取り、コツコツと叩き始める。


暫くすると、鐘の音が遠くで響いた。

ハルの耳には届いてないようだ。


日も暮れ、いつもなら夕食が終わる頃。



「……うん……」


ハルは小さく呟き、出来上がった銀細工を眺めていた。

それはユリの花の形をしていた。小さな穴がひとつ空けられている。


ハルは細い革ひもを穴に通した。


首飾りだった……。


ハルは出来上がった首飾りを丁寧に棚の上に置き、珍しく乱雑に仕事道具が置かれたテーブルを片付け、ゆっくりと食事の準備を始めた……。



翌日の午後、街での用事を済ませたハルは珍しく少し足早に帰路に着いていた。

良い革がなく、代用品を思案していたらすっかり遅くなってしまった。


我が家が遠くに見えてきた。

ドアの前に人が立っている。遠目にもすぐリリだとわかった。


ハルを訪ねて来る変わり者は彼女くらいだし、こちらに気付いたのか、大きく手を振っている。

あんなことをするのも彼女くらいしかいない。


ハルは歩を緩め、ゆっくりと歩いて家の前まで辿り着いた。



「遅い!」


リリは頬を少し膨らませる素振りをする。

怒っている訳ではなさそうだ。



「ねえ! 今日も花摘み手伝って!」


リリはいつもの調子でハルの腕を掴む。



「……うん……でも……えっと……」


ハルはモゴモゴと呟く。



「嫌なの?」


リリはハルの手を掴んだまま、少し睨むような目をする。



「嫌……とかじゃないと思う」

「僕は……喋らないし……花もよくわからないから……」

「一緒に行っても……あまり役に立たないし……」

「リリも……つまらないでしょ…………?」



ハルの言葉を聞いて、リリは少しの間キョトンとした表情をしていたが、ぷっと吹き出して笑いだした。



「ハルもそんな事考えるんだ!」


リリは笑いながら言った。



「私が今日も色々教えるから大丈夫だよ!」

「大体、こんなか弱い私に花を持たせて帰らすつもり?」


リリは笑いながら、バンバンとハルの肩を掌で叩いた。


か弱い……? とハルは思ったが、口には出さなかった。



「それに!」

「別につまらなくなんて無いよ!」


リリは笑顔で言った。



「でも、もう少しお喋りの相手してくれたら嬉しいかも」


意地悪な表情でハルを見つめて言う。



「……うん……」


ハルは短い返事をした。



「ほら! 早く荷物を置いてきて! 行くよ!」


リリは急かすように言った。



「……わかった……」


ハルはそう言うと、家のドアを開けた。



ハルは部屋の隅に荷物をまとめて置き、家を出ようとした。

ドアを開けようと手を伸ばしたが、手を止めて部屋へ引き返す。


棚の上にある、ユリの首飾りをじっと見つめる。

そっと首飾りを手にし、ポケットに入れた。



家から出ると、「行くよ!」とリリに手を引っ張られた。



街外れまでの道中、リリはずっと喋っていた。

いつもと同じだ。



「ハルは考え過ぎなんだよ!」

「嫌だったら誘わないよ!」

「私がつまらなそうにしてた事ある?」


リリは捲し立てるように声をかけてくる。



「……いや……」


ハルは短い返事をする。



「でしょ?」


「大体ハルは、滅多に家から出ないんだから、たまにはこうやって外に出なきゃ!」

「わかった? 来週も手伝ってね!」



「……うん……」


そんな会話がずっと続いた。

ハルもいつもより返事をする回数が多い。


あっという間に花畑に着いた。

今日も沢山の花が咲いている。



「さぁ! 今日も綺麗なお花を沢山摘むよ!」

「先週教えたでしょ? 綺麗なお花! 覚えてる?」


リリはそう言うと、ハルの顔を覗き込んだ。



「えっと……」

「なんとなくだけど……」

「綺麗……って……こんな感じかな?」


ハルはポケットから首飾りを出した。



「……これ、ハルが作ったの?」


リリは驚いた表情で首飾りを見ながら言った。



「うん……」

「先週……家に帰った時に……リリがユリの花を見せてくれたのを……思いだして……」

「昨日も、仕事が無くて……どうしよう……って思ったり……」


ハルの返事は要領を得ない。


でも、リリは気にしている様子はない。

食い入るように首飾りを見ている。



「すっごい綺麗だよ!

私の大好きなユリの花! 本当に綺麗!

これなら高く買い取ってもらえるよ!」


リリは凄い凄いと言って跳び跳ねた。



「いや……売り物じゃ……ないんだ……」



「ごめん……覚えては無いんだけど……」

「リリの……誕生日……」


「花の咲く季節……だったよね……?」


「だから……リリに……」



ハルはなぜか心がムズムズとした。

リリを見られず、目を伏せながら喋った……。

こんなに喋ったのは、いつぶりだろう?


ハルは、リリの返事を待った。

いつもなら、喋り終わる前に返ってくる返事がない。


聞こえなかったかな?

ハルはそっと顔を上げる……。



リリは口に手を当て、立ち尽くしていた。

頬はほんのり赤く染まり、目は潤んでいるように見えた……。


ハルもまた、予想外のリリの反応に、どうして良いかわからなかった。



「私に……?」


リリは口を開いた。



「……うん……」

「ごめん……銀細工は得意じゃないんだ……」


「気に入らない……よね……」



「そんな事無い!」


ハルが喋り終わる前に、リリが叫んだ。

いつものタイミングだ。



「凄く……嬉しい……」


リリの瞳から一粒涙が零れた。

涙は陽に照らされ、輝いて見えた。



ハルはリリの顔を見つめていた。

体が熱く感じる……。


体の真ん中が、トクントクンと脈打つ。

走った後みたいだ……。

でも、嫌な感じはしない……。


リリの顔を、じっと見ていた……。



リリは笑顔で言った。



「ありがとう! 大事にする!」



ハルはリリの笑顔を見て、胸がスッと軽くなる感覚を覚えた。

同時に体が動いた。リリに向かって、そっと首飾りを差し出した。


リリも両手をゆっくりと差し出した。


ハルはリリの掌に首飾りを置こうとした。



その時――



ハルの体の真ん中が、ドクンと大きく跳ねた。

音も光もないが、雷に貫かれたようだった。


ハルの手から首飾りが離れ、リリの掌に落ちた。


ハルの手はリリの手の横を、ゆっくりと通り過ぎて行く……。


ハルは崩れるように、花の中に倒れ込んだ。



静かだ……。

何も聞こえない……。



ハルは空を見上げていた……。


花びらが沢山舞っている……。

リリが何か叫んでいる……。

泣いてる……?

どうして……?


何も聞こえない……。


青い青い空が広がってる……。



ハルは、ゆっくりと自分の意識が空に吸い込まれる感覚を覚えた。

視界が白く閉じていく……。


ゆっくりと……。

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