Lv.3 異世界『アルカディア』
「立てますか?」
そう言って少女は手を差し伸べる。
「あぁ、大丈夫。自分で立てるから」
そして俺は立上がり、辺りを見回した。
鬱蒼と生い茂る木に囲まれた森の中では、鳥の鳴き声が囀ずり渡っている。
少女は改めて俺の顔を見つめるとニコッと笑って見せた。
「貴方は園田帝斗さんですね?」
「そ、そうだけど。どうして俺の名前を?君は誰?」
すると少女は左手を胸に寄せ、自己紹介を始めた。
「私はアスタリア=フローレ。この世界『アルカディア』の管理者です。このアルカディアと言う世界は転移者が流れ着く場所です。話に聞いたことありませんか?突然人が目の前で消えたり、いつも通りの日常を過ごしていた筈なのにある日行方不明になったりと」
確かにそんな話もたまに聞くけど、もしかしてーーー
「俺もそれに巻き込まれたってこと?」
「はい、その通りです。理由は様々ですが今回の場合は...正直分かりかねます」
アスタリアは肩を竦めた。
何となくだが、自分が今どんな状況にあるかを把握してきた。
だが、他にも気掛かりな事がいくつもある。
例えばさっき言っていた様な気がする『正体不明【アンノウン】』だったか?
他にも重要な事があるとすれば...
「俺、帰れるのか...?」
「いいえ、それは無理です。少なくとも現時点では帰る方法はないですよ」
現時点ではって事は何かしら帰れる方法はあるんだろう。
とりあえず帰れるならそれでいいか...
それよりも、俺は今、異世界に居るのだ。
しかもなんだか知らないが妙な能力つきで。
一応能力の事についてはアスタリアと言う女の子に聞詳しく聞いてみる事にする。
「それでさっき言っていた能力って何だよ」
「ですから、正体不明です。この世界の管理者である私にも、この能力はイレギュラー過ぎてわかりかねます」
「なんだそりゃ...」
(まぁ、以前より強くなり過ぎてもつまらなくなりそうだからそれはそれで良いか)
そんな事を思っていたら、前方からドスン...ドスン...と地響きと共に何かが近付いてくるのが確認できた。
それは、巨大な...大蜥蜴だ。
(おい、ちょっと待て!!いきなりあれは強すぎじゃねぇか!?)
だが、大蜥蜴はそんな事お構いなしに涎を垂らしながら俺の元へ突進してきてるのだ。
「ちょ、逃げるぞ!!流石にいきなりあれは無理だ!!」
「え?だったら一応能力を使って見てはどうですか?どんな能力かはわかりませんけど」
「それ以前に使い方がわからねぇんだよおぉぉ!!!」
そう言いながらアスタリアの腕を引っ付かんで猛烈ダッシュ。
「うおおおおぉぉぉ!!!」
叫びながら逃げ惑うが、あと少しで追い付かれる。
すると、アスタリアはまたもや妙な事を口走った。
「いえ、知っている筈です。この世界に来たときから。いえ、それ以前から...」
は...?そんな訳がないだろう。
そんな良くわからない能力なんて...いや、良くわからないと言うのもある意味皮肉なのか?
兎に角逃げても追い付かれるなら一か八かに掛けるしかなかった。
「ッチ、仕方ねぇ!!受けて立ってやる!!」
そして俺は取り合えず右手を前に差し出して叫んだ。
「うおおおぉぉ!!!【アンノウン】!!」




